「ノンアルコールワイン」ブーム到来! 人気の秘密や味わい、選び方、おすすめ銘柄を紹介

「ノンアルコールワイン」ブーム到来! 人気の秘密や味わい、選び方、おすすめ銘柄を紹介
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「ノンアルコールワイン」とは、アルコール度数1%未満のワインのこと。酔うことなく、ワインの香りや味わいをたのしむことができると人気を集めています。今回は、ノンアルコールワインの製法やぶどうジュースとの違い、種類、選び方、おすすめ銘柄まで紹介します。

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「ノンアルコールワイン」ってどんなもの?

「ノンアルコールワイン」ってどんなもの?

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「ノンアルコールワイン」の日本における定義や、近年高まり続ける人気の理由、特徴などを紹介。「ぶどうから造られるワインにアルコールが入っていないのなら、それはもはやジュースなのでは?」「ノンアルコールなのになぜワインと同じような味わいなのか」そんな疑問にも答えていきます。

「ノンアルコールワイン」とは?

「ノンアルコールワイン」は、日本において明確な定義は制定されていません。しかしながら日本の酒税法では「酒類=アルコール分1度以上の飲料」と規定されているため、「アルコール度数が1%未満のワインがノンアルコールワインである」というふうに理解することができます。そのためノンアルコールワインは「お酒」に含まれません。
とはいえ、微量のアルコールを含むものもあるので、お酒に弱い人は飲みすぎないよう注意が必要です。

「ノンアルコールワイン」に人気が集まる理由

「ノンアルコールワイン」の注目度が高まったのは、じつは最近のこと。それまでノンアルコールワインといえば、妊娠中の人や運転する機会がある人など「飲みたくても飲めない」という場面で消費されるイメージがありました。しかし現在は、飲んでもよい状況下でありながら、あえてノンアルコールワインを選択する人が増えています。

お酒を飲まない、酔わない、飲めるけどあえて飲まない「ソバーキュリアス(sober=しらふとcurious=好奇心を合わせた造語)」という考え方が近年話題になりましたが、このような生き方に共感する人が日本でも増加しているそう。そして「ソバーキュリアス」な生き方を選ぶ人たちがライフスタイルを変えずにたのしめるのが、ノンアルコール飲料。なかでもノンアルコールワインは、テーブルの彩りやムードを味わうのに最適な飲み物といえそうです。

また、最近は相当にクオリティの高いノンアルコールワインも登場し、アルコール入りのワインと同様に、一流レストランでお料理とのマリアージュをたのしめる飲み物になってきました。

「ノンアルコールワイン」と「ぶどうジュース」との違い

「ノンアルコールワイン」と似たものに「ぶとうジュース」がありますが、両者の決定的な違いは、製造工程で発酵させているかどうかという点にあります。

ぶどうジュースとは、搾ったぶどう果汁をそのまま飲む飲料です。一方ノンアルコールワインは、ぶどう果汁を発酵させて造ります。ワインのような味わいや香りが感じられるのはそのためです。

とはいえ、ぶどうジュースのなかにもワイン用のぶどうを100%使用しているものや、ワイナリーが製造しているものもあり、ジュースでありながらノンアルコールワインに近い味わいを持つものも存在します。

「ノンアルコールワイン」の製造方法は2通りある

「ノンアルコールワイン」の製造方法は2通りある

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「ノンアルコールワイン」の製法は、通常のワインからアルコールを取り除く「脱アルコール製法」と、最初からアルコールを生成させず、あとから風味を足す「アルコール風製法」の2酒類に大別されます。それぞれ詳しくみていきましょう。

ワインからアルコールを抜く製法(脱アルコール製法)

脱アルコール製法とは、通常のワインを製造し、あとからアルコール成分を抜く方法です。
脱アルコール製法は、以下の3つに分けられます。

減圧蒸溜法

脱アルコール製法の主流となっているのが、蒸溜酒のようにワインを蒸溜し、アルコール成分を抜く「減圧蒸溜法(蒸溜法)」です。
ワインは加熱すると風味が失われてしまうため、気圧を下げて低い温度で蒸溜し、風味を保ちつつアルコールのみを抽出して取り除きます。この方法で造られたノンアルコールワインは、アルコールが完全に抜けきらず、微量に残ることがあります。

逆浸透法

アルコールと水だけを通す半透明の膜を使って、アルコールを除去する方法。ワインからアルコールと水を分離して果汁を濃縮し、再度水を加えて仕上げます。

揮発性物質回収法

タンク内のワインに遠心力をかけることで香りと風味、アルコールを分離し、アルコールを加熱して除去する方法。香りと風味は元に戻します。

通常のワインからアルコールを抜く段階で、ワインの個性を残すべくさまざまな工夫をこらしているのが、脱アルコール製法の特徴です。なかでも「減圧蒸溜法」は、もっともワインの味わいや風味を残すことができる製法といわれています。

アルコールを生成せずに発酵させる方法(アルコール風製法)

アルコール風製法は、アルコールのもととなる糖分を減らしたり、発酵を途中でストップさせるなどして、ワインにアルコールが生じないようにしながらノンアルコールワインを製造する方法です。
アルコールをあとから抜く脱アルコール製法と比べると、ぶどうの果汁感が強くなる傾向があります。

「ノンアルコールワイン」の種類と選び方

「ノンアルコールワイン」の種類と選び方

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「ノンアルコールワイン」も普通のワイン同様にいくつかの種類があります。味わいや果汁感、風味など、どのようなバリエーションがあるのか、選び方とあわせて紹介します。

「ノンアルコールワイン」の種類

「ノンアルコールワイン」も通常のワインと同じく、赤、白、ロゼ、スパークリングなどの種類があり、ワインに近い味わいのものからぶどうの果汁感が強いものまでさまざまです。

よりワインに近い味わいが感じられるのは、あとからアルコールを抜く「脱アルコール製法」によるもの。果汁感がより強く味わえるのは、もとからアルコールを生成させない「アルコール風製法」によるノンアルコールワインです。

一般的に、ノンアルコールの赤ワインは複雑で渋味がある味わいが特徴です。白ワインは渋味が少なくすっきりとした飲み口がたのしめます。ロゼはフルーティーで、炭酸を含んでいるのがスパークリングです。

「ノンアルコールワイン」の選び方

「ノンアルコールワイン」を選ぶときの基準としては、「フードペアリング」「味の好み」「ぶどうの品種」「飲むシーン」といったものがあげられます。

フードペアリングの傾向は、通常のワインとほぼ同じ。赤は肉料理、白は魚、幅広くどんな料理にでも合わせやすいのが、ロゼやスパークリングワインになります。

甘口か辛口か、渋味がほしいのか、逆に爽快感のある炭酸入りのものがよいのか。味の好みやその日の気分に合わせてチョイスしてもよいでしょう。お気に入りのぶどうの品種がある場合は、通常のワインと同じく原料のぶどうの品種で選ぶのも一手です。

ノンアルコールワインは高価なものからリーズナブルなものまでバリエーションも豊富なので、飲むシーンに合わせていろいろ試してみてください。

「ノンアルコールワイン」にはアルコール分ゼロではないものもある

「ノンアルコールワイン」は、酒税法上「酒類」には含まれないので、法律的には20歳未満も飲むことができます。とはいえ、微量ながらアルコールが含まれているタイプもあるため、このタイプは飲みすぎないよう注意が必要です。このタイプは妊娠中の人や運転する人にもおすすめできません。

0.00%(または0.0%)と記載のあるものなら、運転する人や妊娠している人も、安心して飲むことが可能です。購入時はラベルなどでアルコール度数を確認し、アルコールが含まれていないことを確認しましょう。

「ノンアルコールワイン」のおすすめ銘柄6選

「ノンアルコールワイン」のおすすめ銘柄6選

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「ノンアルコールワイン」のおすすめ銘柄を、白・赤・スパークリングに分けてセレクトしてみました。

「ノンアルコールワイン(白)」のおすすめ銘柄

「ノンアルコールワイン(白)」を試してみたい人は、まずはこちらの銘柄からどうぞ。

ヴィンテンス・シャルドネ

ベルギーの老舗メーカーであるネオブュル社が製造している「ヴィンテンス・シャルドネ」は、フランスの代表的な白ワイン用ぶどう品種「シャルドネ」から造られています。独自の低温圧縮蒸溜によって、風味を失うことなくアルコールを取り除いており、白身魚とのフードペアリングには定評があります。アルコール度数は0.00%。

カールユング シャルドネ

こちらも王道のぶどう品種「シャルドネ」から造られたノンアルコールワイン。アルコール度数は0.5%未満。脱アルコール製法により、風味を損なわないままアルコール分を除去した、やや辛口の1本です。
ドイツのカールユング社は、1908年に世界初のノンアルコールワインを製造した会社でもあります。

「ノンアルコールワイン(赤)」のおすすめ銘柄

ノンアルコールワイン(赤)が好みの人に、肉料理などに合う銘柄を紹介します。

カールユング メルロー

ノンアルコールワイン製造でも安定の評判を保つカールユング社が手掛けた「メルロー」100%のノンアルコール赤ワイン。アルコール分0.5%未満ながら、しっかりとした渋味があり、本物のワインと比べても遜色のない味わいがたのしめます。ポリフェノールもたっぷり。

カツヌマグレープ

日本屈指のワイン産地として知られる勝沼の老舗ワイナリー、シャトー勝沼が手掛ける「カツヌマグレープ」は、アルコールを生成しない製法で造られるアルコール分0.00%のノンアルコール赤ワイン。製造時に緑茶を加えることで、芳醇な香りと味わいを実現。エスニックや中華など、クセのある料理との相性も抜群です。

「ノンアルコールワイン(スパークリング)」のおすすめ銘柄

すっきりとしたノンアルコールワイン(スパークリング)もおすすめです。

ナイト・オリエント・クラシック

ベルギーの飲料メーカーであるオリエント・ドリンク社の「ナイト・オリエント・クラシック」は、「脱アルコール製法」で造られたノンアルコールのスパークリングワイン。濃縮ぶどうジュースを約25%加えることで、ほのかな甘味を持つフルーティーな味わいに仕上げています。アルコール度数は0.00%。どんな料理にも合わせやすいので、ぜひ一度試してみてください。

ネオブュル デュク・ドゥ・モンターニュ

ベルギーの老舗飲料メーカー、ネオブュル社によるノンアルコールのスパークリングワイン。ワインと同じようにていねいに造られ、アルコール度数は0.00%ながら、ノンアルコールとは思えないほどのふくよかな香りと味わいをたのしむことができます。

缶ワインという新たな選択肢も

ワインもビールやチューハイのように缶で飲める時代になりました。持ち運びがしやすいうえ、保管もラクなので、家飲みはもちろん、キャンプなどアウトドアのおともにもおすすめです。

サントリー「ノンアルでワインの休日〈赤〉/〈白〉」

ノンアルでワインの休日

出典:サントリーホームページ

稲垣吾郎さん出演のCMで話題を集めたノンアルコールワインテイスト飲料。ワインを蒸溜して脱アルコールしたワインエキスを使い、ノンアルコールとは思えない本格的な味わいに仕上げています。
〈赤〉は果汁18%。果実の香りとワインらしい深い味わいがたのしめます。〈白〉は果汁21%。フルーティーな香りとすっきりとした飲み口が特徴です。
アルコール度数はともに0.00%。手頃な価格と350mlという一度に飲み切れるサイズ感も人気の秘密です。

発売元:サントリー株式会社
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注目度の高まりとともに、国内外で本格的なノンアルコールワインが増えてきています。酔いたくないときやお酒を飲めないシーン、お酒に強くない人はもちろんのこと、日頃からワインを飲み慣れている人も、ぜひ一度味わって、その真価に触れてみてください。

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