「サングリア」の作り方と、気になる度数

「サングリア」は、ワインにフルーツを漬け込んだスペイン生まれのお酒です。最近は日本でもお馴染みで、余ったワインを用いて自家製サングリアを作るのがちょっとしたブームになっていますので、おいしい作り方や注意点を説明しましょう。
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「サングリア」って、そもそもどんなお酒?

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「サングリア」は、スペインを発祥とする、ワインにさまざまなフルーツを漬け込んだお酒のこと。
近年、日本でも女性を中心にスペイン料理の人気が高まっており、スペイン風の居酒屋「バル」は女子会の定番となりつつあります。サングリアも、アヒージョやパエリアなどの料理と同様、スペインバルで提供されるメニューとして知られるようになり、今ではさまざまな飲料メーカーからサングリアが商品化されています。
もともとのサングリアのレシピは、赤ワインをベースに、レモンやオレンジなど柑橘系の果汁を混ぜて、ブランデーやスパイスなどで風味をつけるというもの。しかし現在では、サングリアのバリエーションは非常に広がり、ワインも赤ワインだけでなく、白ワインやスパークリング・ワインも用いられます。
ちなみに、白ワインをベースとしたサングリアは、スペイン語で「白」を意味する「ブランカ」をつけて「サングリア・ブランカ」と呼ばれています。また、スパークリング・ワインをベースとしたサングリアは、正式名称というわけではありませんが、ネット上では「スパークリング・サングリア」などと呼ばれているようです。
ワインだけでなく、合わせる果物のバリエーションも多様化していて、柑橘系以外にも、イチゴやリンゴ、パイナップル、キウイ、桃、ブルーベリーなど、多種多様な果物をブレンドして使うのが最近の人気。甘味や香りをつけるためにハチミツやシナモンを加えるなど、一人ひとりが独自の工夫を凝らせるのも人気の理由です。
「サングリア」の語源を知ろう!

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「サングリア」は、発祥地であるスペインでは“国民酒”に位置づけられるほど親しまれています。スペインの人々は、冷たく冷やしてストレートで飲んだり、オン・ザ・ロックで飲んだり、ソーダやジンジャーエールで割ったりと、さまざまな飲み方でたのしんでいるのだとか。
一般的に、もともとのワインよりもアルコール度数が低くなるため、女性でも飲みやすく、食前から食後まで飲む機会を選びません。とくにパーティーでは必須の飲み物です。
これだけスペインで親しまれているわけですから、当然ながら「サングリア」という呼び名もスペイン語。「血」を意味する「Sangre(サングレ)」が語源で、赤ワインをベースとした真っ赤な色が血を連想させることから、この名がつけられたといわれています。
ちなみに、よく似た名前のホラー映画に「サンゲリア」(1979年伊・米合作/ルチオ・フルチ監督)がありますが、これは日本公開の際につけられた邦題で、この映画のキーワードである「惨劇」とヒット映画の「サスペリア」をくっつけてできた造語だとか。映画の内容はおどろおどろしいゾンビ映画なので、血を意味する「サングレ」とはピッタリですが、それは偶然の一致のようです。
「サングリア」は何ワイン? ワインの分類を考える

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「サングリア」は、ワインをベースとした飲み物ですが、分類としては、ワインに薬草や果実、甘味料を加えたり、漬け込んだりすることで独特の風味を添えた「フレーヴァード・ワイン」の一種とされることが多いようです。
とはいえ、法律上の明確な定義があるわけではなく、日本では「ワインベースのカクテル」と紹介されることもあれば、「フルーツワイン」と呼ばれるケースもあります。
ただし、フルーツワインの本来の定義からすると、サングリアは当てはまりせん。
フルーツワインと呼ばれるお酒には、大きく2種類があります。ひとつは、リンゴやオレンジ、桃、マンゴーなど果汁100%のジュースにワインをブレンドした飲み物。ブドウ由来のワインの味わいと、ブレンドする果物の味わいの融合がたのしめます。
もうひとつは、本来の原料であるブドウの代わりに、リンゴやサクランボ、ブルーベリー、桃やキウイなどの果実を原料にして、ワインと同様の製法で造られる醸造酒のこと。
ワインに果実を漬け込んだサングリアは、このどちらにも当てはまらないので、やはり分類するなら「フレーヴァード・ワイン」ということになるでしょう。
とはいえ、サングリアもフルーツワインも、どちらもフルーツとワインの両方の魅力が味わえる飲み物ということに変わりはありません。あまり難しく考えずに、それぞれのおいしさを存分にたのしむことをおすすめします。
「サングリア」は余ったワインから作れるのが魅力

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サングリアは、もともと開封して日が経ったり、保存状態がよくなかったりなど、ベストの状態でないワインを、おいしく飲めるように創意工夫したのが始まりだといわれています。
近年、日本で自家製サングリアがちょっとしたブームになっているのも、飲み切れなかったワインや、お手頃価格のワインを使ってリーズナブルに作れることが、ひとつの理由ではないでしょうか。
開封して数日経ってしまったワインは風味が落ちてしまいがちですが、そんなワインもサングリアとして再利用すれば、おいしくいただけます。また、買ってはみたものの口に合わなかったワインでも、好みのフルーツと合わせてサングリアにすれば、自分好みの味わいに。このように、ワインを無駄にすることがないサングリアは、お財布にも、地球環境にもやさしい飲み方といえるかもしれません。
先述したように、サングリアには厳密なルールやレシピがなく、自分や家族、来客などの嗜好に合わせて自由に作れるのが魅力。旬のフルーツを使うもよし、たまたま冷蔵庫にあったフルーツやフルーツ缶詰めを使うもよし、その日の気分で気軽にサングリアをたのしむ家庭が増えているようです。
また、ワインに好みのフルーツを合わせるだけでなく、炭酸で割ったり、氷を入れたりと、さまざまに工夫を凝らすのもたのしいもの。アルコール度数もお好みで調整できるので、お酒が苦手な人でも気軽にたのしめます。
サングリアを家庭で作る際は「度数」に注意

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サングリアを自宅で作るのが人気となっていて、ネット上ではさまざまなサングリアのレシピや、インスタ画像が公開されています。ただし、あまり知られていませんが、サングリアを家庭で作る際に気をつけたいことがあります。それは「酒税法」という法律です。
日本の酒税法では、「お酒を造るには免許が必要」と定められています。これにはお酒と他の飲み物や材料を混ぜることも含まれますので、家庭でサングリアを作ることも、厳密にいえば「お酒を造る」ことになります。
もちろん、この法律には例外があって、飲む直前に混ぜること、つまり、注文に応じてカクテルを作ったりすることは問題になりません。
サングリアのレシピは、ワインに果実などを漬け込んで寝かせるのが基本ですが、こうした作り置きの場合にも例外があって、アルコール度数が20度以上あるお酒をベースにして、販売目的でなく作るのであれば問題なしとされます。
つまり、焼酎などアルコール度数が20度以上のお酒に梅を漬け込んで、家庭で飲むための梅酒を作るのであれば、問題なしとなります。
サングリアの場合、ワインの一般的なアルコール度数は高くても15度ほどなので、この条件には当てはまりません。家庭で自家製のサングリアをたのしむ際には、漬け置きではなく、飲む直前にワインとフルーツを混ぜ合わせるようにすれば問題ありません。
実際に試してもらえばわかりますが、漬け置きでなくとも、ワインと果実の味わいが融合して、おいしいサングリアがたのしめますよ。
なお、酒税法が気になるという人は、国税庁のホームページを参考にしてください。
国税庁「お酒に関するQ&A」:自家醸造
サングリアはスペインバルなどで注文するだけでなく、自宅での手作りでもたのしめる飲み物。ワインに親しむために、まずサングリアでワインの風味に馴染んでみるのもよいかもしれません。ぜひ、一度お試しください。
