「鏡開き」と言えばお酒、それともお餅? その起源を追跡 【日本酒用語集】

「鏡開き」と言えばお酒、それともお餅? その起源を追跡 【日本酒用語集】
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「鏡開き」と聞いて、「酒樽とお餅、どちらのことだったっけ?」と迷ってしまう人も少なくないでしょう。酒樽のフタを割って開けるのも、鏡餅を割って食べやすい大きさにするのも、どちらも「鏡開き」と言いますが、それらにはどんな由来があるのでしょうか? 「鏡開き」の起源や作法などを解説します。

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「鏡開き」で酒樽を割るのは祈願成就のため

「鏡開き」で酒樽を割るのは祈願成就のため

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「鏡開き」は神に供えられた酒を振る舞う神事

「鏡開き」とは、酒樽のフタを木槌などで割って開く神事のこと。日本では、古くから神様に祈願する際には日本酒をお供えし、神事のあとに参列者で酌み交わす習慣がありました。この際、酒樽のフタの丸い形を、円満を意味する「鏡」にたとえ、縁起の悪い「割る」ではなく、末広がりで縁起のよい「開く」と言い表したことが「鏡開き」の由来です。

「鏡開き」でお餅を割るのも神事のひとつ

「鏡開き」という言葉は、酒樽を開ける場合だけでなく、年頭に鏡餅を割って細かくする場合にも用いられます。もともとは武家で始まった行事のため、切腹を連想させる刃物を使うのでなく、木槌などで割るようになったのだとか。
酒樽の「鏡開き」も、鏡餅の「鏡開き」も、健康や幸福、勝利などを祈願する神事として、今日まで受け継がれてきた日本文化のひとつです。

「鏡開き」に使われる酒樽は「菰冠(こもかぶり)」

「鏡開き」に使われる酒樽は「菰冠(こもかぶり)」

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「鏡開き」は新たな出発を祝うために行われる

「鏡開き」は、もともと武士が出陣にあたり戦勝を祈願して行ったという説があります。実際に大樽が普及したのは、戦国時代が終わって江戸時代に入ってからとされているので、これは俗説と言えそうですが、「鏡開き」が昔から数々の儀式を彩ってきたことに違いはありません。
今日では、鏡開きは、結婚披露宴や新築祝い、開店祝い、あるいは創立記念のパーティーなど、新たな出発や区切りに際して行われています。

「鏡開き」に欠かせない「菰冠(こもかぶり)」の酒樽

特別な日を祝うための「鏡開き」ですから、通常の酒樽とは違って、豪華な装飾が施されています。
「鏡開き」に使われる樽は、吉野杉で造った木樽に、菰(こも)ムシロを巻いたもので、「菰冠(こもかぶり)」と呼ばれます。
もともとは日本酒を輸送する際に、樽を保護する目的でムシロを巻いたのが始まりとされていますが、次第に装飾的な意味合いが強くなったと言われています。

「鏡開き」用の菰冠の酒樽はどこで購入できる?

「鏡開き」用の菰冠の酒樽に入った日本酒は、目にする機会は少ないものの、じつは多くの蔵元で製造しています。サイズもさまざまなものが用意されているので、人数に合わせて選ぶことができます。
京都・伏見や兵庫・灘など酒処の大手蔵元であれば、ほとんどが鏡開き用の酒樽を販売していますので、意中の蔵元の公式サイトをチェックするか、最寄りの酒屋さん、あるいは宴会場に問い合わせてみましょう。

「鏡開き」でお酒を振る舞う際の作法を知ろう

「鏡開き」でお酒を振る舞う際の作法を知ろう

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「鏡開き」の樽のフタは事前に一度開けておく

「鏡開き」はなかなか何度も経験できるものではないので、どんな準備をして、どのように行うのかわからないという人もいるでしょう。そこで、鏡開きの進め方を簡単に説明しましょう。
誤解している人も多いようですが、しっかりと密閉された酒樽のフタは、木槌で軽く叩いたくらいでは開きません。事前にタガをゆるめ、バールなどで一度フタを開けてから、樽に乗せます。あとはセレモニー本場で軽く木槌で叩けば“鏡が開く”と言うわけです。
このとき、強く叩きすぎると酒が飛び散ることもあるので注意しましょう。

「鏡開き」した樽酒をおいしく飲むポイント

「鏡開き」のセレモニーは、樽酒のフタを開けて終わりではありません。祈りを込めて供えた日本酒を、集まった人々と酌み交わすことに意味があります。あらかじめ人数分の升を用意しておき、杓で注いで配れば、祝い事の演出には最適です。
樽の香りがほどよく溶け込んだ日本酒は、そのままでもたのしめますが、一度フタを開けた際に、氷を入れたビニール袋などを樽内に入れてお酒を冷やしておくと、よりおいしくいただけます。

「鏡開き」の神事を通じて、日本酒と神事の強い結びつきを改めて感じることができます。古くから、日本人の文化や生活と密接に結びついてきた日本酒に親しむために、一度は鏡開きを経験したいものです。

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