甲州勝沼の有名ワイナリー7選!試飲はできる?予約は必要?見学情報を確認

甲州勝沼の有名ワイナリー7選!試飲はできる?予約は必要?見学情報を確認
出典 : SOGJP / Shutterstock.com

甲州勝沼は、日本一のワイナリー数を誇る山梨県のなかでも徒歩圏内にワイナリーが密集するワインの銘醸地。諸説ある日本のワイン生産発祥地のひとつとして知られています。今回は、甲州勝沼エリアの特徴やワイン造りの歴史、有名ワイナリーの見学情報を紹介します。

  • 更新日:

勝沼にワイナリーが集中する理由と、ワイナリー巡りに役立つ情報をまとめてみました。

山梨県甲州市勝沼エリアに人気ワイナリーが集中する理由

ワイナリーの酒樽とテイスティング

MikroKon / Shutterstock.com

ブドウ栽培やワイン造りが盛んな勝沼地方とは、どのような地域なのでしょう。数々の有名ワイナリーを生み出した、甲州勝沼のワイン事情に迫ります。

勝沼は日本屈指のブドウの産地

山梨県の北東部に位置する甲州市勝沼町。盆地のきわにある扇状地は、水はけがよく、ブドウの栽培に適した土地です。見渡すかぎりブドウ畑が広がるこの地では、なんと江戸時代からブドウの栽培が行われてきたといいます。

勝沼で古くから栽培されてきたのは、日本のワインの代表的な品種である「甲州」。1,000年以上もの長きにわたって栽培されてきた日本固有の白ブドウ品種で、日本ワインとしてはもっとも多く醸造されています。続いて、日本の代表的な黒ブドウ品種である「マスカット・ベーリーA」が2番目に醸造量の多いブドウとなっています。

勝沼駅の旧プラットフォーム

denkei / PIXTA(ピクスタ)

日本のワイン産業は勝沼から始まった!?

勝沼は長年、日本のワイン生産発祥の地とされてきた土地です。

明治10年(1877年)、明治政府が手動する殖産興業の一環として、かつて山梨県東八代郡にあった祝村(いわいむら/現在の勝沼町)に日本初となる民間ワイン醸造会社「大日本山梨葡萄酒会社」が設立されました。ブドウ栽培とワイン醸造を学ぶため、当時19歳だった土屋龍憲氏と同志の高野正誠氏が選ばれ、本場フランスに留学。2人の青年が1年半もの間、シャンパーニュ地方のトロワ市などで学んだワイン醸造の技術をもとに、日本のワイン生産が始まりました。

2人は明治12年(1879年)年に初の国産本格ワインを完成させましたが、当時のワイン醸造は順風満帆ではなく、販路の開拓や品質の問題によって明治19年(1886年)に会社は解散します。その後、土屋氏はワイン醸造の設備を買い取り、同じく大日本山梨葡萄酒会社で働いていた宮崎光太郎氏とともに、甲斐産商店を設立。ワイン造りのノウハウは社名を変えながら、現在のメルシャンへと引き継がれていきました。

大正元年(1912年)には宮崎氏が甲府市の自宅にワイナリーを開設。醸造場の見学やワインの試飲・購入ができるスタイルを確立します。さらに、地元のブドウ農家との共存を目指したことで、勝沼を日本有数の銘醸地へと発展させました。

こうした歴史的背景を持ちながら、良質なブドウが育つ環境に恵まれた勝沼で多くの生産者が努力を重ねてきた結果、現在は30を超えるワイナリーが集まる人気エリアとなったのです。

近年古い歴史がひもとかれ、1627年には現在の福岡県で本格的なワインが造られていたという新たな見解が発表されましたが、勝沼が日本のワイン産業の発展に貢献したのは間違いないでしょう。

厳選!山梨県勝沼エリアの人気ワイナリー

ワイナリーへようこそ

Kristi Blokhin / Shutterstock.com

ここからは、甲州勝沼で良質なワインを醸造し続けている、人気ワイナリーを紹介していきます。

日本最古のワイナリー「まるきワイナリー」

まるきワイナリーは日本最古のワイナリー

出典:まるき葡萄酒株式会社ホームページ

まるきワイナリー(まるき葡萄酒株式会社)は、日本人で初めてフランスに渡ってワイン醸造を学んだ土屋龍憲が中心となって明治24年(1891年)に設立したワイナリーで、現存する日本最古のワイン醸造所でもあります。土屋氏は日本の固有種である「甲州」を材料にしたワイン醸造にこだわり、勝沼の開墾と栽培の研究を行いました。

「ワインは自らブドウを育てて醸す」というのが、まるきワイナリーが貫く基本スタンス。ブドウの品質ととことん向き合い、自然の恵みを感じ取りながら、ワインの味わいを表現していきます。日本固有の「甲州」「マスカット・ベーリーA」に注力し、ブドウのポテンシャルを最大限に引き出す醸造法で味わいのあるワインを造り続けています。

そんなまるきワイナリーの魅力を知りたい人に向けて、ガイドつきのワイナリーツアーも実施中。仕込み場、醸造場、樽貯蔵庫、地下貯蔵庫、圃場など、醸造過程を見学できるほか、ツアー前後には、くつろげるブティックエリアにて10 種類程度のテイスティング(試飲)も無料でたのしめます。ソムリエ厳選のハイクラスワイン4種が飲める有料のテイスティングツアーではと合わせれば、さらにたのしみが増すでしょう。

<DATA>
◇住所:山梨県甲州市勝沼町下岩崎2488
◇見学:無料
◇試飲:無料(有料のテイスティングツアーもあり)
◇予約:要予約

まるきワイナリー/まるき葡萄酒株式会社
公式サイトはこちら

創業140年超「シャトー勝沼」

鳥居平にあるシャトー勝沼全景

出典:株式会社シャトー勝沼ホームページ

シャトー勝沼は、地形や気候に恵まれた土地に根ざし、明治時代からワイン造りを行っている老舗ワイナリー。
明治10年(1877年)、ブドウ栽培を行っていた創業者、今村與三郎氏がワイン醸造を行ったことが、シャトー勝沼の原点。標高500m前後の南西斜面という立地にて、ブドウ栽培から醸造、販売まで一貫して手造りで行うのが、シャトー勝沼のこだわりです。

ワイナリー見学は無料で、ワイナリー見学ツアーでは。醸造工場から樽の眠る貯蔵庫を見ることができます。その後は、10種類以上のワインやブドウ果汁の試飲も可能です。
また、地産地消をベースにした本格フレンチレストラン「鳥居平(とりいびら)」では、地元で採れた食材とワインのマリアージュが堪能できます。

<DATA>
◇住所:山梨県甲州市勝沼町菱山4729
◇見学:無料
※当面の間、工場見学は中止しているとの情報あり。詳しくはワイナリーに問い合わせてみてください。
◇試飲:無料(10種類以上)
◇予約:個人の場合は事前予約不要。10名以上の団体のみ要予約

シャトー勝沼ワイナリー/株式会社シャトー勝沼
公式サイトはこちら

日本ワインの原点「シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリー」

シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリーのテイスティングカウンター

出典:シャトー・メルシャンホームページ

シャトー・メルシャンは、日本ワインの歴史を切り開いた「大日本山梨葡萄酒会社」の系譜を引くワイナリー。「フィネス&エレガンス(調和のとれた上品な味わい)」をフィロソフィーに掲げ、産地の品種と個性を活かした日本ならではのワイン造りを目指しています。

シャトー・メルシャンでは、山梨県の勝沼ワイナリー、長野県塩尻市の桔梗ヶ原ワイナリー、長野県上田市の椀子(まりこ)ワイナリーの3つのワイナリーで、ブドウ栽培、醸造、熟成、瓶詰めまでを一貫して手掛けるワイン造りを行っています。なかでも勝沼ワイナリーは、環境に配慮したワイン造りや、産地「山梨」で造られる高品質なワインの魅力を発信することで、山梨県の地域活性化を目指しています。

ワイナリーツアーでは各種セラーや20種以上のブドウを栽培する祝村ヴィンヤード(畑)を見学できるほか、ワイナリー限定ワインを有料テイスティングできるテイスティングカウンターや限定ワインも扱うワインショップ、「日本遺産」に認定された「シャトー・メルシャン ワイン資料館」などを訪れることができます。

日本ワインの魅力をさらに深く知るための「勝沼ディスカバリーツアー」や、「勝沼ワインメーカーズツアー」といった有料のプログラムも人気です。

<DATA>
◇住所:(ワイナリー)山梨県甲州市勝沼町下岩崎1425-1/(ワインギャラリー、ワイン資料館)山梨県甲州市勝沼町下岩崎1106-1
◇見学:ワイナリーツアーは有料、ワインギャラリー、ワイン資料館は無料
◇試飲:有料(ワイナリー限定ワインあり)
◇予約:ワイナリーツアーは要予約、ワインギャラリー、ワイン資料館は予約不要

シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリー/メルシャン株式会社
公式サイトはこちら

国際的なコンペティションでも注目「勝沼醸造」

甲州にこだわったワイン造り

出典:勝沼醸造株式会社ホームページ

勝沼醸造は、勝沼の自然の恩恵を活かすワイン造りを行ってきた1937年創業のワイナリー。日本固有のブドウ品種「甲州」を用いて世界に通用するワインを造るという目標を掲げ、2003年にはフランスのワインコンテスト「Vinalies Internationales(ヴィナリーインターナショナル)」にて、辛口甲州ワインとして初となる銀賞を受賞しています。

「世界一高いワイン製造コスト」を肯定しながら、勝沼独特のテロワールを活かしたワイン造りと日本におけるワイン文化の構築に挑戦。1滴1滴に価格以上の付加価値を注ぎつつ、飲む人に驚きと感動を届けるワインを造り続けているといいます。

ワイナリーツアーはスタッフによるガイド&テイスティングのコースと直営リストランテ「風」の食事つきコース、テイスティングのみのコースからチョイス可能。

<DATA>
◇住所:山梨県甲州市勝沼町下岩崎371
◇見学:有料
◇試飲:有料
◇予約:要予約

勝沼醸造株式会社
公式サイトはこちら

山梨最大級の規模「マンズワイン 勝沼ワイナリー」

2020年勝沼ワイナリーショップ、リニューアルオープン

出典:マンズワイン株式会社ホームページ

ブドウの仕込み量もワイナリー数も日本一を誇る山梨県のなかでも、最大の生産量を誇るマンズワイン 勝沼ワイナリーは、日本で育てた日本のブドウで、日本のワインを造ることを目指して、1962年に誕生しました。以来、日本固有のブドウ品種「甲州」と「マスカット・ベーリーA」を使用したワインの可能性を追求し続けています。

マンズワインは勝沼のほかに長野県小諸にもワイナリーを構えていますが、小諸ではプレミアム日本ワイン「ソラリス」シリーズを中心に生産。勝沼ではマンズワイン製品の大部分を扱っているそう。

ワイナリーツアーは1日1回、先着12名のみ。ワイナリースタッフのガイドつきで地下セラーを含む施設見学ができるほか、試飲コーナーでは「甲州」「マスカット・ベーリーA」で造ったオリジナルワインから「ソラリス」シリーズまで多彩なワインの試飲をたのしめます。

<DATA>
◇住所:山梨県甲州市勝沼町山400
◇見学:ワイン3種(有料)つき
◇試飲:有料
◇予約:要予約

マンズワイン株式会社 勝沼ワイナリー
公式サイトはこちら

家族経営のこだわりワイナリー「中央葡萄酒 グレイスワイン」

「グレイスワイン」の名で親しまれる老舗ワイナリー

画像提供:グレイスワイン/中央葡萄酒株式会社

グレイスワインの創業は1923年。日照や気温の寒暖差、水はけ、風の流れといった自然条件と対話を重ね、手間暇かけて育んだブドウの力を最大限に引き出す醸造技術を1世紀にもわたって受け継いできた、家族経営のワイナリーです。

日本の風土で培われてきたワインに対する繊細な感性とていねいかつ堅実な技術を日本文化の個性のひとつと捉え、日本の美しさをワインに注ぎ込むべく、栽培と醸造に心血を注いでいるといいます。

日本固有のブドウ品種「甲州」にこだわり、世界最大のワインコンクールDecanter World Wine Awardsのゴールドメダルをはじめとする国内外のコンクールで受賞歴を重ねています。

グレイスワインのワイナリーでは、ブドウ畑や醸造所の案内はないものの、着席でのワインのテイスティングは実施されています。月替わりのテイスティングセットのほか、「あけの2020」などがたのしめます。

<DATA>
◇住所:山梨県甲州市勝沼町等々力173
◇見学:不可
◇試飲:有料
◇予約:不要

グレイスワイン/中央葡萄酒株式会社
公式サイトはこちら

日本古来のブドウ品種にこだわる「大和葡萄酒 勝沼ワイナリー」

アットホームなワイナリー

出典:大和葡萄酒株式会社ホームページ

大和葡萄酒 勝沼ワイナリーは、勝沼に基盤を移した大正2年(1913年)を創業年とする老舗ワイナリー。ワイン好きの間では「ハギーワイン」の醸造元として知られています。

大和葡萄酒のこだわりは、日本古来のブドウ品種。指定文化財である樹齢約130年のブドウの樹「甲龍」を管理しつつ、同じく指定文化財で樹齢約100年の「三森甲州」から枝分けした甲州種を使い、日本独自のワインを醸造しています。

アットホームな大和葡萄酒のワイナリーは、観光バスで訪れるようなイメージとは違い、幹線道路から奥まった場所にあります。テイスティングは無料と有料があり、品質がよくリーズナブルなスパークリングワインが人気です。4月~11月には、土日限定でビアガーデンも営業中。

<DATA>
◇住所:山梨県甲州市勝沼町等々力173
◇見学:無料
◇試飲:無料(一部有料あり)
◇予約:要予約

大和葡萄酒株式会社 勝沼ワイナリー
公式サイトはこちら

勝沼は日本屈指のワインの銘醸地で、有名なワイナリーが密集している土地。バスやタクシーなど、公共の交通機関を利用しながら、ワイナリー巡りがしやすいのも特徴です。運転のことは気にせず、ワイナリーの見学やワインの試飲をたのしんでみてはいかがでしょうか。

おすすめ情報

関連情報

ワインの基礎知識