ビールの金額は酒税で決まる?酒税の歴史から見る日本のビールの値段

ビールの金額は酒税で決まる?酒税の歴史から見る日本のビールの値段

さまざまなお酒の中でも、とくに日本人に愛飲されているビールですが、税率の高いことでも有名です。ビールを始めお酒の税金「酒税」にはどんな歴史があるのでしょうか?また、ビール以外の新ジャンルの価格についても確認してみましょう。

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ビール酒税の歴史

ビール酒税の歴史

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「酒税」の歴史は古く、酒類に課税がなされたのは室町時代といわています。江戸時代から明治にかけては、「酒株」という酒造の免許税のようなものがあり、一定の保証金を納めれば誰でも酒を造ることができました。その後、1873年の地租改正条例により全国統一の税制として「地租」が導入されます。

日本の酒税法が大きく変化したのは1896年のことです。日清戦争に勝利した後、日露戦争の軍事費調達のため酒税の増税がされました。このとき、制定された「造石税(ぞうこくぜい)」は、酒造りが終わった時点で税が課せられるもの。つまり、お酒の売れ行きに関係なく酒税を納めなければならなかったのです。

1944年に造石税が廃止、蔵の中にある間は課税されず出荷された時点で課税される「蔵出税」になります。第二次世界大戦後の1953年には、戦前に制定された旧酒税法が改正され現在の酒税法が確立されました。

その後も、酒税法は改正を繰りかえし、1989年の大幅な改正により価格を課税標準として税額を算出する「従価税制度」と「級別制度」は廃止されました。

ビールにはもともと、酒税は課せられていなかったそうです。1901年軍備増強の名目で、清酒のみに課税していた酒税に「麦酒税(ビール税)」を導入したのが始まりです。ビールの酒税は、昭和50年代に4回増税され、ほかの嗜好品に比べても税率は高止まりしています。

発泡酒、新ジャンルにかかる酒税

発泡酒、新ジャンルにかかる酒税

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酒税法で、お酒は大きく「発泡性酒類」「醸造酒類」「蒸留酒類」「混成酒類」の4つに分類されます。


このなかの「発泡性酒類」、一般的にいうビールと発泡酒、新ジャンルの違いを知っていますか?2018年4月時点での 3つの違いは、おもに麦芽の使用量による税率の違いです。いずれもザックリと、ホップ等を加えて発酵させ、アルコール度数が20度未満の発泡性のお酒で、「麦芽の使用量が50%以上ならばビール」。「50%未満なら発泡酒」です。第三のビールや新ジャンルは、「ビール及び発泡酒以外の品目のうち、アルコール分が10度未満で発泡性を有するもの」をいいます。(実際にはこのほかにも細かい規定がありますが、ここでは割愛します)

低税率の発泡酒が生まれたのは、90年代初頭にビールの低価格競争が始まったときで、1994年にビールの半額程度の値段で登場した発泡酒は家計の救世主として人気を博しました。ですが、発泡酒の税率は10年で2度も改訂(値上げ)、その後、価格の戦いは、第三のビールや新ジャンルと呼ばれる別次元へと移行しました。

2018年3月時点での酒税は、いずれも350ミリリットルあたりビール77円、発泡酒約47円、第3のビール(新ジャンル)約28円ですが、段階を経て改訂され、現在の新ジャンルの価格優位性は失われていくことに。逆に、ビールの税率が少し下がっていき、2026年10月にはビール系飲料の酒税が1本化され、一律54.25円になる予定です。気になる人は国税庁のホームページを覗いてみてください。

気軽に飲みたいビールや発泡酒、新ジャンルですが、税率の変動も気になるところですね。

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