日本酒風呂の効果とは? 入れるお酒の量や入浴時の注意点などもチェック!
肌への効果やリラックス効果、血行促進効果などが期待されています。今回は、日本酒風呂の概要、日本酒風呂におすすめの日本酒や入れる量の目安、期待される効果やメリット、入浴時の注意点などを紹介します。
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そもそも日本酒をお風呂に入れてもよいものなのでしょうか。
日本酒風呂ってどんなもの? お酒をお風呂に入れてもOK?
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日本酒風呂とは、文字どおり日本酒を入れたお風呂のことです。
日本酒は飲むために造られているもの。入浴剤の替わりにお風呂に入れても大丈夫か、気になることもあるかもしれませんが、追い炊きをせず、お風呂のお湯に入れるだけなら、使用している浴槽のメーカーが禁じていないかぎりOKです。
アルコール度が比較的高い日本酒は、未開封の場合は基本的に腐敗することがないため、賞味期限の記載義務もありません。
一方、酒質のほうは時間の経過や保存状態によって変化します。購入した日本酒が古くなり、味わいが大きく変わって飲用に適さなくなってしまうこともあります。
日本酒風呂は、そうした飲めなくなった日本酒の使い道のひとつとしてもおすすめです。次の章で、さっそく日本酒風呂の作り方のポイントをみていきましょう。
日本酒風呂の作り方
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日本酒風呂は、浴槽にお湯を張って日本酒を入れるだけで手軽に作れます。ここでは、作る際のポイントをみていきましょう。
日本酒風呂に適したお酒の種類は?
日本酒風呂に入れる日本酒の種類には決まりはありませんが、たくさんの種類がある日本酒のなかで、ちょっとぜいたくですが、まずおすすめしたいのが純米酒です。
純米酒は米と米こうじ、水だけで造られるお酒で、醸造アルコールが添加されている吟醸酒や本醸造酒に比べ、アミノ酸が多く含まれています。
アミノ酸は有機化合物の一種で、自然界に500種類ほど存在しています。そのうち、タンパク質を構成する主要なアミノ酸は20種類で、日本酒にはほとんどが含まれています。
20種類の主要なアミノ酸には、それぞれに機能があり、さまざまな効果が期待されています。なかには、疲労回復などの機能が認められているイソロイシンなど、入浴との相性がよさそうな機能を持つものもあります。
では、入浴時によい香りをたのしみたいときには、どんなお酒を選ぶとよいのでしょう。華やかでフルーティーな香りが特徴の吟醸酒系の日本酒がおすすめです。
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日本酒風呂に入れるお酒の量は?
日本酒風呂には、日本酒をどのくらい入れればよいのでしょう。
2020年、米沢電気工事株式会社が金沢工業大学の指導を受けて行った「酒風呂」の実証実験では、湯量500リットルに対して1/1000量となる500ミリリットルの酒風呂専用酒を使用しています。
これにならって、縦60センチメートル、横100センチメートルの家庭用浴槽に、お湯を40センチメートルためた場合の日本酒投入量を考えてみましょう。湯量は60×100×40÷1000=240リットル、その1/1000量である240ミリリットル程度の日本酒を入れるとよいことがわかります。
以上を目安に、浴槽のサイズやお好みの湯量および酒量に合わせて調整してみてくださいね。
日本酒風呂に期待される効果とは?
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日本酒風呂に期待される効果やメリットをみていきます。
お肌への効果
日本酒には、お肌の状態に好影響を与える可能性があるさまざまな成分が含まれています。
そのうちのひとつ、日本酒に含まれる旨味成分の「α-エチル-D-グルコシド(α-EG)」は、飲用でも塗布でも皮膚真皮層のコラーゲン量を増やすことが実証され、学会で発表されています。
上述の「酒風呂」の実証実験では、酒風呂への入浴とα-EGの食事摂取がともに6日間行われ、参加者全員のコラーゲン密度の上昇が確認されています。
また、日本酒に含まれるポリフェノールの一種フェルラ酸は、美白効果が認められていて、市販の化粧品にも使用されています。
日本酒にはフェルラ酸のほかにも美白に関連する成分が含まれていることから、日本酒風呂でも美白効果が期待されます。
(参考資料)
金沢工業大学|一週間で被験者全員のコラーゲン密度が上昇。酒風呂入浴と日本酒の旨味成分α-EGで調理した食事摂取で速効性と継続性が明らかに。金沢工業大学白山麓キャンパス 比咩の湯での実証実験結果
富士フィルム スキンケア研究所|くすみの原因は“肌の酔い”だった
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リラックスする香りの効果
華やかでフルーティーな吟醸酒系の日本酒の香り「吟醸香(ぎんじょうか)」の成分であるカプロン酸エチルと酢酸イソアミルには、抗不安作用が示唆されています。
また、植物から抽出した精油(エッセンシャルオイル)の香りを用いるアロマテラピー(アロマセラピー)などがあるように、香りは心身にさまざまな影響をもたらすと考えられています。
吟醸酒のみならず、純米酒の原料米に由来する穏やかな香りも、日本酒風呂でのリラックスにひと役買ってくれることでしょう。
(参考資料)
『日本醸造協会誌』より「清酒及び醸造副産物の機能性」
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血行が促進される効果
日本酒には、アデノシンという血管拡張作用のある成分も含まれています。
そもそもお風呂に入ると、温熱効果や水圧などの影響で、血管が拡張したり血流が促進されたりします。
血管が広がって血の巡りがよくなると、肩こりなど血行不良が原因のひとつとなっている症状がやわらぐなどの可能性があります。
日本酒風呂では、もともとのお風呂の効果にアデノシンも加わるため、血行が促進される効果が期待されます。
日本酒風呂の注意点
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日本酒風呂の注意点を確認していきましょう。
日本酒風呂に入るのを避けるほうがよい人は?
日本酒風呂に入れる日本酒には、多くの成分が含まれています。
なかでもアルコールは、心身に比較的大きな影響を与える成分。沸点は約78.3度で、お風呂としては熱めの42~43度程度のお湯に日本酒を入れても、アルコール分がすっかり飛ぶことはおそらくないため、注意が必要になります。
また、お風呂そのものも、水圧などで体に負荷がかかるものです。たのしみのはずの日本酒風呂で万が一の事故が起きないよう、以下に該当する人はとくに気をつけましょう。
◇子供・妊娠中の人・アルコールに弱い人・体調がすぐれない人
日本酒風呂には少量とはいえアルコールが入っています。上記に該当する人については、日本酒風呂への入浴は避けましょう。
◇敏感肌の人・皮膚が弱い人
日本酒には多種多様な成分が含まれています。お肌のトラブルを招くおそれもあるため、上記に該当する人については、日本酒風呂への入浴は避けるほうが無難です。
◇持病のある人・高齢者
持病がある人や、血管が弱っている場合も多い高齢者については、日本酒風呂で血流がより促進されたり体に負荷がかかったりすると、かえって体に障るおそれがあります。必ず主治医に相談してから入るようにしましょう。
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日本酒風呂をたのしんだあとは掃除をしっかり行おう
日本酒は栄養豊富なお酒。温かいお風呂に入れて長時間そのままにしておくと、雑菌が増える要因となります。
日本酒風呂をたのしんだあとは、余韻に浸りたいところではありますが、できるだけ時間を置かず、雑菌が大繁殖する前にお湯を抜いて掃除をしましょう。
なお、日本酒風呂を行う際には、風呂釜内で雑菌が繁殖するおそれもあるので、お風呂の追い炊きはNGとなります。日本酒にはさまざまな成分が入っているため、日本酒風呂の残り湯を使った洗濯もやめておくほうがよいでしょう。
美白効果やリラックス効果などが期待できる日本酒風呂は、手軽にたのしめるのが魅力です。飲み切れなかった日本酒があるときには、日本酒風呂でリフレッシュしてみてくださいね。