ビールの分類いろいろ
ひとことで「ビール」といってもさまざまな種類のものが存在します。日本だけでも、たくさんのブルワリーが存在し、個性的でおいしいビールが多数醸造されています。今回は、ビールの分類について紹介しましょう。
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ビールの定義を知ろう
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基本的なことですが、ビールの原料は、日本の酒税法で定められています。この規定から逸脱すると、見た目や味わいがビールに似ていたとしてもビールとは認められないのです。
ビールの原料は、基本的に「麦芽」「水」「ホップ」の3つ。これに、おもにビールの味を調整するために決められた副原料(米、とうもろこしなど)と酵母が加わります。
原料で分ける? 色で分ける?! ビールの分類
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日本では、ビールの種類のことを「タイプ」などといったりしますが、世界的には「スタイル」というのが一般的です。ビールのスタイルは大きく分けて3つの発酵方法で分けられます。
低温で発酵するスッキリした「ラガー(下面発酵ビール)」、下面発酵より高めの温度で発酵する香り高い「エール(上面発酵ビール)」、野生酵母で造る「自然発酵ビール」です。
最近では、下面酵母を常温で発酵させたり上面酵母と下面酵母を併用したりする方法で造られている「ハイブリッド・ビール」も登場。世界には、100種類以上のビールのスタイルがあるといわれています。各国それぞれに独自スタイルのビールがあります。
日本で多く飲まれているスタイルはラガーですが、近年は、独自開発したビールを醸造するマイクロブルワリーなどが、エールビールの醸造にも力を入れています。
おもな世界のビールスタイル
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世界では、どんなビールスタイルが好まれているのでしょうか? 紹介しきれないのでここでは、おもなものを抜粋して紹介します。
まずは、ラガー(下面発酵ビール)から。
◆ピルスナー
色は黄金色で、白くキメ細かい泡が特徴。アルコール度数も5%前後と低いものが多く、日本でも定番の人気です。
◆へレス
ヘレスはドイツ語で“淡い”という意味。明るい黄金色の外観が特徴。ホップの香りや苦味は控えめで比較的飲みやすいビールです。
◆ボック
見た目は淡色から真っ黒までさまざまで、色によってさらに細かく分類します。共通しているのは高いアルコール度数。ハイアルコールビールならではの、どっしりとした飲み口で人気があります。
次は、エール(上面発酵ビール)です。
◆ヴァイツェン
ヴァイツェンは“小麦”という意味。クリアな黄金色ではなく少し白濁しているものが多いのが特徴。フルーティーな香りと少しの酸味、苦味が少ないことからビールの苦味が苦手な人にもおすすめできます。
◆ベルジャンスタイル・ホワイトエール
ベルジャンホワイトとも呼ばれるベルギーの伝統的なエール。麦芽化していない小麦を使用。オレンジピールやコリアンダーで香りづけされているビールもあります。
◆トラピスト
世界の限られた修道院でしか名称を使うことが許されていないビール。おもな生産地にベルギーがあります。
◆IPA
IPAはインディアペールエールの略。インドがイギリスの植民地だった時代、イギリスからインドへ輸出する長い航路に耐えるためにアルコール度数を高め、ホップを大量に使用して造られたペールエールが発祥です。高いアルコール度数とホップの強烈な苦味、香味にはまる人が多いそうです。
◆スタウト
外観は濃いブラウンから黒。一部に焙煎した麦芽を使用しているためロースト香が感じられ、コクのあるビールです。
最後に自然発酵ビールです。
◆ランビック
自然発酵で造られるビアスタイルの総称。麦芽化していない小麦を使い、酸味と独特な香りがあります。 現在販売されているビールの中では、古典的な製法で造られています。
これだけのビールのスタイルを前にすると、何を飲んでいいのか迷いますね。少しずつ飲み比べて、好みを見つけてください。