焼酎「森伊蔵(もりいぞう)」とは?人気の秘密と価格や入手方法を紹介
森伊蔵は「3M」と呼ばれるプレミアム芋焼酎のなかでも、とりわけ人気の高い1本。ここでは「森伊蔵」が幻の焼酎と言われるようになった理由や味わい、定価と相場、オススメの入手方法などを詳しく紹介します。
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「森伊蔵」とはどんな焼酎?
出典:森伊蔵酒造ホームページ
「森伊蔵」は、鹿児島県の芋焼酎。その特徴や造り手について知らなくても、名前だけは聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。ここでは、「森伊蔵」がプレミアム芋焼酎と呼ばれる理由と、「森伊蔵」の魅力を育む蔵元について紹介します。
「森伊蔵」は入手困難な幻の芋焼酎
「森伊蔵」は、昭和63年(1988年)に発売された鹿児島の芋焼酎。その卓越した味わいから口コミで人気に火がつき、小規模蔵元が少量生産する焼酎ながら、またたく間に全国の焼酎ファンに知られる存在になりました。
「森伊蔵」の名が世に広く知れ渡ったのは、1996年のこと。当時のフランス大統領ジャック・シラク氏(2019年9月26日没)が愛飲しているお酒として新聞で紹介されたことで、芋焼酎ファンのみならず、焼酎を飲まない人々の間にもその名が浸透したのです。
知名度が上がったことで、「森伊蔵」を飲んでみたいと思う人が急増。高まる需要に供給が追いつかないことから、入手困難な状況になりました。
詳しくは後述しますが、「森伊蔵」を手掛ける森伊蔵酒造の焼酎の製法が大量生産向きではないことも手伝って、その後も品薄状態は続きます。それも一過性に終わるどころか、「一度飲んでみたい」という声に「もう一度飲みたい」というリピーターの要望も加わってか、その人気は衰える兆しをみせません。
このような理由から、「森伊蔵」は「幻の焼酎」あるいは入手の困難さから市場価格が高騰した焼酎の総称とされる「プレミアム焼酎」という言葉で表現されるようになりました。そして、同じく鹿児島の人気焼酎「魔王」「村尾」とともに、その頭文字を合わせた「3M(スリーエム)」の名で親しまれるようになったのです。
「森伊蔵」の造り手、森伊蔵酒造とは?
「森伊蔵」を造る森伊蔵酒造は、明治18年(1885年)に鹿児島県垂水市に創業した老舗蔵元です。
蔵の広さは約150坪ほど。けっして大きな規模ではありませんが、家つき酵母が棲み続ける木造蔵を使用し、創業以来の「かめ壺仕込み」という製法を守り続けるなど、伝統を大切にしたていねいな焼酎造りに定評があります。
今でこそ、芋焼酎好きなら知らぬ人がいないほどの知名度を持つ森伊蔵酒造ですが、一時は大手メーカーによる大量生産の焼酎に押され、経営難に陥った時期もあったそう。当時の経営を担っていた4代目当主・森伊蔵氏は「この蔵の強みは、代々受け継がれてきた伝統の技と、蔵に棲み着いた酵母しかない」と、逆境のなかでも信念を曲げることなく、高品質な焼酎造りを追求し続けたといいます。
現在の5代当主の森覚志(もりかくし)氏がそのあとを継いだのは昭和61年(1986年)のこと。先代である父・伊蔵氏の焼酎造り精神を受け継ぎながらも、大胆な改革に着手。家族経営だった蔵を有限会社として法人化するとともに、原料芋や麹を造るための米を農家から直接仕入れるなど、さまざまな取り組みを実施しました。
もちろん、焼酎造りにおいても創意工夫を重ね、厳選したサツマイモをていねいに処理することで、それまでにない上品な口当たりの芋焼酎を完成させました。「クセが強い」「においが強烈」といった、それまでの芋焼酎の常識を覆すその焼酎に、覚志氏は品質にこだわり続けた父への敬意を込めて「森伊蔵」と名づけたのです。
手掛けるのは「森伊蔵」の1ブランドだけ。融資の話は方々からあったものの、5代当主が「人の口に入るものは手間と暇をかけるもの」という先代の教えや、「身の丈を超えたらうまい酒は造れない」といった信念を曲げることはありませんでした。
一升瓶(1,800ml)に換算すると年に15万本程度という少量生産ではありますが、創業以来の道具を使い、手間暇かけて高品質な焼酎に仕上げる、この方針こそが、「森伊蔵」を「森伊蔵」たらしめる唯一の道なのかもしれません。
「森伊蔵」の味わいとおいしさの秘密
出典:森伊蔵酒造ホームページ
ここでは、「森伊蔵」の魅力とおいしさの秘密を深掘りしていきます。
「森伊蔵」はどんな味?
「森伊蔵」の魅力はなんといってもサツマイモ本来のふくよかな香り。原料由来の旨味や甘味をしっかり引き出しつつも、上品でマイルドな味わいに仕上げています。バランスのよさにも定評があり、「芋らしさ」やきめ細かな味わい、スッキリとした飲み口など、共存させることが難しい要素をみごとに調和させているのも「森伊蔵」ならではの魅力といえそうです。
「森伊蔵」のおいしさの秘密
「森伊蔵」の上品な味わいは、森伊蔵酒造が長い歴史のなかで磨き上げてきた焼酎造りの技術に支えられています。なかでも象徴的なのが、創業以来守り続けてきた「かめ壺仕込み」という製法です。
「かめ壺仕込み」とは、素焼きのかめ壺で焼酎を仕込む昔ながらの製法です。かめ壺を地中に埋めることで、温度を一定に保つことができ、これが焼酎の品質を安定させることにつながります。
また、素焼きのかめ壺にはごく小さな孔が無数に空いていて、そこから入り込む微量の空気が発酵を促進します。さらに、古くから使われているかめ壺には、さまざまな微生物が棲み着き、それもまた発酵を手助けするのだとか。ステンレス製のタンクを使った大量生産に踏み切る蔵元が増えるなか、タンクの5倍、10倍もの手間を要する「かめ壺仕込み」にこだわるのは、この微生物の働きを期待してのことといいます。
「森伊蔵」を生んだ5代当主は、この伝統的な製造法を守り抜くだけでなく、さらに「熟成」という蒸溜酒の特性を生かし、酒蔵や貯蔵庫で「森伊蔵」を寝かせます。半年ほどじっくりと寝かせることで、マイルドでまろやかな口当たりが生まれます。
この製法を継承して1999年に誕生したのが、酒蔵近傍の人工洞窟で3年以上熟成させた「極上 森伊蔵」です。のちの2006年には、10年以上寝かせた「楽酔喜酒(らくすいきしゅ)」を発売。焼酎ファンの注目を集めました。
二次仕込みに投入する主原料は、鹿児島県内の契約農家が低農薬で育てるサツマイモ。プレミアム焼酎「森伊蔵」の上品な味わいは、伝統的な焼酎造りの技と、新たな発想の融合によって生まれたものなのです。
「森伊蔵」の価格と入手方法
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「森伊蔵」は入手困難なことからプレミアがつき、インターネット上では依然として高額で取り引きされていますが、ここでは、「森伊蔵」の相場を踏まえつつ、適正価格で購入する方法を探っていきます。
「森伊蔵」の定価と相場
「森伊蔵」の販売を手掛ける森伊蔵酒販が提示する「森伊蔵 1,800ml」の店頭価格は3,170円(税込)。しかし入手困難なことからプレミアがついた「森伊蔵」は、インターネット通販では定価の6倍(税込18,000円前後)ほどの価格で取り引きされているのが実態です。時には2万円を超える高値がつくこともあり、焼酎ファンの間では高嶺の花とされています。
といっても、このような現状は蔵元の本意であるはずがなく、事実、適正価格で購入できるルートが複数用意されています。以下ではその入手方法をみていきましょう。
「森伊蔵」を適正価格で購入する方法
「森伊蔵」は、以下の3つの方法で、定価または適正価格にて購入することができます。
森伊蔵酒販に電話して抽選に応募する
森伊蔵酒造ではインターネットでの販売を一切行っていませんが、販売を手掛ける森伊蔵酒販へ毎月15〜25日に番号通知で電話をかけることで「森伊蔵 1,800ml」の抽選販売に応募することができます。なお、価格は森伊蔵酒販の店頭価格の3,170円(税込)で、購入できるのは1人1本のみ。発送受取を希望する場合は別途振込み料と送料がかかるため、実際の支払い金額は4,000〜5,000円ほどになります。
当選した場合は2カ月後の15日に発送されますが(15〜20日の間に森伊蔵酒飯での受取も可能)、抽選に外れたとしても、応募の受付は毎月行われているので、根気強くチャレンジしてください。
詳しくはこちら
森伊蔵酒造/森伊蔵酒販
高島屋または山形屋が行う抽選に応募する
有名百貨店の高島屋各店または鹿児島の百貨店・山形屋にて、抽選販売が行われています。いずれも「森伊蔵」の正規販売店です。
*情報は記事執筆時点のものです。現在の価格等、詳細につきましては各販売店へお問合せください
◇高島屋各店で抽選に申し込む
取扱銘柄:「森伊蔵 720ml」2,970円(税込)、「極上森伊蔵 720ml」6,050円(税込)
応募期間:毎月1〜10日
応募方法:高島屋の和洋酒売場で申込用紙をもらい応募
抽選結果:当選者には毎月17日前後に当選ハガキが届く
受取方法:同月の20日から月末まで店頭にて販売
取扱店舗:全国の高島屋
※高島屋の「高」は「はしごだか」です
◇山形屋(鹿児島)の抽選に申し込む
取扱銘柄:「森伊蔵 1,800ml(※1)」3,480円(税込)、「極上森伊蔵 720ml」6,050円(税込)
応募期間:毎月1〜7日(1月のみ2〜7日)
応募方法:山形屋店頭にて森伊蔵抽選専用申込カード(※2)で申込
抽選結果:当選者には当月中旬ごろハガキにて通知
受取方法:当選者のみ山形屋店頭にて直接代金引換販売
※1:化粧箱(紙製)入り
※2:カード発行には身分証明証(免許証、保険証など)の提示が必要となります
JAL国際線機内販売で購入する
JAL(日本航空)国際線の機内販売で購入できる可能性があります。こちらは「森伊蔵 720ml」が3,400円。課税済みのため、日本入国の際に課税済み商品としての申告が必要です。変更の可能性もありますので、詳しくはJAL機内販売カタログ誌「JAL SHOP」でチェックしてください。
「森伊蔵」の種類
出典:森伊蔵酒造ホームページ
「森伊蔵」のラインナップを紹介します。
森伊蔵 1,800ml/720ml
出典:森伊蔵酒造ホームページ
「森伊蔵」のスタンダード商品にして、国内外から注目を集める人気の逸品。まずはこの1本で、「森伊蔵」らしいバランスのよい味わいを堪能してください。
極上 森伊蔵 720ml
出典:森伊蔵酒造ホームページ
「森伊蔵」を人工洞窟で3年以上長期熟成させた極上の芋焼酎。芳醇な香りとまろやかな味わいをたのしめます。
楽酔喜酒(らくすいきしゅ) 森伊蔵 600ml
出典:森伊蔵酒造ホームページ
人工洞窟で10年以上の時を経た「森伊蔵」の最高峰ともいうべき長期熟成古酒です。重厚感のある木製の化粧箱と薩摩切子を想わせる赤いボトルが高級感たっぷり。
「森伊蔵」の一度飲むと忘れられなくなる洗練された味わいは、蔵元が築き上げてきた伝統と焼酎造りに懸ける情熱のたまもの。手に取る機会があったら、造り手の歴史や信念に想いを馳せながらじっくりと味わってください。
製造元:有限会社森伊蔵酒造
公式サイトはこちら
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