赤ワインを「常温」で飲むのは間違い? ワインごとの適温を知ろう

赤ワインを「常温」で飲むのは間違い? ワインごとの適温を知ろう
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「赤ワインは常温で」という言葉を耳にしますが、赤ワインを飲む際、そのままで飲むべきか、冷やしてから飲むべきか、迷ったことがある人もいるのではないでしょうか。今回は、ワインの飲みごろの温度や冷やし方、保存の際の注意点について紹介します。

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赤ワインは「常温」で、という常識に潜む誤解とは

赤ワインは「常温」で、という常識に潜む誤解とは

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ワインは温度によって味わいが変化する

ワインをおいしく味わうための前提として知っておきたいのが、ワインは温度によって味わいが変化する飲み物であるということです。

ワインの味わいにおいて「酸味」「渋味」「甘味」はとても重要な要素ですが、温度が変化することで、これらのバランスに変化が生じます。「酸味」と「渋味」はワインが低温になると強調され、高温になるとまろやかになる一方、「甘味」はワインが高温になると強く感じられ、低温になると控えめに感じられます。

そのため、ワインをおいしい状態で味わうためには、それぞれのワインの魅力を存分に引き出せる温度で飲むことが大切です。

ワインの「常温」は地域や季節によって異なることに注意

ワインの種類やタイプによって、おいしく感じられる温度は異なります。たとえば、赤ワインは白ワインと異なり、冷やしすぎると渋味が強調されてしまうことがあります。一般的に「赤ワインは常温で」といわれるのはそのためです。

とはいえ、「常温」という言葉が指す温度は、地域や季節によって異なります。「赤ワインは常温で」という場合の「常温」は、フランスをはじめとするヨーロッパの気候を想定したもの。高温多湿の日本では、環境がまったく異なります。また、夏と冬など、季節によっても「常温」は変わってしまいます。

そのため、赤ワインの場合にも、漠然と「常温」と認識するのではなく、適温を知っておく必要があります。

ワインごとの飲みごろの温度を知ろう

ワインごとの飲みごろの温度を知ろう

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ワインの適温の目安とは

ワインの適温は種類やタイプによって異なりますが、だいたい以下のような目安を覚えておくとよいでしょう。

【赤ワイン】

赤ワインは、冷やしすぎて渋味が強まりすぎないように気をつけましょう。渋味のもととなるタンニンを多く含むフルボディの赤ワインは約16~20度、ミディアムボディの赤ワインは約14~16度、ライトボディの赤ワインは約12~14度がおすすめの温度です。

【白ワイン】

白ワインは冷やすことで酸味とフレッシュさが際立ちますが、冷やしすぎると本来の香りや味わいが感じにくくなります。白ワインは、辛口であれば約6~12度がおすすめの温度です。甘口の場合は、6~8度くらいを目安にしっかり冷やしたほうが、甘味がさっぱりと感じられます。

【ロゼワイン】

ロゼワインも白ワインと同様、適度に冷やすことでバランスのよい味わいになります。辛口のロゼワインは約8~10度、甘口のロゼワインは約6~8度が適温です。

【スパークリングワイン】

爽やかな酸味や泡をたのしみたいスパークリングワインは、6~8度を目安にしっかりと冷やして飲むようにしましょう。ただし、シャンパーニュのように複雑味のあるものは、やや高めの10度くらいのほうがより香りをたのしむことができ、おいしく感じられることがあります。

常温のワインを適温まで冷やす方法

常温のワインを冷やす方法として一番手軽なのは、冷蔵庫に入れる方法です。より早く冷やしたい場合は冷凍庫も使用できますが、長く入れすぎると瓶が割れるおそれがあるので注意が必要です。

また、ワインクーラーを使用するのもおすすめです。氷水を入れたワインクーラーにボトルをしっかりと浸しておけば、1分間に約1度の目安で冷やすことができます。

なお、ワインが適温になったかどうかをみるには、温度計があると便利です。センサー部分をワインの液体に直接つけて測るものや、液体に接触させずに温度を測れるもののほか、ボトルに巻きつけるタイプの温度計では、いつでも手軽に温度を確認することができます。

ワインは常温で保存できる?

ワインは常温で保存できる?

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長期保存なら常温よりワインセラーでの保管がおすすめ

ワインは保存環境の影響を受けやすいため、品質の劣化を防ぐには温度を適切に保つことがとても大切です。

未開封のワインの保存に適した温度は、赤・白・ロゼ・スパークリングワイン問わず13~15度程度で、変化が少ないことが理想です。そのため、自宅でワインを保存する場合には、収納戸棚や冷蔵庫の野菜室など、なるべく涼しい場所を選ぶようにします。

また、ワインを適切に保管する条件として、温度以外にも、湿度を約70~80%に保つことや光を避けること、振動を与えないこと、臭いの強い物のそばに置かないことなど、複数の要素に注意する必要があります。

こうした条件を満たし、ワインを最良な状態で保存できるのがワインセラーです。とくに、1年以上など長期間にわたって保存する場合は、導入を検討するとよいでしょう。

なお、白・ロゼ・スパークリングワインを飲む際は、冷蔵庫などで適温まで冷やしてくださいね。

開栓後のワインは常温保存できない

開栓後のワインは酸化が一気に進み、味わいや香りが変化します。そのため、なるべく1週間以内に飲み切るようにしましょう。

また、開栓後は微生物の発生を防ぐため、必ず冷蔵庫で保存します。できるだけ空気に触れさせないよう、しっかり蓋をし、ボトルを縦にして冷蔵庫に入れましょう。

その際、市販の真空ポンプ器具を使用してボトル内の空気を抜いたり、窒素ガスを注入したりすると、ワインの酸化を遅らせることができます。

ワインにはそれぞれおいしく感じられる温度があります。適温を意識して、ベストな状態でたのしみたいですね。

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