ウイスキーの味わいをつくる! 樽の種類とは
樽で熟成させるウイスキー。この樽にもいろいろな種類や特徴があり、どんな樽で熟成させるかによって、ウイスキー自体の味わいも変わります。ウイスキーの個性を形作る大切な要素である樽について知識を深めておくと、ウイスキーをより深く楽しめるようになるかも知れません。
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樽の違いが味の違いをつくる!
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ウイスキーは、熟成に使う樽の大きさや使用している木材の種類、また内面処理の方法などによって、香りや色に個性が出ます。まず、大きさによる違いは熟成の速度。樽が小さいほど熟成は早く進み、樽材からの影響(木香)も強くなるのが一般的です。
また、国によって、使う樽に決まりがあるところもあります。アメリカでつくられる、おもにトウモロコシを原材料としたバーボンは、新樽で熟成させるのがルール。このためバーボンを熟成した中古の樽が大量に出回るようになり、これまで主流だったシェリー酒樽に替わって、流通量が多いバーボン樽がウイスキー熟成によく使われるようになりました。
ウイスキーの樽の種類
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ウイスキーの熟成に使う樽には、大きく分けて「シェリー樽」、「バーボン樽」、「ミズナラ樽」の3つがあります。シェリー樽は、その樽で熟成されたシェリー酒由来の深い甘みが感じられるのが特徴。色も濃い赤茶系のウイスキーに仕上がるため、シェリー樽にこだわって熟成を行う蒸留所もあります。
バーボンの熟成に使用されるバーボン樽は、内側をバーナーなどで焦がして使います。この時に生まれる香味成分による甘いバニラのような味わいが特徴で、シェリー樽熟成のウイスキーとくらべると、薄めで金色がかった色合いに仕上がります。
そして最後のミズナラ樽は、日本ならではの樽材。ミズナラ樽由来のさわやかな香りに仕上がり、長期熟成に向いているといわれています。
香味をさらに引き立てるウッドフィニッシュとは
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バーボン樽やシェリー樽などで熟成したウイスキーを、さらに性質の異なる樽で再度熟成させることを「ウッドフィニッシュ」といいます。この工程は通常数カ月から数年行われますが、このひと手間により、より複雑な香味を持つウイスキーを生み出すことができるのです。
ウッドフィニッシュには、ラムやマディラ酒、ワインなど、さまざまな種類のお酒の熟成に使われた樽が再利用されており、ウイスキーの味わいに深みを与えています。
ウイスキーの味わいに大きな影響を与える樽。どんな樽を選ぶかにも、作り手の思いが込められています。味わう際、そのウイスキーがどんな樽で熟成されたのか、想像してみるのもたのしいですね。