シャンパンの繊細な泡はどのように生まれる? たのしみ方や代表銘柄も紹介

シャンパンの繊細な泡はどのように生まれる? たのしみ方や代表銘柄も紹介
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シャンパン(シャンパーニュ)は、美しく繊細な泡が魅力のスパークリングワイン。では、シャンパンの魅力である泡は、どのように生み出されているでしょう? 今回は、シャンパンの泡が生まれる理由や、シャンパンの人気銘柄などについて紹介します。

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シャンパン(シャンパーニュ)は美しい泡が魅力のワイン

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シャンパンはシャンパーニュ産のスパークリングワイン

シャンパン(シャンパーニュ)の特徴は、その美しい泡。とはいえ、発泡性のワインであるスパークリングワインすべてが「シャンパン」ではありません。

「シャンパン」とは、フランス北部のシャンパーニュ地方で造られることに加え、さまざまな条件を満たしたスパークリングワインのみに許される呼称です。

シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエの3品種のブドウのみを原料にしていること、伝統的な製法で醸造されていること、アルコール度数が11%以上であることなど、多数の細かい規定に合うものだけが「シャンパン」を名乗ることができるのです。

シャンパンの泡のたのしみ方

美しい泡が魅力のシャンパン。フランスでは、グラスの底から立ち上る泡を「ペルル(真珠)」、表面で円い輪になった泡を「コリエ(首飾り)」と呼ぶのだとか。シャンパンを飲む際には、このような美しい泡をゆっくりと堪能したいものです。

そのためのポイントは、開栓してすぐにグラスに注がず、少し待って泡を落ち着かせること。また、シャンパンを注ぐグラスは、底からきれいな泡が立ち上るよう、高さのあるものを選びましょう。シャンパン用のグラスとして定番のフルート型か、チューリップ型のものがおすすめです。

シャンパンを注ぐ際は、泡がグラスからふきこぼれないよう、2度に分けて静かにゆっくりと注ぎます。注ぐ量は、グラスの6分目くらいが目安。シャンパンを注いだグラスは、体温が伝わらないよう、ステム(脚)の下のほうを持つようにしましょう。

シャンパンに泡ができる理由

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シャンパンの泡を生む「瓶内二次発酵」

「シャンパン」と名乗るための条件のひとつが、伝統的な製法である「トラディショナル方式」で醸造されていること。トラディショナル方式では、「瓶内二次発酵」によってシャンパンならではの繊細な泡が生み出されます。

なお、瓶内二次発酵を行うおもな製法としては、「トラディショナル方式」のほかに「トランスファー方式」「メトード・リュラル方式」などがあります。それぞれの違いを見ていきましょう。

【トラディショナル方式(シャンパーニュ製法)】

瓶詰めしたワインに糖分と酵母を加えて、瓶内で二次発酵させたあと、澱を瓶口に集めるために瓶口を下にして毎日少しずつ回転させる「ルミュアージュ(動瓶)」、瓶の口付近に集まった澱を取り除く「デゴルジュマン(澱抜き)」などの作業を行います。

シャンパーニュのほかスペインのスパークリングワイン「カヴァ」などにも用いられる製法です。

【トランスファー方式】

瓶内二次発酵させたワインを加圧式のタンクに移して熟成させ、冷却・ろ過してから再び瓶詰めする製法です。

「トラディショナル方式」を簡略化した方法で、ドイツのスパークリングワイン「ゼクト」などに用いられます。

【メトード・リュラル方式(田舎式製法)】

二次発酵途中の醪(もろみ)を瓶詰めし、残りの発酵を瓶内で行う製法で、最適なタイミングを見計らうために手間がかかります。

トラディショナル製法よりも、さらに古くからある製法といわれていて、「田舎式方法」や「田舎式製法」と呼ばれるほか、南フランスのガイヤック地方で用いられることから「メトード・ガイヤコワーズ」とも呼ばれます。



なお、スパークリングワインの製法には、「シャルマ方式」「炭酸ガス注入方式」など瓶内二次発酵を行わないものもあります。


極上の泡をたのしむ!シャンパンの選び方と代表銘柄

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シャンパンを選ぶポイント

「シャンパン」と一口にいっても、比較的手頃な価格のものから高級なものまで、幅広い種類があります。シャンパンを選ぶ際は、次のような点を踏まえておくとよいでしょう。

【シャンパンの色で選ぶ】

シャンパンの色としては「白」が一般的ですが、「ロゼ」のシャンパンもあります。ロゼのシャンパンは、バランスのとれた味わいと華やかで美しい見た目が魅力ですが、価格は白よりも高くなる傾向があります。

【シャンパンのグレードで選ぶ】

シャンパンには、さまざまな収穫年や畑のブドウをブレンドした「ノン・ヴィンテージ」、特定の収穫年のブドウを原料とする「ヴィンテージ」、ブドウのできのよい年に極上のブドウのみを原料に造られる「プレステージ」というグレードがあります。

グレードの高い高級シャンパンには個性的な味わいのものも多く、かえって「ノン・ヴィンテージ」の方がおいしさを感じやすいという場合もあります。

【シャンパン生産者の形態・規模で選ぶ】

シャンパンの生産者は、ブドウ栽培からワイン造りまで一貫して行う「レコルタン・マニピュラン(RM)」と、ブドウ農家から購入したブドウでワイン造りを行う「ネゴシアン・マニピュラン(NM)」とに大別されます。

「レコルタン・マニピュラン」は小規模な生産者が多く、個性的なシャンパンが多い傾向があります。一方、「ネゴシアン・マニピュラン」は規模が大きく、万人受けするシャンパンを多く生産する傾向があります。

シャンパンの有名銘柄

シャンパンのなかには、世界的に有名な銘柄も多くあります。ここでは、日本でも人気の高い定番銘柄を3つ紹介しましょう。

【ドン ペリニヨン】

とくに知名度の高いシャンパンのひとつ、「ドン ペリニヨン」。その名は17世紀にシャンパン造りに大きな功績を残した修道士「ドン・ピエール・ペリニヨン」に由来しています。

「ドン ペリニヨン」が高級とされる大きな理由のひとつが、ブドウのできがよい年に造られる「ヴィンテージ」のみを生産していること。スタンダードな「白」のほか、シャンパン原酒にピノ・ノワールの赤ワインを加えた「ロゼ」、長期熟成された「P2」「P3」などがラインナップされています。

製造元:ドン ペリニヨン
日本語版サイトはこちら


【クリュッグ(KRUG)】

「クリュッグ」は「シャンパンの帝王」と称され、世界中に「クリュッグラヴァー(クリュギスト)」と呼ばれる熱狂的なファンを持つシャンパンです。「クリュッグ」は、伝統的な製法でプレステージ・キュヴェのみを造っています。

ブランドを代表する「クリュッグ グランド・キュヴェ」は、120種類以上のワインをブレンドしています。ほかに、力強くエレガントな「ロゼ」、単一年のブドウだけで造られた「ヴィンテージ」などがあります。

【ルイ・ロデレール】
1776年に創業し、家族経営を続ける「ルイ・ロデレール」は世界最高峰のメゾンとして知られ、そのシャンパンは「手仕事の芸術品」と称されています。

19世紀にロシア皇帝に捧げられたという、世界的に名高いプレステージ・キュヴェ「クリスタル」のほか、スタンダード・キュヴェの「コレクション」(ブリュット・プルミエが35年ぶりにリニューアルし、2021年6月現在は「ルイ・ロデレール コレクション 242 」が販売中)、「ブリュット・ヴィンテージ・ロゼ」などのラインナップがあります。

シャンパンは、手間暇のかかる伝統の製法によって生み出される繊細な泡が特徴のスパークリングワインです。シャンパンをたのしむ際は、泡の魅力にも注目したいですね。

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