「来福(らいふく)」花酵母を使った新感覚の味と香り【茨城の日本酒】
「来福」は、300年の歴史を誇る茨城県筑波山系の老舗蔵、来福酒蔵の代表銘柄です。その特徴は、花から採取された「花酵母」を使うことによる、華やかな香り。国内はもちろん、海外からも高い評価を受けている、花酵母の日本酒「来福」の魅力を紹介します。
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「来福」に込められた300年の思い
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「来福」の造り手、茨城県の筑波山麓に蔵を構える老舗、来福酒蔵です。その創業は、江戸時代中期の享保元年(1716年)。今も茨城県内に残る5つの水系のひとつ、筑波山水系の水質にひかれた近江商人が、その名水を活かして酒造りを始めたのが起源とされています。
以来、来福酒蔵は「三百年、品質一本」の真っ向勝負を経営理念に掲げ、絶えず研鑽を重ねてきました。受け継がれてきた伝統技術を基盤にしつつも、酒造りの新たな可能性にも積極的に挑戦するその姿勢は、花から抽出した「花酵母」の採用など、独創的な酒造りに表れています。
代表銘柄である「来福」もまた、創業以来300年以上にわたって受け継がれてきたもののひとつ。蔵元と同じその名は、「福や来む 笑い上戸の 門の松」という俳句が由来なのだとか。
その名のとおり、飲む人に福が来ることを願って造られる「来福」は、祝いの席や贈答品にぴったりのお酒です。
「来福」の洗練された風味の秘密は「花酵母」
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「来福」の大きな特徴のひとつが「花酵母」を使った酒造り。来福酒造が花酵母を取り入れるようになったのは、現当主の藤村氏が、恩師である東京農大の中田久保教授(当時)の研究にかかわるようになったことが始まりでした。
その研究とは、自然界に存在する未知の清酒酵母の発掘と培養です。対象を花の蜜にしぼって研究を進めた結果、第1号であるナデシコの花酵母の培養に見事成功。現在ではベゴニアやツルバラ、シャクナゲ、月下美人など、14種類の花酵母が確定し、全国各地の蔵元で用いられるようになりました。
来福酒蔵では、季節に応じた花酵母を自家培養し、それに合う米を選定しながら、独自の酒造りに挑戦しています。多岐にわたる花酵母の特性を踏まえながら、最適な米を選択できるのは、来福酒造が米にもこだわってきたから。
日本各地の農家と契約栽培を行ったり、地元の茨城産を取り入れたりして、「愛山」や「山田錦」「雄町」など、約10種類の酒造好適米を使用。いくつもの米の品種に精通しているからこそ、花酵母と米の最適な組み合わせを導き、洗練された質のよい日本酒を造ることができるのです。
「来福」のラインナップと受賞歴
出典:来福酒蔵フェイスブック
「来福」は、花酵母と米を組み合わせた、バリエーション豊かなラインナップも魅力のひとつです。純米酒、原酒、純米吟醸、純米大吟醸など、製法別に17種をそろえ、全国の特約店にて販売しています。
その実力は、品評会でも高く評価されています。
たとえば、日本酒品評会としては最大規模の「SAKE COMPETITION」では、2016年Super Premium部門において「来福 超精米 純米大吟醸」が1位を獲得しました。このお酒には、地元、茨城県が開発した酒造好適米「ひたち錦」を、なんと精米歩合8%まで磨き挙げた、極めて挑戦的な日本酒として話題になりました。
また、翌2017年には「来福 大吟醸 雫」が吟醸部門1位を獲得。同年の全国新酒鑑評会でも金賞に輝くなど、「来福」はさまざまな品評会の受賞常連銘柄として、大きな存在感を発揮しています。
個性豊かな「来福」は、名実ともに優れた日本酒。その礎になっているのは、蔵元の「三百年、品質一本」という信念に基づいた、知識の蓄積と技術の研鑽にほかなりません。チャレンジ精神に満ちた「来福」は、今後も日本酒の新たな可能性を切り開いていくことでしょう。
製造元:来福酒造株式会社
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