「日本酒検定」とはどんな資格?検定の概要から過去問まで紹介!
「日本酒検定」という検定をご存じですか?日本酒の基礎から、マナー、ラベルの読み方まで幅広い知識が求められます。知れば知るほどたのしみが広がる日本酒。今回は、そんな日本酒検定についてご紹介していきます。
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目次
「日本酒検定」とは? どんな種類がある?
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「日本酒検定」とは日本酒をたのしむための知識指標
「日本酒検定」は、日本酒好きをはじめ多くの人が日本酒の魅力を気軽に理解し、よりたのしく飲めるようになることを目的に作られた、一般消費者向けの検定試験です。
日本酒の歴史や製法、おいしい飲み方などを学ぶうちに、日本酒に対する知識が深まって飲むたのしみが広がるため、日本酒通はもちろんビギナーにも注目されています。
「日本酒検定」を運営する団体SSIとは?
「日本酒検定」を運営するのは、日本酒のソムリエ「唎酒師(ききさけし)」の資格認定で知られる日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)です。SSIは日本酒・焼酎の提供・販売従事者によって設立された消費者任意団体で、「唎酒師」のほかにも「国際唎酒師」「日本酒品質鑑定士」「酒匠(さかしょう)」「国際酒匠」など数々のプロフェッショナル資格の認定を行っています。
「唎酒師」などは、お酒の提供販売者向けの資格なのに対し、「日本酒検定」は、消費者向けの資格・検定試験です。日本酒愛好家のなかにも前者の資格取得を目指す人がいますが、販売促進の知識やスキルを身につけるよりも日本酒を純粋にたのしみたいという人は、「日本酒検定」に挑戦するとよいでしょう。
「日本酒検定」の種類
「日本酒検定」は、1級、準1級、2級、3級の4つのグレードに分かれていて、それぞれの級には以下のような人物像が想定されています。
◇3級
日本酒の基礎知識や周辺知識、特徴、魅力などを理解し、第三者に伝えることができる人。
◇2級
日本酒の基礎知識はもちろん、特徴や魅力をしっかり理解したうえで、新しいたのしみ方を考案できる人。
◇1級&準1級
日本酒にまつわるあらゆる知識を身につけ、後世に伝えられる人。日本酒文化の継承・発展に貢献できる人。
「日本酒検定」の受験資格と申し込み方法をチェック
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「日本酒検定」の受験資格と受験方法
「日本酒検定」は、職業や学歴、性別に関係なく、20歳以上の人なら誰でも受けられる検定試験です。まずは3級からスタートし、3級合格後は2級に挑戦。その後は準1級、1級へと段階的に受験資格が得られる仕組みになっています。
なお、「唎酒師」の資格があれば2級から、「日本酒学講師」または「酒匠」認定者は準1級から受験できます。
「日本酒検定」の3級はCBT受験もできる
「日本酒検定」の試験は、公式サイトで告知された日時に全国主要都市の会場で実施されますが、3級のみCBT受検が可能です。
CBTとは、「Computer Based Testing」の略。47都道府県260会場のテストセンターで、コンピューターを用いた試験が随時実施されています。
一般的な会場受験と比べると受験料がやや割高ですが、日程や会場、時間などの条件は都合に合わせて選択することができるうえ、結果は即日判定。好きなときに受験したい、会場が近くにないという人は、CBT試験がおすすめです。
「日本酒検定」の申込方法と受験料
「日本酒検定」に挑戦するには、公式サイトで告知された申込期間内に申込みを行う必要があります。まずは開催日時や会場をチェックのうえ、公式サイトの各級の「お申込み」ボタンから、運営団体が加盟する受注システムへジャンプし、画面の指示に従って手続きを行いましょう。その際、手元にクレジットカードを用意しておくとスムーズに進められます。
気になる受験料(検定料)は、1級5,250円、準1級4,700円、2級4,200円、3級(会場受験)3,650円、3級(CBT試験)4,650円。いずれも税込価格です。
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「日本酒検定」の出題範囲をチェックして対策を練ろう
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「日本酒検定」の出題分野をチェック
「日本酒検定」の試験はマークシートによる択一選択方式。出題される分野は、日本酒の歴史や文化から、原料、製法、マナー、雑学、たのしみ方まで多岐にわたります。
文化という一ジャンルをとっても、飲酒文化や地域文化を横断的に学ぶ必要があり、また雑学では、日本酒の生産量や消費量、醸造元や銘柄にまつわるウンチク、さらには海外事情まで、深い知識と理解が求められます。たのしみ方についていえば、ラベルの読み方から飲用温度、酒器、料理との相性まで、幅広い知識が必要です。
とはいえ、こうした知識は3級から段階的に積み上げていけば身につくもの。まずは日本酒の基礎知識をマスターすることから始めましょう。
「日本酒検定」の公式テキストがおもしろい
「日本酒検定」の出題範囲を網羅するには、公式テキストに沿って学んでいくのが近道です。テキストを2つ紹介します。
◇「日本酒検定」3級公式テキスト『酒仙人直伝 よくわかる日本酒』
日本酒をたのしむ秘けつをはじめ、ラベルの読み方、原料、製法、歴史といった話題を日本酒ビギナー向けにわかりやすく解説した入門書。「日本酒検定」の公式サイトから購入できます。
◇「日本酒検定」1級・準1級・2級公式テキスト『新訂 日本酒の基』
日本酒の基礎知識から、香味特性の分類、テイスティングの極意までを網羅した実用書の決定版。「唎酒師」などプロフェッショナルな資格の取得を目指す人も一度は手に取る、バイブル的な1冊です。こちらも公式サイトから購入可能。
「日本酒検定」の過去問を解くだけでたのしみの幅が広がる
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3級の過去問に挑戦してみよう
「日本酒検定」3級試験の問題数は50問、解答時間は50分。合否の分かれ目は7割といわれています。まずは過去問の一例で腕試しをしてみましょう。
問1:日本酒造りに使用される主な米の種類はどれか。
(1)餅米
(2)赤米
(3)古代米
(4)うるち米
問2:製麹の最大の目的は何か。
(1)香気成分の分泌
(2)酵母の培養
(3)乳酸菌の育成
(4)糖化酵素の供給
問3:戦国時代頃に確立された麹米にも掛米にも精白米を使用する手法を何造りと呼ぶか。
(1)片白造り
(2)諸白造り
(3)吟醸造り
(4)灘造り
問4:「鰻の蒲焼」「麻婆豆腐」「ハードタイプチーズ」など、非常に濃厚な料理と好相性を示すタイプはどれか。
(1)薫酒 香りの高いタイプ
(2)爽酒 軽快でなめらかなタイプ
(3)醇酒 コクのあるタイプ
(4)熟酒 熟成タイプ
解答/問1:(4)うるち米 問2:(4)糖化酵素の供給 問3:(2)諸白造り 問4:(4)熟酒 熟成タイプ
難問多数! 1級の過去問を解いてみよう
「日本酒検定」のグレードのなかでももっとも難易度の高い1級では、85%以上の正答率が求められます。その過去問の一例を紹介します。
問1:麹菌が作り出す酵素の中で「酸性カルボキシペプチダーゼ」の役割はどれか。
(1)デンプンを糊状に分解すること
(2)ペプチドをアミノ酸に分解すること
(3)タンパク質をペプチドにまで分解すること
(4)糊状になったデンプンを糖類に分解すること
問2:下記の[ ]内の日本酒蔵のうち、江戸幕府開府より創業年が古い蔵元は何軒あるか。(カッコ内は所在都道府県)
[高木酒造(山形県)、福光屋(石川県)、月桂冠(京都府)、小西酒造(兵庫県)]
(1)0軒
(2)1軒
(3)2軒
(4)3軒
問3:全国の「乾杯条例」において、条例名内に日本酒や地酒の他に地元の陶磁器が推奨されていない自治体はどこか。
(1)佐賀県唐津市
(2)兵庫県西宮市
(3)茨城県笠間市
(4)秋田県大館市
問4:20℃の日本酒を家庭用冷蔵庫で10℃まで冷やす場合、時間はどれくらい必要か。
(1)約30分
(2)約1時間
(3)約2時間
(4)約4時間
解答/問1:(2)ペプチドをアミノ酸に分解すること 問2:(2)1軒 問3:(2)兵庫県西宮市 問4:(3)約2時間
「日本酒検定」の次にチャレンジしたい検定試験
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日本酒のソムリエ「唎酒師」
前述のとおり、「唎酒師」は、「日本酒検定」の運営団体と同じ、日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が運営を手がける、お酒の提供販売業者向けの認定資格です。「日本酒のソムリエ」と呼ばれることもあります。
「唎酒師」に認定された人の多くは、日本酒を飲んだことがない人や日本酒ビギナーにおいしい飲み方を提案するほか、日本酒好きな人が今まで以上に日本酒をたのしめるようアドバイスを行うプロフェッショナルとして活躍しています。
なお、「唎酒師」になるには、以下の4つの方法があります。
◇通信プログラム
3か月の通信プログラムで月1回、計3回の課題をクリアするコース。映像教材とテキストにより、マイペースで学びたい人に。
◇2日間集中プログラム
専用ワークノートで事前学習を行い、会場で2日間の受講・受験。試験にパスしない場合は、合格するまで指導が受けられます。
◇受験プログラム(オンデマンド受験コース)
動画と教材で学習後、1年以内にオンデマンドで受験。自宅だけで完結するので、忙しい人でも安心です。
◇受験プログラム(1日通学コース)
1日の通学で重点的に学び、受講後は1年以内に受験。短期集中的に学び、自宅でじっくり掘り下げたい人におすすめです。
日本酒のソムリエ 唎酒師
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日本酒・焼酎のテイスティング専門家「酒匠」
「酒匠」は、「唎酒師」をしのぐテイスティング能力が求められる、日本酒や焼酎のプロフェッショナル資格です。味や香りを的確に表現するスキルや、香味を視覚化・数値化するスキルを身につけることで、セールスプロモーションに活かします。
「酒匠」の認定を受けるには、2日間・約18時間の講習会であらゆる角度から嗅覚のトレーニングを行ってテイスティング能力を磨き、料理とのペアリング法などを習得したのち、筆記(一次試験)および各種テイスティング(2~4次)試験に合格する必要があります。
酒匠
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日本酒・焼酎に特化した認定制度「J.S.A. SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)」
「J.S.A. SAKE DIPLOMA」は、日本を代表するソムリエ、田崎真也氏が代表を務める一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)が、日本の食文化の普及と向上を目指して2017年に発足させた、日本酒・焼酎に特化した認定制度です。
認定を受けるには、公式テキスト「J.S.A. SAKE DIPLOMA 教本」全般を出題範囲としたCBT試験に合格後、テイスティングと論述試験を含む二次試験をクリアする必要があります。
J.S.A. SAKE DIPLOMA
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日本酒は、知れば知るほどたのしみが広がるお酒。「日本酒検定」をはじめとする認定試験に挑戦して日本酒に対する知識や理解を深めれば、今まで以上に充実した日本酒ライフを送れるかもしれません。日本酒好きの人は力試しにチャレンジしてみてはいかがでしょう。
※受検料は記事執筆時点のものです。受検日程により変更になっている場合がありますので、公式ホームページでご確認ください。