日本酒は磨きによって更にぜいたくな一品に!

日本酒は磨きによって更にぜいたくな一品に!

日本酒の原料は米や水、米麹と、とてもシンプルです。シンプルだからこそ、原料の選択はもちろん、造り手のこだわりが現れやすいといえるでしょう。ここでは、原料の中でも米に焦点を当ててみました。

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日本酒の原料

日本酒の原料

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日本酒の原料は基本的に米や水、米麹。その分、酒造りにはおいしい酒米が欠かせません。酒米は「酒造好適米」と呼ばれ、普段私たちが食べているお米より大きく、中心に「心白」と呼ばれるしっかりしたデンプン質を持っているのが特徴です。きれいな味わいの日本酒を造るためには精米する際に、雑味のもとになる米の表面のタンパク質や脂肪分を削り落とす必要があるため、粒が大きく、心白の比率が高いものが優れているとされます。

また、日本酒造りには大量の水も不可欠。日本酒の成分の約80%は水なので、どの酒蔵でも自分たちの仕込み水を大切にしています。多くの酒蔵が名水に恵まれた地にあるのもそのためです。天然の湧き水や伏流水に含まれるミネラルによって、その土地ならではの酒の個性ができあがります。日本酒は、「米」を原料とし、良質な水が身近にある日本ならではのお酒といえるでしょう。

日本酒造りに欠かせない酒米とは

日本酒造りに欠かせない酒米とは

nana77777/ Shutterstock.com

酒造好適米は、組織の隙間が多いので食べるとパサつきを感じますが、酒造りにおいては菌糸が入り込みやすく、麹菌の育成がしやすいというメリットがあります。また、心白が大きいものほど吸水率がよく、酒母や「醪(もろみ)」の中で溶けやすいという特徴もあるのです。

タンパク質や脂肪が少ないことも「酒造好適米」の条件のひとつです。タンパク質が多過ぎる米は、「醪」の中で溶けにくくなってしまいます。また、タンパク質は麹の酵素で分解されるとアミノ酸になりますが、このアミノ酸が多過ぎると雑味になります。このため余分な成分が少なく、デンプン純度が高い米が日本酒造りには向いています。

では、酒造好適米には、どんな種類があるのでしょうか?たとえば、日本酒好きなら誰もが知っている「山田錦」。「山田錦」は酒米の中でも大粒で、心白が大きく、雑味の原因となりやすいタンパク質や脂質が少ないという特性を備えていて、高精米の酒にも適しています。

また、地域色豊かなご当地米も登場しており、岡山県の「雄町」や東北から九州まで幅広く栽培されている「五百万石」、長野、秋田などの「美山錦」、山形の「出羽燦々」、北海道の「吟風」、新潟の「越淡麗」白鶴酒造によって開発された「白鶴錦」など、酒造好適米の種類もさまざまです。

磨きによって異なる日本酒

磨きによって異なる日本酒

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おいしい酒造りにはなくてはならない酒造用米ですが、生産量は日本の米生産量の5%しかなく、そのうち酒造好適米は1%しかありません。じつはとても貴重な米なのです。その理由としては、一般の米よりも育てにくいこと、収量が少ないため手間やコストがかかること、さらに高い技術を必要とするため、専業農家でなければ栽培するのが難しいことが挙げられます。この貴重な酒造好適米を使うだけでも贅沢といえるのに、さらに贅沢な日本酒を造る工程が「磨き」です。

「磨き」とは酒米を削ること。この磨き度合いを精米歩合といいます。玄米の状態を100%として、精米として残った部分の重量比率を指します。米の外側を削って磨き、余分なタンパク質や脂肪分などを取り除けば除くほど、雑味のないクリアな日本酒に仕上がります。多く削るほど手の込んだ造りとなり、捨てる部分も増えるので、価格も上がります。

より磨かれたものがいいお酒かというと必ずしもそうではなく、最近はあえて磨き過ぎない酒造りも注目されています。酒米の品質向上や精米・醸造技術が進歩した結果、必要以上に磨かず個性を活かした日本酒が造れるようになってきたからです。

磨きをより加えた日本酒が好きな人もいれば、米本来の味をたのしみたい人も。米の個性と磨きだけでも、さまざまな旨味がたのしめる日本酒は飽きのこないお酒といえますね。

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