イギリスのビール事情あれこれ

イギリスのビール事情あれこれ
出典 : estudio Maia/Shutterstock.com

「イギリス」で「ビール」と言えば、街角のパブでビールを酌み交わすイギリスの人々の姿が自然と連想されます。今回は、ビールが庶民の生活にしっかりと根づいているイギリスのビール事情について、その歴史や文化などを紹介します。

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イギリスのビールの歴史と現在

イギリスのビールの歴史と現在

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イギリスのビールの歴史はブリタニア時代から

イギリスにおけるビールの歴史は古く、「ブリタニア」と呼ばれた古代ローマ帝国統治下の時代、西暦で言えば1世紀頃にまでにさかのぼることができます。
その後、5世紀にアングロ・サクソン人が支配する時代になると、ビールは庶民の生活にしっかりと定着。このころから、イギリスではビールを「エール」と呼び、現在に続く独自のエール文化が築かれるようになります。
当時のイギリスで造られたビールは、現在の分類で言う上面発酵のビールで、ここから上面発酵のビアスタイルを総称して「エール」と呼ぶようになりました。

イギリスならではのビール文化の発展

イギリスでは、9世紀ごろになると、現在のパブの原型とも言える「エールハウス」と呼ばれる居酒屋が街角に建ち並ぶようになります。また、主婦の手によって家庭でビールを自家醸造することも一般的に。さらに、キリスト教の普及とともに増えた修道院でもビールの醸造が行われるなど、「エール」と呼ばれたビールは、イギリスの人々の暮らしに欠かせない飲み物として広がっていきました。

イギリスならではのビアスタイルが次々に誕生

イギリスで造られていた「エール」は、もともとホップを使用せず、さまざまなハーブを調合した「グルート」と呼ばれるものが使用されていました。現在のようなホップを使ったビールが造られ始めたのは15世紀のことで、17世紀ごろにようやくホップを使ったビール造りが一般的となります。
こうして近代的なビール造りが始まったイギリスでは、1630年ごろに「ペールエール」が造られ始め、1722年には「ポーター」が大ヒット。1778年にはギネス社が「スタウト」の販売を開始するなど、現在も続くイギリス独自のビアスタイルが確立されていきました。

イギリスならではのビール文化について

イギリスならではのビール文化について

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独自のパブ文化が育むリアルエール

イギリス独自のビール文化と言えば、まず挙げられるの「パブ」の存在。パブとは、「パブリックハウス」の略で、ロンドンには約8,000軒のパブがあると言われるほど、イギリス人にとっての身近で大切な社交の場となっています。
このパブに欠かせないビールとして人気なのが「リアルエール」と呼ばれるビール。イギリスの伝統的なパブでは、「カスク」と呼ばれる樽で貯蔵し、二次発酵(カスクコンディション)させたビールが主流となっていて、パブごとに味わいの異なるビールが販売されています。

エールビールとパブ文化…イギリスとアイルランドのビールの歴史

イギリスでビールを注文するときには「パイント」で

イギリスのビール文化のひとつに、その独特の計り方があります。
イギリスでビールを注文するときは「1パイント」か「ハーフパイント」という単位で注文するのが基本。「パイント」とは伝統的な「ヤード・ポンド法」における体積の単位で、1リットルは1.76パイントとなります。
メートル法が主流となった現在も、いまだに昔ながらの単位を使っているイギリスらしいこだわりと言えます。

1pint(パイント)って何ml? ビールの単位と容量を知ろう!

ビール造りにおける伝統回帰

イギリスのビール文化における近年の大きなトピックが、「CAMRA」と呼ばれる市民運動。これは、「Campaign for Real Ale」の略で、大企業が大量生産する画一的なビールではなく、古くからある伝統的なビール「リアルエール」を飲もうという活動です。
1970年代にスタートしたこの運動により、昔ながらの製法で自然発酵させた「ビターエール」と呼ばれるビアスタイルが復活するなど、イギリス各地で伝統的なビール造りが見直されています。

イギリスを代表するビール銘柄を紹介

イギリスを代表するビール銘柄を紹介

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イギリスを代表するビール銘柄とは

イギリスは、上面発酵のエールビールの本場として知られていますが、その種類はじつにさまざま。ここでは、そのなかから代表的な銘柄をいくつかピックアップして紹介します。

【ロンドンプライド】

テムズ河沿いに醸造所を構える、イギリスを代表するブルワリー「フラー・スミス・アンド・ターナー」が販売するロンドンのパブで人気の銘柄。3種類のホップをブレンドした香り豊かな味わいが特徴です。

【ホブゴブリン ダーク】

原材料にチョコレートモルトを混ぜて造られる、独特のビターな香り、麦の甘さとともにホップの苦味が特徴のビールです。

【ブリュードッグ パンクIPA】

2007年に創業したクラフトブルワリー「ブリュードッグ」が、世界一のIPA(インディア・ペールエール)をめざして生み出したビール。大量のホップを惜しみなく使って、そのアロマを最大限に引き出しています。

イギリスのパブでは、紹介した銘柄のほかにも、アイルランド生まれの世界的に有名な「ギネス」も、必ずと言ってよいほどタップされています。現地を訪れたときには、ぜひ気軽に現地のパブを訪ねてみてください。

かのエリザベス女王も朝から約1リットルのビールを飲んだと言われるほど、ビール好きの人が多い国イギリス。日本のビールファンにとっては、一度は訪れてみたい国ではないでしょうか。

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