海外で人気を呼んでいる日本酒の傾向と銘柄を探る!

海外で人気を呼んでいる日本酒の傾向と銘柄を探る!
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日本酒人気は海外にも広がっていますが、どんな銘柄が人気を集めているのでしょう? ひとくちに海外と言っても、地域によって人気銘柄の傾向は異なります。大まかではありますが、その傾向と人気銘柄の一部を紹介しましょう。

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海外での日本酒の人気銘柄は地域によって変わる

海外での日本酒の人気銘柄は地域によって変わる

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日本酒人気による海外輸出の増加

日本酒の海外における人気は高まる一方で、日本酒の輸出は量、金額ともに9年連続で伸びています。最大の輸出先はアメリカ、続いて韓国、中国、台湾、香港とアジアの国々が並びます。
ランキング上位には入らないものの、イギリス、フランスなどのヨーロッパ圏も大きく伸長しています。とくにフランスでは、2017年に「Kura Master」という日本酒コンクールが設立されるなど注目の高さがうかがえます。

日本酒の人気銘柄が地域によって違うわけ

「海外で日本酒が人気」とひとくちで言っても、国や地域によって人気の傾向や銘柄が変わってきます。
食中酒としてたのしむケースでも、和食と一緒に飲む場合と、自国の食文化に取り入れる場合とでは、合う日本酒も変わります。
また、お酒を飲む頻度が少ない地域や、食後にお酒をたのしむのが主流な地域では、日本酒単体での味わいに注目が集まります。
もちろん、ひとくくりにはできないので、あくまで傾向として言えることです。

海外での日本酒人気銘柄~アメリカ編~

海外での日本酒人気銘柄~アメリカ編~

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海外での日本酒人気の先駆け

アメリカは日本酒の海外への輸出量、輸出額ともにトップを誇り、近年の和食ブームよりも以前から、日本食レストランを中心に日本酒が提供されてきました。
日本酒は「SAKE」と呼ばれるほど親しまれていて、最近ではバーや日本食以外のレストランなどでも、日本酒をたのしめるようになっています。

アメリカの日本酒人気銘柄

アメリカで有名な日本酒の人気銘柄は、1984年にアメリカ進出した北海道・旭川の蔵元・男山の「男山(おとこやま)」や、1995年に海外展開をはじめた新潟の菊水酒造の代表銘柄「ふなくち 菊水(きくすい) 一番しぼり」「八海山」「月桂冠」などの定番酒です。
また、毎年ロンドンで開催されるワインコンテスト、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)の日本酒部門で受賞歴のある銘柄にも熱い視線が注がれています。「BORN」の英名をもつ「梵(ぼん)」は、2018年に銀賞を受賞した福井県の加藤吉平(かとうきちべえ)商店の銘柄で、アメリカでも人気の高い日本酒です。
これらに加えて、日本でも人気の「獺祭」「黒龍」「十四代」「麒麟山」などの銘柄も人気が高いとのことです。

海外での日本酒人気銘柄~アジア編~

海外での日本酒人気銘柄~アジア編~

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アジアでの日本酒の人気傾向

「海外」と一括りにするのは困難ですが、「アジア」だけでも広く、地域によって日本酒に対する意識は異なります。
それでも、ごく大ざっぱな傾向を言えば、日常的にお酒を飲む習慣の有無や、日本酒に何を求めるかによって、日本酒の人気銘柄は大きく2つに分かれます。ひとつは比較的、低価格で手ごろな日本酒、そしてもうひとつは接待や贈答品などに用いられる高価格帯の日本酒です。

高価格帯の日本酒銘柄が人気の中国・台湾

中国や台湾では、2010年代後半から日本酒の高級志向が顕著になってきました。とくに、現地で生産された日本酒(厳密には「清酒」)は価格重視、日本産の日本酒は高くても味わいを重視した方向に。
日本酒が飲まれるのは、多くが日本食レストランで、米の甘さを感じられる大吟醸酒が人気です。高級日本料理店などでは、1本何万円もする日本酒が注文されることもあるのだとか。
また、漢字を使用する国ならでは、銘柄名に縁起のよい文字が入った銘柄名の日本酒が喜ばれます。“龍”の字が入った新潟の「白龍(はくりゅう)」(白龍酒造)も人気とのこと。

飲酒率が高い韓国で人気の日本酒銘柄

一方、韓国は日本酒の認知が広まり、輸出量はアメリカに次いで2位です。飲酒率が高く、日常的にお酒を飲む習慣があるためか、価格を重要視する傾向があり、比較的安価なパック酒が人気です。
とくに人気の日本酒銘柄と言えば「がんばれ父ちゃん」(白龍酒造)。日本ではあまり知られていませんが、赤い顔をした男性の顔が描かれた朴訥なパッケージが印象的です。

海外での日本酒人気銘柄~ヨーロッパ編~

海外での日本酒人気銘柄~ヨーロッパ編~

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海外のなかでも日本酒人気に伸びしろ!

海外での日本酒市場拡大に期待がかかるヨーロッパ圏。輸出量・輸出額ともに、全体からするとまだ小さい市場ではありますが、イギリスのワインコンテストIWCでは2007年から日本酒部門が新設され、2017年にはフランスで日本酒コンテスト「Kura Master(クラ・マスター)」が始まるなど、ワイングラスで飲む日本酒に熱い視線が注がれています。

日本酒の人気銘柄は料理のアクセント

ヨーロッパ圏で日本酒に興味を持つのは、多くはワイン好きで、求めるのは“食中酒としての日本酒”です。
日本酒には、ワインのような酸味に加え、複雑な旨味成分が含まれているため、塩と脂主体の西洋料理に深みを与えます。近年、素材を活かした調理方法が広まってきたことも、日本酒とのペアリングを後押ししているようです。
料理のアクセントとなる香り、果実味、旨味などが感じられる日本酒が人気で、愛知県の老舗・萬乗(まんじょう)醸造の「醸し人九平次(かもしびとくへいじ)」は、パリの三ツ星レストランでも提供されています。また2019年の「Kura Master」で「プレジデント賞」を獲得した仙台伊達家 勝山(かつやま)酒造の「勝山 純米大吟醸 伝(でん)」も注目を集めています。

濃厚甘口の日本酒が人気銘柄のわけ

イギリスの新聞、インディペンド紙で紹介されたオススメの日本酒の第1位は、京都の木下酒造が醸造した「玉川Time Machine(たまがわタイムマシーン)1712」。江戸時代の製法で造ったという変わり種です。味わいは濃厚で甘口、日本酒版のデザートワインと評されています。
食中酒ではないこの日本酒が選ばれた背景には、食事とは別に、「パブ」と呼ばれるカジュアルなバーで、ビールやワインなどお酒をたのしむイギリスの文化があることが考えられます。

海外で人気の日本酒銘柄や人気の傾向は、国によって変わる面白さがありますね。旅行に行ったときには、日本酒売り場をのぞいてみたり、レストランではどんな日本酒が提供されているかチェックしてみましょう!(内容は2019年9月時点のものです。)

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