「醸造アルコール」って何? なぜ使われているの?【日本酒用語集】

「醸造アルコール」って何? なぜ使われているの?【日本酒用語集】
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「醸造アルコール」という言葉を聞いたことはありますか? 日本酒は、原材料に醸造アルコールを含むかどうかによって、「アルコール添加系」と「純米系」に大別されます。身近だけれど、あまりよく知られていない、醸造アルコールの役割を紹介します。

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「醸造アルコール」を添加した「アル添酒」とは?

「醸造アルコール」を添加した「アル添酒」とは?

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醸造アルコールを添加した「アル添酒」と「純米酒」との違い

醸造アルコールは、日本酒を造るための副原料のひとつです。
日本酒は、米と米麹、水を酵母(酒母)でアルコール発酵させ、「醪(もろみ)」と呼ばれるドロドロの原液を造り、これを搾ってろ過し、火入れや加水などの調整を行い瓶詰・出荷します。
醪を搾る前に、醸造アルコールを添加した場合は「アルコール添加酒(アル添酒)」、醸造アルコールを添加せず、米と米麹、水だけで造った場合は「純米酒」と呼ばれます。

醸造アルコールを添加した「アル添酒」は低級品?

醸造アルコールを加える酒造りは、江戸時代から行われてきました。もともとはアルコール度数を高めることで雑菌の増殖を防ぐために始められたようですが、結果として風味がよくなったことから、この製法が受け継がれてきたと言われています。
しかし、戦中・戦後の米不足の時代には、おもに増量のために醸造アルコールが添加されるようになり、味が薄くなるのを補うために、糖類や酸味料、グルタミン酸などを加えて三倍の量にする「三増酒(さんぞうしゅ)」が出回ったことで、ネガティブなイメージが定着してしまいました。
現在では、三増酒の製法は法律で禁じられていて、決して「アル添酒=低級品」ではありません。国内で流通する日本酒の約8割、「全国新酒鑑評会」に出品される吟醸酒の約9割がアル添酒であり 、むしろ醸造アルコールを添加するほうが一般的だと言えます。

「醸造アルコール」を使うのはなぜ?

「醸造アルコール」を使うのはなぜ?

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「醸造アルコール」で腐敗を防ぐ

日本酒造りで怖いのは腐敗です。衛生管理の技術が確立されていない時代は、雑菌の侵入を防ぎ、酒質を安定させるため、アルコール添加によってアルコール度数を高めていました。品質管理が向上した今では、防腐としての役割は薄れていると言ってよいでしょう。

「醸造アルコール」で華やかな香りに

日本酒の魅力のひとつに、華やかな吟醸香があげられます。この香り成分は水よりもアルコールに溶けやすいため、純米酒より、醸造アルコールが添加されているほうが、香りを感じやすくなります。
香りも重要なチェックポイントである鑑評会用の日本酒に、醸造アルコールが添加されているケースが多いのはこのためです。

「醸造アルコール」は味を軽やかにする

「醸造アルコール」は、甲類焼酎(ホワイトリカー)などと同様に、連続式蒸溜で純度の高いアルコールを精製したもので、味も匂いもほとんどありません。
ほぼ無味無臭の醸造アルコールを添加することにより、日本酒の味わいにキレが出て、すっきりとした軽やかな飲み口に仕上げる効果が期待できます。

「醸造アルコール」でコストを抑えながら質を求める

「醸造アルコール」をコストダウンのために使用するケースもありますが、日本酒の質が問われる現在、「安かろう、悪かろう」の商品はまず淘汰されます。品質を追求しつつも、消費者が入手しやすい価格に抑えるため、どの蔵元も品質とコストのバランスを見ながら使用しています。

「醸造アルコール」を添加した日本酒はどれでしょう?

「醸造アルコール」を添加した日本酒はどれでしょう?

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「特定名称酒」のうち、アル添酒はどれ?

醸造アルコールを添加した日本酒「アル添酒」は、どのような表示で販売されているのでしょう? 現在の日本の酒税法では、日本酒(清酒)を「一般酒(普通酒)」と「特別名称酒」とに大別していて、特別名称酒は原料や精米歩合(原料米をどれだけ磨いたか)などによって8種類に分類しています。
まずは「醸造用アルコールの使用量が白米総重量の10%以下」と定められている特定名称酒のなかで「アル添酒」に当てはまるものを紹介しましょう。

【大吟醸酒】
精米歩合が50%以下の日本酒。原料米をたくさん磨いているため、雑味が少なくキレイな酒質です。「醸造アルコール」効果で、華やかな香り、ほの甘くスッキリとした味わいが特徴。鑑評会出品酒に多く見られます。

【吟醸酒】
精米歩合60%以下の日本酒で、米の持つ味わいやフルーティーさが特徴。ジューシーさに加え、「醸造アルコール」が引き出した香りで“華やかな酒”の印象に。

【特別本醸造酒】
精米歩合が60%以下、もしくは特別な製造方法で造られた日本酒。精米歩合は吟醸酒と同じですが、香りは控えめなど、異なるコンセプトで造られるお酒です。

【本醸造酒】
精米歩合が70%以下。「醸造アルコール」によって米の磨きが少ないわりに、軽やかでスッとキレのよい日本酒となります。

「一般酒(普通酒)」のアル添酒は2種類ある

「一般酒(普通酒)」の場合、特定名称酒に比べて醸造アルコールの比率を高くできます。
糖類などの調味料を使用しない場合は「普通アル添酒」などと呼ばれ、原料米1トンに対して280リットルまで醸造アルコールの添加が可能です。
一方、調味料を使用する場合は「増醸酒」と呼ばれ、原料米の半分の重量まで醸造アルコールの使用が許されています。
両者の違いはラベルなどで原材料を見ると確認できます。

誤解されがちな「醸造アルコール」や「アル添酒」は、昨今の日本酒を語るうえで、外すことのできないテーマでしょう。頭ではなかなか理解できない部分もあると思います。いろいろな日本酒を飲んでみてくださいね。

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