もらったらうれしい。お中元にビールはいつから始まった?

もらったらうれしい。お中元にビールはいつから始まった?

お中元の時期になるとみかけるようになるビールのCMやポスターなどの広告。贈答用のプレミアムビールを持って上司や目上の人を訪ねていくシーンはおなじみですが、この習慣はいつから始まったのでしょうか。

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いまさら聞けないお中元の意味

いまさら聞けないお中元の意味

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本来、「中元」とは7月15日のことで、古く中国では上元(1月15日)、下元(10月15日)とともに重要な祭日でした。これは道教の思想に由来します。

日本には仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」、先祖供養の行事「盆」があります。このお盆には、迎え火や盆踊り、送り火などのさまざまな儀式がありますが、その内のひとつに「盆礼」があります。これは親や親戚、近所の人々の間で霊前に供える品物をやりとりする習慣。盆礼は一部の地域では生御霊(イキミタマ)と呼ばれ、死者を供養するとともに、生きた魂も供養する考え方の元、品物を取り交わしていたようです。

これが中国の「中元」の供え物と結びつき、現在のようにお盆の時期に贈り物のやりとりをするようになったといわれています。この習慣は室町時代の公家の間で広まり、江戸時代になると庶民の間にも広まっていったようです。

お盆時期の中元のほかに暮れのお歳暮を含め年に2回、日頃の感謝や健康を気遣う気持ちなどを品物に託して伝えます。贈る相手はさまざまで親や親戚、上司、取引先など、お世話になった人に贈ることが多いですね。

お中元とビールの関係

お中元とビールの関係

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では、お中元のときにビールを送る習慣はいつごろから始まったのでしょうか? 

ビールの贈答用セットは明治時代に登場しました。お中元に、ビールを贈る人も一部いたようです。当時はビール自体が高価なものであったため、一升びん同様、大びんを贈答用にし、「のし」を付けてお中元としていました。

戦後、贈答用として木製の化粧箱もありましたが、重量などの問題から、段ボール製やプラスチック製の化粧箱が徐々に増えていき、1963(昭和38)年5月28日付「朝日新聞」では、ビールがお中元の主力商品となったことを伝えています。

また、この頃にはビールと清涼飲料のセットが登場。キリンビールは、1968(昭和43)年にプラスチック製化粧箱入りで、清涼飲料をセットにした「キリンファミリーセット」を発売しています。

ビールがお中元の主力商品となった背景には、各家庭に冷蔵庫が普及していったことがあります。1965(昭和40)年のに冷蔵庫の普及率は全世帯の50%を超え、1971(昭和46)年には90%を超えます。冷たいビールを自宅で気軽に飲めるようになり、贈答品としてもポピュラーになっていったのでしょう。当時は、会社にビールの現物を、個人にはビール券を贈るというスタイルが人気だったようです。

現在は、通常販売しているものとは違う贈答用のプレミアムビールや限定品など趣向を凝らしたお中元ビールが登場。より高級志向のビールで、お中元市場をにぎわせています。

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