日本酒への海外の反応は?日本酒が広まりつつある理由と地域での評判を解説!
「海外の反応がよい日本酒」はどんなお酒でしょうか?近年では、和食はもとより、各国の料理にも合うことが知られるようになり、日本酒の認識が好転しています。今回は、日本酒に対する海外の反応が、どのように変わってきたのかを紹介します。
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日本酒への海外の反応が変わってきた背景
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海外で日本酒への反応をけん引する「和食」
海外での日本酒に対する好意的な反応は、2013年に「和食」がユネスコの世界無形文化遺産に登録されて以降、急速に広がりました。日本酒の輸出量は、それまでも微増でしたが、この登録を境に順調な伸びを見せるようになり、以降、毎年のように輸出額・量とも過去最高を更新しています。とくに輸出額は、この9年間で約3倍となり、2018年には222憶円を突破しました。
「和食」が世界で注目され、そのなかで日本酒が話題になったからこそ、正しい日本酒の知識やおいしさが広まったのかもしれません。
※記事中のデータは日本酒造組合中央会の発表を参照
海外で変わる日本酒への反応
海外、とくに欧州では、かつて劣化した日本酒や質の悪い日本酒が流通し、悪評が立ったこともあります。しかし近年では、和食はもとより、各国の料理にも合うことが知られるようになり、日本酒に対する認識が好転しています。
とくにフランス料理との相性がよいことが知られていて、ミシュランの星獲得数世界一で有名な、故ジョエル・ロブション氏も日本酒に惚れこんでいた話は有名です。
海外の反応がよい日本酒はどんな酒?
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日本酒に合わせて料理をたのしむ文化が広がる
海外、とくに欧州では、食中にワインをたのしむ文化が定着しています。食事に合わせて好みのお酒を味わおうと、近年、ワインだけでなく日本酒も選べるお店も増えています。
その際、西洋料理とのペアリングを考え、華やかで飲み口の軽い大吟醸酒よりも、しっかりとした旨味を感じさせる純米酒系が好まれる傾向があるようです。
アジア圏での日本酒への反応は?
日本酒の輸出量がとくに増加しているのがアジア圏ですが、なかでも突出して高級志向なのが香港です。イギリスの植民地だったことからワイン文化が根づいていて、その延長で日本酒への関心も高いのです。とくに、日本で話題になった高級銘柄が人気です。
韓国や台湾、タイなどでは比較的、低価格の日本酒が好まれているようです。ただ、台湾はここ数年、輸出額が急速に伸びていて、一部で高価格帯の日本酒の需要が増えてきたことをうかがわせます。
海外で造られる日本酒(正確には「清酒」)への反応は?
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海外にも広がる日本酒(清酒)造り
海外での日本酒人気の高まりを背景に、海外でも日本酒造りが広がりつつあります。
ただし、財務省によると「日本酒とは、国産米と国内の水を使って、国内で造った酒」と定義されていますので、海外で造ったものは「日本酒」ではなく「清酒」と呼ぶことになます。
カナダのバンクーバーにある「Artisan SakeMaker(アーティサン・サケメーカー)」、ノルウェーの「Nøgne Ø(ウグネ・エウ)」などは、もともと現地のお酒を造っていた地元企業が清酒造りを始めたケースです。
この他にも、日本酒に魅了され、「自分の国でも造りたい」と日本の蔵元を訪れ、日本酒造りを学ぶ外国人も増えています。
日本の蔵元が海外に進出
一方で、日本の蔵元が海外で酒造りを始めるケースも増えています。
たとえば、青森県の桃川酒造は、アメリカで共同出資による「SAKE ONE(サケ・ワン)」を設立。兵庫県の小西酒造はオーストラリアに「Sun Masamune(サン・マサムネ)」を運営。また、南米・ブラジルではキリンビールが経営母体の「東山農山社」が地酒を醸しています(2018年1月時点の情報です)。
これら海外の蔵では、いずれも日本で培った酒造りの技術を活かしながら、地元の料理に合わせた清酒造りに取り組み、日本から輸出される日本酒とは違った魅力をもつ、海外の「地酒」を生み出しています。これらの蔵から逆輸入されたお酒が店頭に並ぶ日がくるかもしれませんね。
海外での日本酒への反応は、日本酒の可能性をさらに広げています。日本の伝統的なお酒が「SAKE」として世界中で愛飲される日がくるかもしれません。今後も日本酒から目が離せませんね!