ワインのシミはきれいに落とせる?今すぐできる染み抜き方法と時間が経った場合の対処法を紹介

ワインのシミはきれいに落とせる?今すぐできる染み抜き方法と時間が経った場合の対処法を紹介
出典 : New Africa / Shutterstock.com

ワインのシミの多くは、赤ワインの色素が衣類等に付着することが原因で、適切な対処が必要です。ここでは、ワインのシミをつけてしまった際にその場でできる応急処置から、時間が経過したシミへの対処まで、自宅でできる染み抜きのコツを紹介します。

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ワインのシミの落とし方は、衣類の素材やシミをつけてからの時間経過によって変わってきます。詳しくみていきましょう。

ワインのシミ(染み)は落とせる? 赤ワインでも大丈夫?

ワインを服にこぼしてしまったときの処置

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衣類などのシミは、水溶性のものと油性のもの、不溶性のものに大別されます。ワインのシミは水溶性なので、早めに処置すればきれいに落とせる可能性があります。

水溶性のシミは、さらにタンパク質系やタンニン系などに分けられ、ワインのシミはタンニン系の汚れに分類されます。

「タンニン」とは、ブドウなど植物の種子に多く含まれるポリフェノールの一種。赤ワインの渋味成分として知られていますが、色の安定にも関わっています。

タンニン系の汚れというと、ワインのほかにもお茶や紅茶などのシミが挙げられますが、ワインのシミ、とりわけ赤ワインのシミが落ちにくいといわれるのは、やはりポリフェノールの一種である「アントシアニン」が豊富に含まれているからです。

アントシアニンは、黒ブドウの果皮や種子に多く含まれ、赤ワイン特有の美しい赤紫色や苦味、渋味などのもととなるポリフェノールの一種。このアントシアニンの赤色色素が服などに付着すると、鮮やかなシミになります。

赤ワインのシミが厄介なのは、シミになりやすいことに加えて、タンニンやアントシアニンなどの成分が時間の経過とともに酸化して落ちにくくなるから。衣類やカーペットなどにこぼしてしまったときは、速やかかつ適切な対処が不可欠です。

なお、白ワインはタンニンやアントシアニンが含まれる果皮や種子を取り除いたうえで醸造されるため、赤ワインのような落としにくいシミにはならず、ほとんどの場合は通常の洗濯できれいに洗い流すことができます。

赤ワインの染み抜き方法【応急処置】

赤い染みのついた服を洗濯

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赤ワインのシミは、衣類の柄や色、こぼしてからの時間によって対処方法が異なり、台所洗剤や重曹、酸素系漂白剤、塩素系漂白剤、セスキ炭酸ソーダなど、身近な日用品が役立つ可能性があります。

ついた瞬間の応急処置から、外出先から戻って自宅で落とすときのやり方など、状況に応じた対処法をみていきましょう。

台所用洗剤|まずこの方法

赤ワインをこぼして間もないときなら、キッチンにある食器洗い用の洗剤を使ってみましょう。食べ物の汚れを落とす洗剤で、赤ワインのような水溶性の色素の強いシミに効果的。台所に常備しているものなので、家にいる場合はすぐに使えるという利点があります。

台所用洗剤というと中性洗剤が一般的ですが、中性洗剤より洗浄力の高い弱アルカリ性の洗剤を使うのもひとつ手です。ただし、生地によっては変色する可能性もあるので、衣類の素材を確認してから使うようにしましょう。

<用意するもの>
◆台所用洗剤
◆歯ブラシ
◆あて布

<染み抜き方法>
(1)衣類の裏側にあて布を敷き、水で濡らした歯ブラシでシミの部分を軽く叩きます。
(2)(1)で湿らせたシミの部分に台所用洗剤をつけ、歯ブラシで軽く叩きながら汚れをあて布に移していきます。
(3)シミが薄くなってきたらぬるま湯ですすぎ、色が残っていたら(1)〜(3)を繰り返します。

まずは重曹や中性洗剤で洗浄

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重曹|できたてのシミに効果発揮

ワインのシミは酸性なので、できたてのシミには酸性の汚れに強い重曹が役立ちます。重曹の主成分である炭酸水素ナトリウムはアルカリ性で、酸性の汚れを中和して落とすことができます。

<用意するもの>
◆重曹
◆お湯

<染み抜き方法>
シミの部分に重曹の粉末をふりかけ、お湯をかけてもみ洗いをします。

ただし、この方法が効果を発揮するのは、ワインをこぼして時間が経過していないときだけ。こぼしたワインが酸化、つまり酸素に触れて化学反応を起こしてしまうと、重曹では落としきれない可能性があります。

できたてのワインのシミには重曹が有効

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酸素系漂白剤|白物・色柄物どちらにも使える!

染み抜きの強い味方となるのが、漂白剤です。通常の洗濯では落ちないシミの色素を分解させる漂白剤には、おもに「酸素系」と「塩素系」の2種類が市販されており、色柄物にも使えるという点では「酸素系」のほうが汎用性は高いでしょう。酸素系漂白剤には液体タイプと粉末タイプがありますが、洗浄力は粉末タイプのほうが高く、液体タイプは繊維を傷つけにくいという特徴があります。

<用意するもの>
◆酸素系漂白剤
◆40〜50℃のお湯

<染み抜き方法>
(1)事前にシミの部分を軽くもみ洗いする。
(2)酸素系漂白剤を40〜50℃のお湯に溶かし、シミのついた衣類を10分程度つけ置きする。
(3)染みが消えたら、通常の洗濯をして仕上げます。

時間が経って落ちにくくなっている場合は、(1)〜(3)を何度か繰り返してみてください。衣類の素材によっては色落ちする可能性もあるので、気になる場合は洗濯表示を確認しましょう。

色柄物のシミ抜きには酸素系漂白剤がおすすめ

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塩素系漂白剤|白い衣類の強い味方

ガンコなシミに効果的なのが、洗浄力の高い塩素系漂白剤です。といっても、シミだけでなく繊維の色素も落としてしまうため、使えるのは白い衣類や布に限ります。色柄物は脱色してしまうおそれがあるので、注意が必要です。

また、塩素系漂白剤は漂白作用が強力なために素材は傷めてしまうことも。白くてもウールやシルクなどには使わないようにしましょう。

<用意するもの>
◆塩素系漂白剤
◆歯ブラシ

<染み抜き方法>
(1)歯ブラシに塩素系漂白剤をつけます。
(2)ワインのシミ部分を歯ブラシで軽く叩きながら洗剤をつけます。
(3)染みが消えたら、通常の洗濯をして仕上げます。

なお、つけ置きする場合は、規定量の水に漂白剤を溶かし、衣類を5〜30分ほどつけてシミをチェック。衣類と傷める可能性があるため、あまり長くつけすぎないように注意しましょう。その後、水でしっかりとすすいで、乾燥させます。

塩素系漂白剤は酸性の洗剤などと混ざると有毒ガスが発生します。大変危険なので、必ず単品で使うようにしましょう。

白い衣類のシミ抜きには塩素系

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セスキ炭酸ソーダ|クリーニング前の応急処置に

重曹でワインのシミが落ち切らず、漂白剤を使うのが心配なスーツや繊細な素材の衣類には、よりアルカリ度が高いセスキ炭酸ソーダを使うという方法もあります。

重曹もセスキ炭酸ソーダも弱アルカリ性ですが、重曹のpHが約8.4なのに対し、セスキ炭酸ソーダのpHは約9.8と数値が高く、また水に溶けやすい性質もあるため、クリーニングに持っていく前の処置としてはありでしょう。ホームセンターや100均ショップなどで入手しやすいのもメリットです。

セスキ炭酸ソーダは、水に溶けやすい性質を生かして、スプレー溶液にして衣類に噴霧します。スプレータイプのものも市販されていますが、粉末のセスキ炭酸ソーダから作る場合は、水500ミリリットルと小さじ1〜2杯のセスキ炭酸ソーダ(粉末)をスプレーボトルで混ぜます。あとは、汚れが気になる部分にスプレーするだけ。30分から1時間程度経ったら、水ですすぎます。

外出先で赤ワインをシャツにこぼしたときの対処法

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炭酸水や塩など|外出先での応急処置に

赤ワインをこぼしてしまったら、対処が早ければ早いほど被害は少なくてすみます。レストランなどでのワインのシミへのとっさの処置として、炭酸水を使うという方法も。炭酸水に含まれる二酸化炭素には繊維の奥からシミを浮かせる性質があるため、赤ワインなどの水溶性の染みには効果を発揮しやすいといわれています。

また、手軽にできる染み抜きに、「塩」を使う方法があります。塩は水分を吸収しやすい性質があるので、ワインが乾く前にたっぷりと塩を盛り、上からハンカチやキッチンペーパーなどで軽く押すようにして吸い取らせます。そのあと手もみ洗いで洗濯をすれば完了です。カーペットなどにも応用できる方法です。

ただし、これはあくまでも外出先での応急処置としてのやり方。帰宅後はすぐに洗濯をして、それでも落ちないようなら漂白剤を使うなど、次のステップに進みましょう。

赤ワインの染み抜き方法【時間が経った場合】

ガンコなシミをきれいに

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赤ワインのシミは、時間が経過すると酸化して落ちにくくなりますが、一度は酸素系漂白剤や塩素系漂白剤による染み抜きを試してみてください。つけ置き時間や注意事項は、漂白剤のメーカーのサイト等で確認しましょう。

漂白剤を使っても落ちない場合は、クリーニング店に出すのもひとつの選択肢ですが、塩とレモンを使った方法や業務用のポイント洗剤による染み抜きも試してみてください。

塩とレモン果汁がお役立ち

上で紹介した、塩を盛って布やキッチンペーパーに汚れを吸い取らせるというやり方に加えて、塩とレモン果汁を混ぜて、シミを覆うように塗りこむという方法もあります。30分ほど放置したら、酢を入れたぬるま湯ですすぐだけ。レモンの搾り汁に含まれる酸が汚れを分解させてくれる可能性があります。

クリーニング店も愛用するポイント洗剤を使う

実際にプロが使う業務用の染み抜き剤を使うと、ガンコな染みを洗い上げることができる可能性があります。汗じみから食べこぼしなど、日常でつきやすい汚れに対応しているため、時間が経った赤ワインのシミに効果を発揮することも。染みに塗って浸透させ、数分〜30分ほど置いてから、洗濯機で洗うだけと、使い方もかんたんなので、クリーニングに出す前にぜひ試してみてください。

ワインの染み抜きに! あると便利なアイテム

便利な染み抜きグッズ

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ここでは歯ブラシを使用した染み抜き方法をいくつか紹介しましたが、赤ワインのシミを効率よく落とすためには、台所用洗剤や漂白剤といった洗浄剤のほかに、やわらかめの歯ブラシがあるとよいでしょう。ほかにも、スポンジやハンカチ(タオル)、キッチンペーパーなどがあると便利です。歯ブラシは使わなくなった古いものでかまいません。

つけ置きに使う洗面器や、洗剤の効果を上げるためにお湯の温度を測る温度計があれば万全です。

ワインの染み抜きをする際の注意点

ワインの染み抜きの際の注意点

78create / PIXTA(ピクスタ)

ワインのシミは時間の経過とともに酸化して落ちにくくなるため、できるだけ早く処置を行うことが重要です。衣類についた場合は必ず洗濯用のタグを確認して、洗濯の方法、漂白剤が使えるかどうかの確認を。とくに塩素系漂白剤は、ほかの洗剤とは絶対に混ぜないこと、また換気のよいところで処置するようにしてください。

赤ワインを堪能しているときにうっかりこぼしてしまった場合は、適切な処置が必要になります。予期せぬ事態にもあわてず速やかに対処できれば、リカバリーは十分可能。いざというときの知識を蓄えながら、たのしい赤ワインライフを送っていきたいものですね。

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