アイスワインは最高峰の甘口ワイン! おすすめの飲み方や銘柄を紹介

アイスワインは最高峰の甘口ワイン! おすすめの飲み方や銘柄を紹介
出典 : Scherbinator / Shutterstock.com

アイスワインは自然凍結したブドウから造られる甘口のワインです。芳醇な甘さと豊かな香りを持ち希少性の高いアイスワインは、最高峰のデザートワインといわれています。今回は、アイスワインの特徴や飲み方のポイント、生産国ごとの特徴や代表銘柄などを紹介します。

  • 更新日:

アイスワインとは?

アイスワインとは?

KarepaStock / Shutterstock.com

アイスワインは奇跡的な偶然が生んだ甘口のデザートワイン

アイスワインは、自然凍結した状態のブドウから造られる甘口のデザートワインです。18世紀末、ドイツ北部のフランコニア地方の農民が霜により凍ってしまったブドウを捨てずにワインを造ったところ、豊かな香りと強い甘味を持つワインが生まれたそう。この出来事を機にアイスワインの製造が開始され、その製法は地理的に隣接したオーストリアにも伝わりました。

アイスワインが本格的に産業化されたのは1960年代以降のことです。1980年代にはドイツの一部の生産者がより安定した生産地を求めてカナダに移住し、カナダのオンタリオ州ナイアガラ・オン・ザ・レイク地方でもアイスワインの製造が開始されました。

「アイスワイン」という名称は国際的な登録商標となっていて、ドイツ、オーストリア、カナダ産で一定の基準を満たすワインにのみ使用されます。

アイスワインと貴腐ワインの違い

アイスワインと同じく極甘口のデザートワインとして貴腐ワインがありますが、両者は製法や味わいが異なります。

貴腐ワインは貴腐菌が付着して水分が蒸発した「貴腐ブドウ」から造られるワインで、蜂蜜のような濃厚な甘さと複雑な味わいが特徴です。

一方、凍結によって果汁が凝縮されたアイスワインには豊かな果実味と酸味があり、甘口でありながらさっぱりとした味わいとなっています。

人工的な製法でアイスワインに似た甘さを実現したワインも

アイスワインのブドウの収穫時期は通常のブドウより遅く、12月から2月ごろの極寒の季節に作業が行われます。そのため、ブドウが霜や食料を求めてやってくる野生生物の被害に合うリスクがあるうえ、凍結したブドウを手摘みで収穫するなどの過酷な作業を伴い、収穫量が限られてきます。

こうした収穫の困難さに加え、凍結したブドウ一房からはスプーン一杯程度の果汁しか採れません。そのため、アイスワインは非常に希少価値が高く、通常のワインよりも価格が高めとなっています。

近年は、アイスワインに似た甘口の味わいを人工的に生み出す製法も採用されています。「クリオ・エクストラクション法」と呼ばれるもので、自然凍結したブドウを使わず通常のブドウを人工的に凍らせて甘さを出します。この製法で造られるワインはアイスワインのような甘口の味わいを持ちながらも、比較的手ごろな価格で入手可能です。

アイスワインのおいしい飲み方

アイスワインのおいしい飲み方

Pixel-Shot / Shutterstock.com

アイスワインの飲み方1:適度に冷やして飲む

アイスワインの芳醇な甘さとすっきりとした飲み口を味わうためには、4~8度くらいの適温に冷やして飲むのがベターです。温度が高いと甘さが強く感じられ重たい口当たりになりやすく、冷やしすぎると果実味や香りが感じにくくなります。アイスワインならではのバランスのよい味わいをたのしめるよう、推奨されている適温で飲むようにしましょう。

アイスワインの飲み方2:グラスに少なめに注ぐ

アイスワインは豊かな香りをたのしみながら、少しずつゆっくりと味わいましょう。香りを存分にたのしめるよう、大振りのグラスやチューリップ型のグラスに少量を注いで飲むのがおすすめです。ワインを軽く回してスワリングすれば、華やかな香りが広がるでしょう。なお、アイスワインの芳醇な風味をしっかり味わいたいなら、シャンパーニュ用のフルートグラスが最適です。

アイスワインの飲み方3:フルーツやデザート、チーズを合わせる

アイスワインは、フルーツやデザート、チーズと合わせればさらにおいしくたのしめます。フルーツと合わせる場合、洋ナシやイチジク、アプリコットなどのフレッシュフルーツや、甘味の強いドライフルーツやコンポート(シロップなどで煮込んだもの)などがおすすめです。

また、フルーツを使った焼き菓子のほか、フルーツのソルベ、アイスクリームなどともよく合います。アイスワインをバニラアイスにかければ、華やかな香りの大人のデザートになるでしょう。

アイスワインは、ブルーチーズとの組み合わせもおすすめです。塩分が強く特有の香りを持つブルーチーズは、甘味の強いアイスワインとの相性が抜群です。

アイスワインの生産国と代表銘柄

アイスワインの生産国と代表銘柄

eskystudio / Shutterstock.com

カナダのアイスワイン

現在、アイスワインの生産がもっとも盛んな国はカナダです。

カナダでは、「VQA(Vintners Quality Alliance)」という機関がアイスワインの製法について厳しい基準を設けているのが特徴。自然凍結したブドウを使用することや氷点下8度以下の日が3日間続いてから収穫することなどが定められていて、基準をクリアしたアイスワインにはVQAのラベルが貼られます。カナダ産のアイスワインを選ぶ際は、ラベルをチェックするとよいでしょう。

カナダ産のアイスワインでは、ブドウの品種はヴィダルが多く使用されていて、ほどよい酸味のあるフルーティーな甘さをたのしめます。アイスワインの生産者としては老舗のイニスキリン・ワインズがとくに有名で、「アイスワイン・ゴールド・ヴィダル」などが代表銘柄として挙げられます。

ドイツのアイスワイン

アイスワインの発祥国ドイツにおいてもカナダ同様、アイスワインの製造には厳しい基準が定められています。ドイツのアイスワインで使用されるブドウ品種はリースリングが主流で、華やかな香りと豊かな酸味が魅力です。ドイツのアイスワインは、ほかの国と比べアルコール度数がやや低いのも特徴となっています。

ドイツ産のアイスワインとしてはドクター・ローゼン醸造所による「リースリング・アイスヴァイン」などが有名です。

なお、近年は温暖化の影響により、ドイツのアイスワイン生産は困難な状況となっています。そのため、いっそう希少性が高まっているといえるでしょう。

オーストリアのアイスワイン

オーストリアのアイスワインは、グリューナー・ヴェルトリーナーやトラミナー、リースリングなどのブドウ品種から造られます。オーストリアのアイスワインは、ドイツ産と比べて力強くボリューム感のある味わいなのが特徴です。

オーストリアでも、ドイツ同様、温暖化の影響によりアイスワイン生産は困難になってきています。代表的な銘柄としては、シュロス・ゴベルスベルグによる「グリューナー・フェルトリーナー アイスワイン」が挙げられます。



アイスワインは、芳醇な甘さと華やかな香りがたのしめる極上のデザートワインです。アイスワインを飲む際は、温度やグラスに注ぐ量、ペアリングなどを意識して、ゆっくり味わいたいですね。

おすすめ情報

関連情報

ワインの基礎知識