「五橋(ごきょう)」山口の風土で育まれた伏流軟水仕込みの酒井酒造の地酒【山口の日本酒】

「五橋(ごきょう)」山口の風土で育まれた伏流軟水仕込みの酒井酒造の地酒【山口の日本酒】
出典 : K321/ Shutterstock.com

「五橋」は、山口県岩国市に蔵を構える酒井酒造の日本酒銘柄です。岩国市中を流れる錦川の伏流軟水で仕込まれる「五橋」は、まろやかで香りの高い酒として知られています。原料から酒造りに携わる蔵人まで地元にこだわった酒、「五橋」を紹介します。

  • 更新日:

「五橋」は“錦帯橋(きんたいきょう)”に由来する銘酒

「五橋」は“錦帯橋(きんたいきょう)”に由来する銘酒

mTaira/ Shutterstock.com

「五橋」の名の由来となった“錦帯橋”とは

「五橋」という銘柄名は、岩国市の錦川に架かる「錦帯橋」に由来します。錦帯橋は5つの橋が連なる美しい木造橋で、そこから「五橋」と名づけられました。

錦帯橋は江戸時代の初期にあたる延宝元年(1673年)、第3代岩国藩主の吉川広嘉によって建造されました。その後、洪水による流出や老朽化で何度か架け替えられましたが、両側の2つの桁橋と3つのアーチ橋からなる特徴的な構造は、江戸時代から現在まで変わっていません。

その美しい姿から、国内屈指の名橋として、しばしば東京の日本橋、長崎の眼鏡橋とともに“日本三名橋”のひとつに数えられています。

「五橋」は錦帯橋が架かる錦川の伏流軟水で仕込まれる

「五橋」の蔵元、酒井酒造は、明治4年(1871年)に創業。蔵は錦帯橋が架かる錦川の伏流水に恵まれた場所に建てられました。
この伏流水はミネラル分が少ない“超軟水”。「五橋」を仕込む際にも、もちろん使われています。

一般的に軟水は、甘味のあるやわらかな味わいの酒になりやすい反面、発酵スピードが緩やかなため、ミネラル分を多く含み発酵がよく進む硬水よりも、扱いが難しいとされています。しかしながら「五橋」は、昭和22年(1947年)に全国新酒鑑評会で1位を獲得。超軟水でもよい酒が造れることを示し、硬水仕込みが主流だった当時の日本酒業界に新風を吹き込みました。

「五橋」は酒造りの“当たり前”を貫いて生み出される日本酒

「五橋」は酒造りの“当たり前”を貫いて生み出される日本酒

Nutto Nataphat Lordidentity/ Shutterstock.com

「五橋」の蔵元当主の口ぐせ“酒屋はもっと米を知れ”

「五橋」は地元産の厳選した原料を使い、杜氏をはじめ蔵人たちが身につけた高い技術を持って酒造りを行うという、地酒蔵元にとっての“当たり前”を貫いて生み出される日本酒です。
主要な原料の水については、前述のとおり地元錦川の伏流軟水にこだわりを持っています。

もうひとつの主要原料の米についても、平成8年(1996年)から山田錦の契約栽培を開始しているほか、“酒屋はもっと米を知れ”が口ぐせという当主自身が、製造担当者とともに酒造好適米栽培地の視察などを行うこだわりよう。地元の酒米生産者と直接関わりを持ちながら、おいしい酒造りに邁進しています。

「五橋」は山口県出身者が造る文字どおりの“地酒”

「五橋」の蔵元は、「土地の水、土地の米を操ることができるのは土地の人間だけ」という信念を持っています。蔵人の最高責任者である杜氏を、山口県大津郡日置町(現 山口県長門市)を拠点とする“大津杜氏”が務め、蔵人もすべて山口県出身者という徹底ぶりです。

「五橋」は、地元山口の風土が育んだ「水・米・技術(=人)」が三位一体となって醸される、文字どおりの“地酒”。山口の風土が育んだ「五橋」だからこそ、瀬戸内海産の新鮮な魚介類や錦川産の絶品天然鮎、そして中国山地の山の幸といった土地の食材から作られる料理にぴったり合うのです。

「五橋」がめざす伝統技術と最新技術の相乗効果

「五橋」がめざす伝統技術と最新技術の相乗効果

Spica_pic/ Shutterstock.com

「五橋」に受け継がれている酒造りの伝統

「五橋」は、杜氏を筆頭とする蔵人たちが磨き、蓄積してきた、伝統の酒造技術を駆使して造られます。なかでも、大吟醸用の“麹造り”の工程では、昔ながらの方法にこだわって行われています。約2日かけて麹菌を増やす間、経験豊かな杜氏がつきっきりで麹の番をして、菌の繁殖具合を見極めるのです。

「五橋」のラインナップのひとつに、「純米大吟醸 木桶生もと造り」という商品がありますが、これは酒造りの原点に立ち返ったお酒です。創業当時の製法にならい、古桶を組みなおした木桶を使用して、創業時と同じ70%の精米歩合、仕込み配合で醸しています。
このように、時代が変わっても、酒造りの伝統は受け継がれているのです。

「五橋」の伝統技術を補う最新の醸造技術

「五橋」の蔵元は伝統技術を大切にしていますが、そこに固執しているわけではありません。繊細なもろみの管理をコンピューター制御で行うほか、気温が高い真夏でも生酒仕込みを可能にする空調設備や、マイナス5度の氷温貯蔵ができる生酒タンクを導入するなど、最新技術を積極的に取り入れています。

また、自然の草花や昆虫から清酒酵母を分離する試みを行うなど、新しいことへも躊躇なく挑戦しています。
蔵元は、最新の技術で伝統の酒造技術を補い、酒質向上のための相乗効果が生まれることをめざしているのです。

「五橋」の蔵元は、製造が難しいとされる発泡性純米酒にも取り組み、中国・四国・九州エリアで最初の製造に成功。「ねね」というシリーズ名で発売され、人気となっています。一方で、瓶詰め後、洞窟で貯蔵した純米古酒も手掛けるなど、「五橋」は多彩なラインナップがたのしめるブランドです。

製造元:酒井酒造株式会社
公式サイトはこちら

おすすめ情報

関連情報

日本酒の基礎知識
広告掲載について

ビア検(日本ビール検定)情報

イベント情報

おすすめ情報

Ranking ランキング

おすすめの記事