焼酎の歴史とその名前の意味を知る
さまざまな主原料で作られ、味わい方もお湯割り、水割り、ロックにソーダ割りなど、多彩にたのしめる焼酎。でも、そもそも焼酎は日本で生まれたもの? いつから飲み始められたの? なぜ「焼酎」と書いてショウチュウと読むの? 今回は焼酎の歴史と名前について説明します。
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焼酎の生まれた歴史
写真/鹿児島市観光サイト
焼酎は、ウィスキーやブランデーと同じ蒸留酒の1つです。蒸留酒の誕生を示すものとしては、紀元前3000年頃のメソポタミア文明の遺跡から蒸溜に使われたと思われる土器が出土しています。酒の蒸留を初めて行ったのは、アリストテレスといわれています。
焼酎の起源については諸説ありますが、焼酎に近い蒸留酒が造られていたのは11世紀ごろのタイ(当時のシャム国)を中心とした中近東・東南アジアであったといわれています。その後、日本に上陸するのですが、こちらも諸説があります。インドシナ半島や中国雲南地方から琉球に伝わったとの説。朝鮮半島を経由し、対馬に伝わったとの説。中国と海上取引を行った倭寇が薩摩にもたらしたという説。いずれにせよ、15世紀中頃とされています。
日本国内で焼酎が飲まれていた証拠としては、貿易商人として薩摩を訪れていたポルトガル人ジョルジェ・アルバレスが「米から造る蒸留酒」を飲んでいた、という記録が残っています。
「米から作る蒸留酒」とは、現在の「米焼酎」のことでしょう。鹿児島県大口市にある郡山八旗神社から発見された1559年に書いたとみられる宮大工の落書きには、「神社の改修工事に際して、ケチな施工主は一度も焼酎をふるまってくれなかった」と書かれていたそうです。これは当時の南九州ですでに、焼酎が一般的に広く飲まれていたことが分かる古文書となっています。おもしろいですね。
焼酎の名前の由来は?
写真/鹿児島市観光サイト
中国の蒸留酒が原形という「焼酎」。その名の由来も中国と大きく関わっています。そもそも「焼」の字は、熱を加えること、すなわち「蒸留」を表し、「酎」は濃い酒、強い酒という意味を持つそうです。つまり、この2文字は「味わいのある蒸留酒」という本格焼酎の特徴をストレートに表しています。
次に「焼酎」の読み方について。じつは中国では蒸留酒のことを「焼酒」と書き、「ショウチュウ」と読むそうです。一方、濃い酒、強い酒の意味がある「酎」の文字も「酒」と同じく、中華音では「チュウ」と発音。この2つの文字が混同して使われていましたが、18世紀頃、「焼酎」の文字が定着し、「ショウチュウ」との読み方で現在に至ったといわれています。