クラフトビールのうまさと個性を決めるもの
近年、日本全国で個性的なクラフトビールを醸造するブルワリーが増えています。生産量はさほど多くはないのですが、ブルワリーのこだわりが表れたビールは注目の的です。
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色・見た目の美しさを生む
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ビールのおいしさは、いろいろな要素がバランスよく表現されて生まれます。色、香り、味わい、泡、香味がそれ。もちろんクラフトビールも同様です。
色は、「外観」とも表現されます。ビールの外観はおもに、麦芽に由来するもので決まります。黒に近い濃色ビールは、ブラックモルトなど焙煎(燻)度の強い麦芽も用いています。透明感のあるゴールドの淡色ビールは焙燻度合の弱い麦芽などを使います。
クラフトビールの色には、赤みかかった色のビールもありますが、これも麦芽の違い。ウィンナーモルトなどを使います。また、副原料に米やトウモロコシを使ったり、フルーツやスパイスを使ったりするビールは赤みの強いオレンジなどの外観のものもあります。
香り・クラフトビールの魅力
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香りもビールの醍醐味。「アロマ」と呼ばれ、口から飲む前に鼻から感じる香りのことをいいます。麦芽やホップなど原料由来の香り、また発酵に由来する香りなどがあります。ビールの香りを担う成分は200以上といわれ、特定の成分のみの香りが立ってくることをよしとしない傾向にあります。
ビールの香りは、具体的に植物や食品にたとえることが多いですが、原料にこだわりのあるクラフトビールの香りも多種多様。フルーティーといっても、爽やかな柑橘系、甘いバナナなどさまざま。燻したような芳ばしい香りやキャラメルのような香りなども。クラフトビールの場合は、麦芽も地元産のものやドイツなどから取り寄せたもの、ホップにもさまざまな種類があり、香りにも各ブルワリーのこだわりが感じされます。
味わい・ブルワリーの個性を感じる
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ビールの味は、味と香りの相乗効果で造られます。発酵時に生成される酸味、酵母に取り込まれずに残った多糖類による甘味、そしてビール特有の苦味。すべてが揃って初めてビールの味わいを造ります。
ビールの苦味はホップ由来。ホップが持つ苦味成分のイソアルファ酸の含まれる量が苦味の強弱を決めます。日本では比較的苦味を抑えたビールが多いですが、クラフトビールにはあえてホップの味を強調したものも多数あります。爽快な苦味とほんのり口に残る甘味は、飲み進めていくうちにクセになる味わいに。ホップにも苦味の強いものや香りの強いものなどさまざまな種類があるので、麦芽とのバランスを見ながら各ブルワリーでレシピを設計し、醸造されています。
泡・見た目と旨味を演出
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