かつてビールは蓋つきのビアマグで飲まれていた!? クラシカルな「ドイツ製ビアマグ」とは

かつてビールは蓋つきのビアマグで飲まれていた!? クラシカルな「ドイツ製ビアマグ」とは
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日本ではビールをお馴染みのジョッキで飲む姿をよく見かけますが、ドイツではかつて蓋つきのビアマグが主流だったことを知っていますか? 今回は、ジョッキとビアマグの言葉の違いに触れつつ、クラシカルなデザインが目を引く、蓋つきの「ドイツ製ビアマグ」を紹介します。

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ビールを飲むのに蓋つきのビアマグが使われていたってほんと?

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ジョッキとビアマグ、何が違うの?

ビールをゴクゴク飲むための酒器と聞いて、ガラス製のジョッキを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。ジョッキ(ビールジョッキ)とは取っ手のついた大型の容器のことで、おもにビールをたのしむために使われます。

「ジョッキ」の語源は、「水差し」を意味する英語の「jug(ジャグ)」がなまったものと考えられています。実際、明治時代に流行したビアホールでは、注ぎ口つきのジョッキも使われていたようです。

ちなみに、英語圏では「ジョッキ」とはいいません。じつはジョッキは和製英語で、英語では円筒形のボディに取っ手のついた酒器のことを「mug(マグ)」、ビール専用マグのことを「beer mug(ビアマグ)」といいます。そのため、海外の人は日本のジョッキのことを、「マグ」や「ビアマグ」と呼びます。

なお、ビール文化が根づくドイツでは、「Bierkrug(ビアクルーク)」といいます。

ドイツでは蓋つきのビアマグを見かけることも

日本でジョッキはガラス製のものが主流ですが、ビールの本場ドイツでは、取っ手のついた銅製や陶製のビアマグも使われています。

まれに、金属や陶磁器製の蓋がついた、どっしり重厚感のあるビアマグに出会うこともあります。日本でも、クリスマスマーケットなどで見かけたことがある人もいるのではないでしょうか。

近年はドイツでも蓋つきのビアマグはほとんど使用されなくなりましたが、19世紀ころまではごく一般に使われていたといわれています。

なんのためにビアマグに蓋があるの?

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ビアマグの蓋はペストの流行を防ぐためにつけられた

豪華な蓋つきのビアマグは存在感があって素敵ですが、なぜ蓋をつける必要があったのでしょうか。

その理由は諸説ありますが、14世紀にヨーロッパ全土で猛威をふるったペストの大流行を防ぐため、という説が有力です。当時は「ハエがペストを媒介する」と信じられていて、ビールを飲んでいるときにハエがビアマグのなかに入らないよう、蓋をつけたのが始まりといわれています。

ビアマグの蓋にはお代わりを意味するサインとしての役割も

蓋つきのビアマグは、ペストの流行が収束し、ルネサンス期を経て、近代になっても使われていました。このころは、野外でビールを飲む際に落ち葉や虫が入るのを防ぐためや、ビールの冷えた状態を保ったり炭酸の抜けを防いだりするために重宝されていたようです。またお代わりのサインとして、「飲み終わったビアマグの蓋を開けておく」という使い方もされていたそう。

こうしてみると、蓋つきのビアマグにはさまざまなメリットがあるので、一度は使ってみたいものですね。

蓋つきのビアマグはどこで手に入る?

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蓋つきのビアマグを手に入れるには?

日本ではなかなか手に入れにくい蓋つきのドイツ製ビアマグ。ここでは入手できそうな場所などをいくつか紹介します。

【オンラインショップ/ネットオークション】
数はそれほど多くありませんが、オンラインショップやネットオークションなどで購入することができます。なお、日本ではジョッキというほうが一般的なので、「ビアマグ」より「ビールジョッキ」で検索したほうが見つかりやすいでしょう。

【ヴィンテージショップ】
年代物の蓋つきのビアマグは、運がよければヴィンテージショップなどで出会えることもあります。ただ、ヴィンテージ品なので、高価なものが多いようです。

【ドイツ料理店やパブ】
ドイツ料理を味わえるレストランや、ドイツ系のパブなどでも出会えるかもしれません。お店で見かけたら、どうやって入手したのか聞いてみてもよいですね。

【ドイツの空港】
ドイツの空港ではお土産用として販売されていることも多いそう。なかにはその地方の名所や代表的な景色などが描かれているものもあるため、機会があればドイツ旅行の思い出に購入してみてはいかがでしょう。

蓋つきビアマグはビールを飲むにはもちろん、インテリアとしても◎

色鮮やかな風景や動植物、ドイツの国旗や州章などがデザインされたビアマグは、ビールを飲むための器としてはもちろん、インテリアにもぴったり。なかには、底にオルゴールがついていてやさしい音色を奏でるビアマグもあり、ひとつあれば見て・聴いて・飲んでと複数の用途で活用できます。

棚に飾ってインテリアのアクセントにするもよし、花を挿してフラワーベースにするもよし、大事な小物入れにするもよし。アイデア次第で、蓋つきビアマグの可能性が広がりそうですね。現代風の使い方を見つけるのもたのしそうです。



かつて文豪・森鴎外がドイツ留学中に誕生祝いとして贈られたともいわれている蓋つきのドイツ製ビアマグ。クラシカルな細工が施された陶製のビアマグは、飲む用途にはもちろん、インテリアとしても活躍します。オンラインショップなどで見かけた際は、コレクションのひとつに加えてみるのもよさそうですね。

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