沖縄が世界に誇る「泡盛」の魅力を大解剖!
「泡盛」は、沖縄県の伝統的なお酒です。泡盛は日本の酒税法では「焼酎」に分類されているものの、原料や仕込み、アルコール濃度など、他の焼酎とは異なる特徴を持ちます。ここでは、泡盛の定義や歴史を紐ときながら、その魅力に迫っていきます。
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沖縄の「泡盛」ってどんなお酒? その定義と名前の由来
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「泡盛」の定義を改めて確認しよう
泡盛は日本の酒税法では「焼酎」に分類されていて、法律上の明確な定義はありません。
国税庁サイトでは、独立行政法人酒類総合研究所からの引用として、泡盛を「沖縄県の伝統的な焼酎で、黒麹菌で造った米麹のみを原料としているため、香味成分が多く濃醇な味わいがあります。長期貯蔵(3年以上)したものは、クース(古酒)と呼ばれています」と説明していて、これが泡盛の定義と言えるでしょう。
泡盛の大まかな特徴は
泡盛に法的な定義はありませんが、基本的な製造法はほぼ共通しています。
沖縄県酒造組合が運営する泡盛ポータルサイト「琉球泡盛」によると、泡盛を泡盛たらしめている特徴は大きく以下の4点になります。
(1)原料に米を用いる
(2)種麹に黒麹菌を用いる
(3)仕込みは一度きり、全麹仕込みで行う
(4)蒸溜には単式蒸溜機を使う
この4点が、同じく米を原料とする蒸溜酒である米焼酎とは異なる、泡盛ならではの味わいを生み出す要因となっています。
泡盛ポータルサイト「琉球泡盛」はこちら
「泡盛」という名前の由来には諸説あり
「泡盛」という特徴的な名前は、どのようにしてつけられたのでしょうか? その由来には諸説あります。
有力名のが、蒸溜酒のできばえを、器に注いだときの泡立ち具合で判断していたという説。品質のよい酒ほど泡が盛り上がったことから、「泡盛」という名前がついたのだとか。
このほかにも、もともとは米だけでなく粟(あわ)を原料にしていたからという説や、サンスクリット語の「酒=アワムリ」が琉球諸島へ伝わる過程で「泡盛」になったという説など、さまざまな言い伝えがあるようです。
沖縄の特産物「泡盛」の歴史を探る
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泡盛は焼酎以前から造られていた、日本で最古の蒸溜酒
「泡盛」の歴史は、じつは焼酎よりも古く、日本で最古の蒸溜酒だと言われています。
紀元前に西洋で始まった蒸溜酒造りは、13世紀に西アジアで成熟し、15世紀ごろにシャム国(現在のタイ)を経由して琉球に伝わったと考えられています。日本で焼酎造りが始まったのは16世紀ごろとされているので、泡盛のほうが先になります。
泡盛が庶民のものとなったのは明治以降のこと
泡盛は長い歴史を持つものの、現在のように沖縄の庶民に親しまれるようになったのは、じつは近代になってからのことです。
というのも、琉球王朝時代、泡盛は江戸幕府や中国王朝への献上品とされていて、その製造は首里城付近の限られた蔵だけに限定され、売買も厳しく管理されていたのです。
一般の人々に泡盛が親しまれるようになったのは、明治になって琉球が沖縄県になってからになります。
沖縄の「泡盛」と焼酎の違い
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泡盛と米焼酎、製法上の違い
泡盛は法律上、米を原料とした本格焼酎の一種とされますが、一般的な米焼酎とは原料、仕込みなど製法上の違いがいくつかあります。
【原料米の違い】
米焼酎の原料は国産米が基本ですが、泡盛は水分が少なくて硬質なタイ米を使用します。これは大正時代に始まり、昭和になって定着したもので、その理由としては、温度管理のしやすさや、作業のしやすさ、アルコール収穫量の多さなどが挙げられます。
【種麹の違い】
種麹には「黒麹菌」を使うのが泡盛の大きな特徴です。黒麹菌は、雑菌の繁殖を抑えるクエン酸を、発酵段階で大量に生成します。沖縄の高温多湿な環境下で、腐敗させることなく安定した酒造りを行うには、黒麹菌が欠かせない存在なのです。
【仕込みの違い】
泡盛の仕込みは、原料米をすべて麹にし、一度に発酵させる「全麹仕込み」が一般的。焼酎のように仕込みを二度に分けないのも、雑菌を繁殖する前に短期間で発酵を終わらせるためです。
泡盛は「琉球泡盛」と産地呼称されるように、かつての琉球王朝時代から連綿と続く沖縄のアイデンティティーとも言えるお酒。焼酎の一種というより、沖縄ならではの伝統のお酒と捉え、その歴史も含めて味わってみてはいかがでしょう。