17年もののウイスキーってどんなお酒? ウイスキーの年数表記について学ぼう

17年もののウイスキーってどんなお酒? ウイスキーの年数表記について学ぼう
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年代物ウイスキーという表現や、「バランタイン17年」のように年数が表記された銘柄がありますが、この年数は何を表しているのでしょうか?なんとなく 「熟成年数のこと」と知っていても、その数字にはさまざまな意味があります。今回はウイスキーの年数表記について確認しましょう。

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ウイスキーの年数表記ってどんな意味?

ウイスキーの年数表記ってどんな意味?

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17年もののウイスキーとはどんなもの?

ウイスキーのラベルに表示されている「17年」などの年数表記は、「ウイスキーの最低熟成年数」を表しています。
なお「シングルカスク」と呼ばれる貴重なウイスキーは、ブレンド作業をせず、ひとつの熟成樽の原酒だけを瓶詰めしますので、ラベルに「17年」などと熟成年数を記載するのではなく、「2005年」といった、原酒熟成開始年を記載するのが一般的です。

17年もののウイスキーにはさまざまな年数の原酒が用いられることもある

しかし、「17年」と表記されていても、必ずしも17年間熟成させた原酒「だけ」が瓶に詰められている、というわけではありません。

ウイスキーは通常、樽で熟成させた複数の原酒をブレンドすることで完成しますが、ブレンドには同じ熟成年数のものだけでなく、さまざまな年数の原酒を用いるのが一般的です。

シングルモルトウイスキーについて、ウイスキーに詳しい人には「1種類の原酒のみでは? 」と思われそうですが、同じウイスキーでも樽が違えば少しずつ風味が異なります。そのため、ボトルごとの味を均一にして出荷するために、一般的にはどのウイスキーにもブレンドという複数の原酒を混ぜ合わせる作業が行われているのです。

17年もののウイスキーの年数表記のルールとは

ウイスキーの正しい年数表記のルールとして、複数種類の原酒をブレンドした場合は、もっとも若い原酒の熟成年数(最低年数)を表示することと決められています。

そのため、ラベルに「17年」と表記されているウイスキーには、17年間熟成させた原酒のほかに、18年ものや、20年ものなど、さらに古い原酒が使われている場合もあるということになります。

17年もののウイスキーにはどんな銘柄があるの?

17年もののウイスキーにはどんな銘柄があるの?

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17年もののウイスキーにはどんな魅力があるの?

年数が表記されるウイスキーで、とくによく見かけるのが「12年」ですが、なぜ「17年」が注目されているのでしょうか。

これには恐らく、世界的な賞を獲得した銘柄が関係していると考えられます。ニッカウヰスキーの「竹鶴17年ピュアモルト」は、国際的なコンテストである「ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)」で、世界最高賞を何度も受賞。また「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)」では、サントリーの「響17年」が、何度も金賞を獲得しています。

一説では、ウイスキー特有のまろやかさが表れるのは17年とも、17年経ったころにウイスキーの味わいや個性が表れるともいわれています。もちろん、18年ものや20年ものなど、ほかの熟成年数のウイスキーにも同じようなことがいえますが、17年ものならではの絶妙なバランス・魅力が備わっているといえそうです。

日本の銘柄で17年もののウイスキーといえば

ジャパニーズウイスキーの17年ものといえば、先ほども紹介した「竹鶴」や「響」です。入手しにくい銘柄ですが、どんなウイスキーなのか、それぞれの特徴を見てみましょう。

【竹鶴17年ピュアモルト】

モルトウイスキー100%ならではの深みある香りとピートの香り、長期熟成によってもたらされた熟成香をたのしめます。凛としていて重厚感あふれる味わいながら、爽やかな余韻を残すのも特徴。「竹鶴ピュアモルト」の開発テーマである、「モルトウイスキーでありながら、ブレンデッドに匹敵するやわらかさを持つウイスキー」をまさに体現した、魅力ある1本です。

【響17年】

厳選した長期熟成モルトを30種類もブレンドした「響17年」は、甘く華やかな熟成香が特徴です。後熟にもたっぷりと時間をかけているため、多彩な原酒が調和した美しいハーモニーを奏でています。アフターテイストに、エステリーな果実香などの繊細で心地よい余韻が残ります。
※国産ウイスキーの需要増を受けて、現在、販売を休止しています。

海外の銘柄で17年もののウイスキーといえば

海外ウイスキーの17年ものには、どのような銘柄があるのでしょうか。ここでは、「バランタイン」と「ザ・マッカラン」の17年ものの特徴を紹介します。

【バランタイン17年】

1937年の発売以来、世界中のウイスキーファンから“究極のブレンド”として称賛されるスコッチウイスキーの銘柄です。「バランタイン17年」のブレンドに使われている原酒は40種類以上。ピート香やウッディネス(木香)、モルティーな香りが絶妙なバランスで組み合わされていて、名門・バランタインだからこそ実現し得た熟練の技をたのしめます。

【ザ・マッカラン ファインオーク 17年】

「ザ・マッカラン」は、スコットランドのハイランド地方で2番目に蒸溜ライセンスを取得したザ・マッカラン蒸溜所の銘柄。ヨーロピアンオークとアメリカンオークのシェリー樽、バーボン樽の3つの樽で熟成した原酒をブレンドしていて、ジャスミンのような香りとスムーズな飲み口、しっかりとした味わいをたのしめます。なお、現在ファインオークシリーズは「トリプルカスク」として刷新されています。

入手困難な年代物ウイスキー

入手困難な年代物ウイスキー

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17年もののウイスキーが入手困難なのはなぜ?

17年もののウイスキーをいくつか挙げましたが、とくに国産銘柄を入手するのは非常に困難です。なぜ熟成年数の長いウイスキーは入手が難しいのでしょうか。

理由のひとつに、世界中にコレクターがいることが挙げられますが、とくにジャパニーズウイスキーの年代物が入手困難な理由は、国内のウイスキーブームと、世界的な賞を受ける銘柄が増えて注目度が高まっていることが関係しています。

また、長らくウイスキー需要が低迷していた時期があり、もともとの生産量が少なかったこと、さらにはオークションや個人売買で高額でも購入する人もいて、残念ながら投機対象になってしまっているということも、現在の入手困難な状況を招いている要因です。

年代物のウイスキー、今後はどうなる?

年代物のウイスキーを造るには、長い熟成期間が必要なため、残念ながら17年もののウイスキーをすぐに造ることはできません。そのため、年代物のウイスキーには、希少価値の高い銘柄としてプレミアがついているものが多く、なかなか手が届きにくい存在となっています。

このような世界的な需要増を受け、日本国内の各メーカーでは、生産の増強や貯蔵能力を拡大するなど、将来に向けて準備が進められています。新しい「17年」ものの登場をたのしみに、気長に待ちたいものですね。

最低でも17年以上熟成させた原酒がブレンドされている「17年」もののウイスキーは、入手しにくく、とても貴重な存在です。ウイスキーとの出会いは一期一会。そう考えると、今グラスを傾けているウイスキーも、特別なものに感じられますね。

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