イギリスといえばビール!その歴史や有名銘柄などについて解説

イギリスといえばビール!その歴史や有名銘柄などについて解説
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イギリスのビールは、上面発酵という製法で造られるエールタイプが主流です。豊かな味わいと芳醇な香りが特徴で、じっくりと飲む人をたのしませてくれる奥深さが魅力です。5世紀にはすでにエールビールが醸造されていたといわれており、現代まで続くパブ文化はイギリスビールの代名詞でもあります。

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イギリスのビールの特徴

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イギリスではエールビールが古くからの主流です。

エールビールは上面発酵という常温に近い温度で麦汁を発酵させる方法で造られます。昔は抗菌技術が発達していなかったため、常に雑菌が繁殖しないように気を配る必要がありました。その点、イギリスの気候は、夏は気温が上がりにくく冬は気温が下がりすぎない西岸海洋性気候で、エールビール造りに適していることから、盛んに造られるようになったのではないかと考えられます。

上面発酵で造られるエールビールは、豊かな味わいと芳醇な香りが特徴。麦芽やホップの香りのなかにほのかな果実香があり、口の中では心地よい泡の感触と炭酸の刺激が感じられます。じっくりと飲む人をたのしませる奥深さが、エールビールの魅力といえます。

イギリスのビールの歴史

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イギリスのビールの歴史は古く、紀元前1世紀ころに遡ります。

イギリスのビールの歴史は「ブリタニア」時代から

イギリスのビールの歴史は古く、この国にビールが伝来したのは「ブリタニア」と呼ばれた古代ローマ帝国統治下の時代、紀元前1世紀ころではないかと考えられています。

5世紀にアングロ・サクソン人がヨーロッパを支配する時代になると、上面発酵で造るビールを「エール」と呼称するようになり、現代に続くエール文化が築かれていきます。

英国内にビールが普及したのは、6世紀の終わりころ。当時のローマ教皇グレゴリウス1世が修道院に醸造所を併設させたことがきっかけだったそうで、ビールが庶民の生活にしっかりと定着していきました。

イギリスならではのビール文化が発展

イギリスでは、9世紀ごろ「エールハウス」と呼ばれる居酒屋が街角に建ち並ぶようになりました。「エールハウス」はまさに現在のパブの原型。10世紀には「エールハウス」は増加の一途をたどり、人々の飲みすぎを懸念した当時のイングランド王エドガーが、各村に「エールハウスは一軒まで」と命じるまでになったといわれています。

また、この時期はビールの自家醸造も一般的になりました。自家醸造のおもな担い手は主婦で、彼女たちが造るビールは一家の貴重な収入源であったそう。エールビール造りに熟練した主婦は「エールワイフ」という呼び名で親しまれ、なかにはエールハウスを経営する主婦もいたとのことです。

また、12世紀ころになると修道院で盛んにビールが造られるようになり、専業のビール醸造業者も登場しました。こうしてエールビールは、イギリスの大衆文化を形成するものとして着実に根づいていきました。

イギリスならではのビアスタイルが次々に登場

かつてエールには、さまざまなハーブを調合した「グルート」と呼ばれるハーブが使用されていました。

イギリスで現在のようなホップを使ったビールが登場したのは15世紀のこと。ドイツのフランダースから輸入されたものでしたが、グルート入りのエールに親しんでいた当時のイギリスの人には、あまり受け入れられなかったといわれています。

なお、当時はホップを使わないものを「エール」、ホップを使ったものを「ビール」と区別していたそう。

ホップを使ったビール造りが一般化したのは17世紀ころです。1630年ごろに「ペールエール」が登場したのを皮切りに、イギリスのビールの近代化がはじまります。1722年には「ポーター」が大ヒット。1778年にはギネス社が「スタウト」の販売を開始するなど、イギリス独自のビアスタイルが確立されていきました。

イギリスならではのビール文化

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イギリスのビール文化と「パブ」は切っても切れない関係。ここでは、パブ文化と、パブで飲めるビールや定番おつまみなどを紹介します。

パブ文化

パブは正式名称を「パブリックハウス」といい、社交場としての役割を兼ね備えた居酒屋として親しまれています。パブの数は年々減っているそうですが、2019年のパブの数はイギリス全体で約4万件といわれていて、いかにイギリスの人々にとって身近な存在かがわかります。

パブと切っても切り離せないのが、「リアルエール」とも称されるカスクコンディションのビールの存在です。カスクコンディションとは、樽(カスク)の中で二次発酵を行い、ビールの状態を整えることで、この工程はパブのなかで行われます。ビールの熟成具合と飲みごろを見計らうのが重要で、いつ樽を開栓するかは、パブオーナーの腕の見せどころとなります。

そして、今日パブでリアルエールを飲むことができるのは、多くの人の努力があってこそ。そのことを象徴する出来事が1970年代にスタートした「CAMRA」と呼ばれる市民運動です。「CAMRA」の正式名称は「Campaign for Real Ale」。大工場で生産する画一的なビールではなく、古くからある伝統的なビール「リアルエール」を飲もうというキャンペーン運動で、この運動によって、昔ながらの製法で自然発酵させた「ビターエール」と呼ばれるビアスタイルが復活しました。

なお、この運動は今も続いていて、イギリスで最大規模の消費者団体に成長。イギリス政府がリアルエールを造る小規模ビールメーカーを支援するのも、この「CAMRA」による政府への働きかけによるものです。

イギリスでビールを注文するときには「パイント」で

イギリスならではのビール文化のひとつが、その独特の量り方。

イギリスでビールを注文するときは、「1パイント(約568ミリリットル)」か「ハーフパイント(約284ミリリットル)」という単位で注文するのが基本です。「パイント」とは伝統的な「ヤード・ポンド法」における体積の単位で、1リットルは1.76パイントとなります。メートル法が主流となった現在も、未だに昔ながらの単位を使っているのは、イギリスらしいこだわりだといえるでしょう。

また、「パイント」に特化したビールグラスが、パブでよく見かける「パイントグラス」。飲み口が広くグラスの高さが低いため、「ペールエール」や「IPA」など香りに定評があるエールビールをたのしむのに最適です。飲み口の下にふくらみがあるデザインが主流で、イギリスの旅行土産としても重宝されています。

イギリスビールの定番おつまみ「フィッシュアンドチップス」

パブで食べる定番おつまみが「フィッシュアンドチップス」。揚げたてのカレイなどの白身魚とポテトを、モルトビネガーやタルタルソースで食べる料理です。「フィッシュアンドチップス」はイギリスの工業化とともに浸透していき、1913年には英国国際フィッシュアンドチップス協会が設立。第二次世界大戦下でも配給食糧として提供されるなど、今もイギリス国民のソウルフードとして親しまれています。

イギリスのビールの種類

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イギリスのビールの種類(ビアスタイル)としては、おもに以下のようなものが挙げられます。

ペールエール

赤味がかった銅色が特徴の「ペールエール」はイギリスのビールの代表格。泡立ちと炭酸が控えめな一方、紅茶や花を想起させるホップやモルトの芳醇な香りが、飲む人をたのしませます。

インディア・ペールエール(IPA)

インディア・ペールエールの頭文字をとったものがIPAで、アイ・ピー・エーと読みます。インディア・ペールエールとは、ペールエールの発祥の地のイギリスから、18世紀末にイギリスの植民地だったインドにペールエールを船で運ぶ際に、運搬中にビールが腐らないように防腐効果のあるホップを大量に入れたビールを造ったのがはじまりです。ホップを大量に使用しているので、苦味の強いビールになっています。

スコッチエール

スコットランドの都市、エディンバラに由来を持つ「スコッチエール」は、アルコール度数が高めで飲みごたえのあるビール。一方で、風味にフルーティーな甘さが感じられ、多くの人に親しまれています。

イギリスを代表するビール銘柄を紹介

最後に、日本でも手に入るイギリスを代表するおすすめのビール銘柄を紹介します。

ロンドンプライド

出典:アイコン・ユーロパブ株式会社サイト

「ロンドンプライド」はテムズ河沿いに醸造所を構える、イギリスを代表するブルワリー「フラー・スミス・アンド・ターナー」が販売するロンドンのパブで人気の銘柄。3種類のホップをブレンドした香り豊かな味わいが特徴です。

輸入元:アイコン・ユーロパブ株式会社
公式サイトはこちら
製造元:フラー・スミス・アンド・ターナー社(Fuller, Smith & Turner PLC)
公式サイトはこちら

ブリュードッグ パンクIPA

出典 :BrewDog Japan 公式フェイスブック

「ブリュードッグ パンクIPA」は2007年創業のクラフトブルワリー「ブリュードッグ」が、世界一のIPA(インディア・ペールエール)をめざして生み出したビールです。採算度外視でホップを惜しみなく使い、そのアロマを最大限に引き出しています。

輸入元:ブリュードッグ・カンパニー・ジャパン
公式サイトはこちら

かのエリザベス1世も朝から約1リットルのビールを飲んでいたといわれるほど、ビール好きの人が多い国イギリス。日本のビールファンにとっては、一度は訪れてみたい国ではないでしょうか。日本でも販売されている銘柄があるので、ぜひ味わってみてくださいね。

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