「ピルスナー」は日本でもっとも飲まれるビール

「ピルスナー」は日本でもっとも飲まれるビール
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「ピルスナー」と聞いて、どんなビールを思い浮かべますか? 商品名に「ピルスナー」と入っていなくても、じつは日本のビールの大半が「ピルスナー」。世界的にも広く飲まれているビアスタイルです。日常的すぎて、かえって知る機会が少ないかもしれない「ピルスナー」の魅力を、改めて紹介します。

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「ピルスナー」はラガー(下面発酵)ビールの1種

「ピルスナー」はラガー(下面発酵)ビールの1種

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「ピルスナー」を含む「ラガー(下面発酵)」ビールとは?

「ピルスナー」は、世界中に150以上もあると言われるビアスタイルのひとつ。ビアスタイルは、ビール造りに使用する酵母や製法の違いから、大きく「エール(上面発酵)」「ラガー(下面発酵)」「自然発酵」の3つに分類され、「ピルスナー」はこのうちラガーの1種とされます。
ビールの歴史を辿ってみると、まだ人工のビール酵母がなかった時代から存在した自然発酵のビールがもっとも古く、次いで登場したのが比較的、常温に近い温度で発酵するエール。
低温で長期間発酵させるラガーの誕生には、低温でも発酵する酵母の発見を待たねばならず、3つのなかではもっとも新しいスタイルになります。

「ラガービール」と「エールビール」の違いとは?ポイントは発酵方法

「ピルスナー」などラガービールの歴史は15世紀から

「ピルスナー」を含むラガービールの原型は、15世紀頃のドイツを中心とした地域で誕生したと言われています。
それまでのビール醸造は、常温で発酵させるエールが主体で、腐敗をいかに避けるかが課題でした。15世紀に、低温でも発酵が進む酵母が発見され、冬場に仕込んだビールを天然の氷とともに洞窟などで貯蔵する製造法があみ出されます。これが、「貯蔵」を意味するドイツ語「ラガー」と呼ばれるようになったのだとか。

近代技術の発展がラガービールの普及を後押し

その後、19世紀後半には細菌学者のパスツールが「低温殺菌法」を発見。ビールを細菌による腐敗から守りつつ、安定した品質を維持できるビールが完成。さらに近代になって、冷蔵技術の普及にともなって、世界中でラガービールが飲まれることになります。
ラガーならではの、すっきりとした味わいや、軽やかなのどごしが、広く知れ渡るようになったのは、近代技術の発達が後押ししたからと言えるでしょう。

「ピルスナー」はチェコ発祥のビアスタイル

「ピルスナー」はチェコ発祥のビアスタイル

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「ピルスナー」は、ラガーの本場・ドイツから学んで誕生

「ピルスナー」は、ドイツで誕生したラガービールが、ヨーロッパ全土に広がる過程で、地域ごとの独自性を帯びながら枝分かれしたビアスタイルのひとつです。
その発祥はドイツの隣国、チェコのボヘミア地方にあるピルゼンという町です。ホップの産地として知られ、ビール醸造も盛んだったこの町の醸造家たちが、本場・ドイツのラガービールに学ぼうと、ミュンヘンから醸造技術者を招いて、1842年に造ったのが始まりだとか。「ピルスナー」という名称も、このピルゼンの地名に由来しています。

「ピルスナー」、その黄金色の美しさ

「ピルスナー」は、低温で長期醗酵させて造るラガービールをベースに、淡色麦芽とノーブルホップ、軟水を組み合わせて生まれたビアスタイル。その特徴は、淡い黄金色の外観です。それまでのビールは濃褐色のものが多く、その輝くような美しさから「世界初の金色のラガービール」と呼ばれ、評判になりました。

「ピルスナー」の二大潮流、「ボヘミアン・ピルスナー」と「ジャーマン・ピルスナー」

ピルスナーは、その普及とともに産地も拡大し、原型となる「ボヘミアン・ピルスナー」に加え、ドイツに“逆輸入”されて発展した「ジャーマン・ピルスナー」など、さまざまな派生スタイルが誕生します。
いずれも、ラガーならではのスッキリしたのどごしと、雑味のないクリアな味わいは共通していますが、アルコール度数は3~5度ほどと低めで、お酒に弱い人もおいしく飲めると人気です。
「ボヘミアン・ピルスナー」の場合、味のバランスがよく、あまり苦味を感じさせないのが特徴。一方、「ジャーマン・ピルスナー」はホップの苦味をしっかり感じさせる、爽快な飲み口が持ち味です。

「ピルスナー」が日本でもっとも愛されるビールになった理由

「ピルスナー」が日本でもっとも愛されるビールになった理由

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「ピルスナー」は日本の大手メーカー商品の大半を占める

「ピルスナー」は、ラガービールのなかでも、その飲みやすさで人気を博し、今や世界のビール消費量の7割を占めるとも言われるほど。
日本も例外ではなく、大手ビールメーカーの販売する商品の大半が、品名には掲げられていなくとも「ピルスナー」スタイルのビールです。
日本メーカーがお手本としているのは、「ピルスナー」のなかでも「ジャーマン・ピルスナー」。多くの日本人にとって「ビール」と言えば「スッキリ・クリアで苦味の効いた味わい」とのイメージがあるのは、このためです。

「ピルスナー」は日本の風土に合ったビアスタイル

「ピルスナー」がここまで日本に定着したのは、それだけ日本の風土や、日本人の好みに合っていたからでしょう。
夏場の高温多湿さを考えれば、口当たりがさわやかで、のどごしよくゴクゴク飲める「ピルスナー」は、まさに日本人向きのビール。
製造面から考えても、軟水の多い日本の風土に適していると言えるでしょう。

「ピルスナー」の代表銘柄(海外編)

「ピルスナー」の代表銘柄(海外編)

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「ピルスナー」を語るうえで外せない2銘柄

「ピルスナー」は、今や世界の“主流”とも言えるビアルタイル。産地ごとに異なる個性を身につけ、さまざまな「ピルスナー」がたのしまれていますが、なかでも代表的な銘柄を紹介します。

【ピルスナーウルケル】

「ピルスナー」発祥の地であるチェコのピルゼンで、1842年の誕生以来、ずっと元祖の味を守り続けてきた銘柄が「ピルスナーウルケル」です。
「ウルケル」とはドイツ語で「源泉、元」という意味。文字どおりの「元祖ピルスナー」で、「ボヘミアン・ピルスナー」の代表格と言えます。

【ビットブルガー】

「ジャーマン・ピルスナー」の代表格とされる銘柄が、ドイツ南西部のビットブルク生まれの「ビットブルガー」です。
黄金色の美しさとやわらかな泡立ち、口中に広がるホップの香りと上品な苦味、スッキリしたのどごしなど、日本のビールがお手本としただけに共通点も多く、日本人にも親しみやすい味わいです。

「ピルスナー」の代表銘柄(国内編)

「ピルスナー」の代表銘柄(国内編)

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「ピルスナー」は日本のクラフトビールでも人気

「ピルスナー」を日本で生産しているのは、大手メーカーだけではありません。個性にこだわるクラフトビールにも、それぞれ特徴ある「ピルスナー」が揃っています。代表的な3銘柄を紹介します。

【箕面ビール MINOH BEER ピルスナー】

「箕面ビール」は、世界各地の品評会でも数々の受賞歴を持つ、大阪を代表するクラフトビール。「MINOH BEER ピルスナー」は、厳選したホップを贅沢に使用した、さわやかな苦みが特徴です。

大阪のビール【箕面ビール】 丹精込めた大阪発のクラフトビールを世界へ

【小樽ビール ピルスナー】

北海道を代表するクラフトビール「小樽ビール」の「ピルスナー」は、フィルターによるろ過を行わず、0度以下の低温でじっくりと酵母を沈殿させて造るのが特徴。伝統のレシピを忠実に守り、自然な炭酸の泡立ちと、なめらかなのどごしを今に伝えています。

北海道のビール【小樽ビール】古きよきドイツビールを日本で味わう

【明石ビール 明石海岸ビール/メリケンビール】

「明石ビール」は、日本酒蔵が軒を連ねる“酒造の街”、兵庫県明石市の江井ヶ島で造られるクラフトビール。良質なアロマホップの香りが適度に感じられる「明石海岸ビール」と、軽めでドライな「メリケンビール」という2種類の「ピルスナー」を提供しています。

兵庫のビール【明石ビール】 酒造りの伝統を受け継いだクラフトビール

「ピルスナー」はキンキンに冷やして飲むよりも、3~7度ほどに冷やして飲むが最適と言われています。もちろん、好みにもよりますが、一度はこの温度で試してみてください。「ピルスナー」ならではの爽快なのどごしが際立つはずです。

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