フランスワインの歴史を知れば、ワインの深さが見えてくる!

フランスワインの歴史を知れば、ワインの深さが見えてくる!
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フランスワインの歴史は、政治・宗教の影響や病禍など、さまざまな困難を乗り越え紡がれてきました。メソポタミア文明までさかのぼる長い歴史のなかで育まれたフランスワインの伝統を、高級品を生み出した格付制度や産地の違いも含めて紹介しましょう。

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フランスのワインの歴史は、メソポタミア文明までさかのぼる!?

フランスのワインの歴史は、メソポタミア文明までさかのぼる!?

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フランスワインの起源はシュメール人の古代文明

フランスワインの歴史をさかのぼると、世界四大文明とひとつとされるメソポタミア文明にたどり着きます。
現在のイラクにあたるメソポタミア地方の北部、チグリス川上流地域で古代文明を築いたシュメール人に伝わる伝説・叙事詩「ギルガメッシュ物語」に「ワインを飲んだ」という記述があり、これこそ、人類がワインを飲んだ最古の歴史的資料とされています。

ワイン造りの技術はギリシャを経てフランスへ

その後、ワイン造りの技術はエジプト人、フェニキア人、ギリシャ人へと伝わります。そして紀元前600年ごろ、ギリシャ人の一部が、南フランスのマルセイユ地方に移り住み、このとき、ワイン造りも一緒にフランスへ伝わったとされています。

フランスワインの歴史で忘れてはならない、政治や宗教の背景

フランスワインの歴史で忘れてはならない、政治や宗教の背景

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フランスワインの歴史を築いたローマ帝国

フランスワインが世界的に有名となるその第一歩は、ジュリアス・シーザー率いるローマ軍によるヨーロッパ各地への侵攻でした。これによって「ブルゴーニュ」「ボルドー」「シャンパーニュ」など、現在のフランス各地にブドウ栽培が伝わり、ワイン醸造へと発展していきました。
その後、ローマは巨大な帝国へと姿を変え、盛んな経済活動が行われるなかで、支配階級である王侯貴族がワイン造りを競い合い、上質なワインを生み出してきました。

ワイン史で無視できないキリスト教の影響

こうした政治の影響と合わせて、宗教の歴史も無視できないものがあります。キリスト教がローマ帝国の国教として、ヨーロッパで中心的な立場を築くなか、ワイン造りもその影響を強く受けることとなりました。聖書においてワインは「イエスの血」の象徴として、神聖で貴重なものとして用いられ、ミサなどの儀式においても欠かせない飲み物となりました。

フランスワインが歴史の中で乗り越えてきた3つの困難

フランスワインが歴史の中で乗り越えてきた3つの困難

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フランス革命がワイン造りに及ぼした影響

フランスワインの長い歴史のなかで、忘れてはならないのが「フランス革命」「3大病禍」「不景気」という3つの困難の存在でした。1789年に起こったフランス革命で成立した共和国政府は、教会からブドウ畑を没収し、細分化して農民へ与えました。その結果、ワインの味や品質が生産者によりばらつきが多く生まれることになったのです。

相次ぐ困難でフランスワインの評価が下落

その後、19世紀後半にはウドンコ病、フィロキセラ被害、ベト病と3つの病禍が続き、さらに20世紀に入ると第一次世界大戦後の世界恐慌が襲いかかりました。
不景気によりワインの需要が減少すると、生産過剰となったワインが劣悪ワインや偽物ワインとして市場に横行し、フランスワインの世界的な評価を下落させる事態となりました。

フランスワインの危機を乗り越えた原産地統制名称法(AOC法)

こうした事態を乗り越えるべく、フランス政府が打ち出した解決策が「原産地統制名称法(AOC法)」でした。これは、産地ごとのブドウ品種や栽培方法、醸造方法など、培われた固有のスタイルを守るための法的規制です。
これによって、フランスワインが持つ産地ごとの個性が守られ、ワイン文化と品質が守られることとなったのです。

フランスワインの歴史から見た、2大産地「ブルゴーニュ」と「ボルドー」の違い

フランスワインの歴史から見た、2大産地「ブルゴーニュ」と「ボルドー」の違い

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ブルゴーニュワインが歩んできた歴史

フランスワインの2大生産地として知られる「ブルゴーニュ」と「ボルドー」、それぞれが歩んだ歴史の違いについてみてみましょう。「ブルゴーニュ」では、キリスト教の修道士たちによってワイン造りが研究され、その後、この地域を治めていたブルゴーニュ公国の外交ツールとして発展を続け、高品質化が進みました。
ブルゴーニュ公国は、15世紀になってフランス王国に併合され、17世紀にルイ14世の主治医がブルゴーニュワインを処方したことで、フランス全土に流行したと言われています。

ブルゴーニュの気候風土が良質なワインを育む

夏の日照時間が多く、冬は厳しいというブルゴーニュの気候はブドウ栽培に最適とされ、この地域に合った醸造方法が練り上げられる過程で、有名な「ロマネ・コンティ」も生まれました。

ボルドーワインの歴史はイギリス領として育まれたもの

「ボルドー」は、1154年から約300年間イギリス領として、イギリス向けのワインを生産してきた歴史を持っています。イギリスでの安定したマーケットに支えられ、その評価もイギリス人によって築かれたといえます。
ボルドーワインの特徴は、単一種のブドウから造られるブルゴーニュと違い、複数のブドウ品種をブレンドすること。これにより、豊かで複雑な味わいを生み出し、ボルドーワインならではの魅力となっています。

地域ごとのワインの格付けはラベルに記載

ボルドーやブルゴーニュで造られるワインは、AOC法にもとづき、畑単位で格付けが行われています。
それらの情報はすべてラベルに記載されているので、本気でフランスワインをたのしみたい方は、ラベルの情報を確認することから始めましょう。

フランスワインの歴史をほんの少しだけ紹介しました。真剣に追いかければ何冊もの本が書けてしまう情報量ですが、難しいことは考えず、まずはラベルの見方から出発するというのはいかがでしょう。歴史を知れば、フランスワインの味わい方が変わるかもしれません。

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