シャンパンとスパークリングワインの違いは? 定義や製法、味などさまざまな角度から確認

シャンパンとスパークリングワインの違いは? 定義や製法、味などさまざまな角度から確認
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シャンパンはスパークリングワインの一種ですが、両者の間にはいくつかの違いがあります。ここでは、スパークリングワインの定義やシャンパンと名乗るための条件を確認しながら、両者の違いを産地やブドウ品種、製法などさまざまな観点から紹介します。

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シャンパンとスパークリングワインの違いをさまざまな角度から紐解きます。

シャンパンとスパークリングワインの関係は?

シャンパンとスパークリングワインの関係

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シャンパンとスパークリングワインはどちらも発泡性のワインですが、両者にはいくつかの違いがあります。まずは、それぞれの定義から、違いを確認していきましょう。

スパークリングワインとは発泡性ワインの総称

スパークリングワインとは、炭酸ガス(二酸化炭素)を含んだ発泡性ワインの総称で、一般的には3気圧以上の炭酸ガスを含んだものを指します。
※ガス圧が3気圧以下の発泡性ワインは、「弱発泡性ワイン」と呼ばれています。

ワインは製法によって、以下の4タイプに大別されます。

◇スティルワイン
◇スパークリングワイン
◇フォーティファイドワイン
◇フレーヴァードワイン


スパークリングワインはこの大きな分類の1タイプです。

シャンパンはシャンパーニュ地方で造られる発泡性ワイン

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シャンパンはシャンパーニュ地方で造られる発泡性ワイン

シャンパンは上の4タイプのうち、スパークリングワインに含まれます。言い換えると、シャンパンはスパークリングワインの一種ということになります。

スパークリングワインのうち、フランスのシャンパーニュ地方で造られ、フランスのA.O.C.(原産地統制呼称)という認証制度で規定された条件を満たしたものを「シャンパン(シャンパーニュ)」と呼んでいます。

シャンパンと名乗るには条件がある

フランスのワイン法「A.O.C.法」で規定された「シャンパン(シャンパーニュ)」と名乗るためには、以下の3つの条件を満たしている必要があります。

◆シャンパーニュ地方で造られている
◆使用できるブドウ品種が決められている
◆伝統製法(シャンパーニュ製法)で造られている


シャンパンに使用されているブドウ品種は7種類。主要なブドウ品種は、黒ブドウのピノ・ノワールとムニエ、白ブドウのシャルドネの3種で栽培面積の99パーセント以上を占めます。

シャンパーニュ製法については、以下の記事でくわしく紹介しているので参考にしてください。シャンパンの種類や有名な銘柄も確認できます。

シャンパン vs. スパークリングワイン いろいろな違いを検証

シャンパンとスパークリングワインの違い

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ここから先は、シャンパンとスパークリングワインの違いをさまざまな角度からみていきます。

産地の違い

シャンパンの産地は、フランスのシャンパーニュ地方です。シャンパンに使われるブドウ品種を使い、シャンパンと同じ製法で造られた発泡性ワインでも、シャンパーニュ地方以外の地域で造られた場合は「シャンパン」とは呼べません。

シャンパンは瓶詰めした通常のワインに糖分と酵母を加えて瓶内二次発酵させる「シャンパーニュ製法」で造られますが、同じく瓶内二次発酵を採用したスパークリングワインのうち、フランス国内のシャンパーニュ地方以外の地域で造られたものを「クレマン」と呼びます。クレマンもA.O.C.を取得している発泡性ワインで、8つの産地が認められています。

シャンパンの産地が限定されているのに対して、スパークリングワインというくくりでは産地に決まりがありません(スパークリングワインのなかで、それぞれの国や地域ごとの法律等で産地の決まりごとがあり)。

シャンパンはスパークリングワインの一種と紹介しましたが、スパークリングワインは産地や製法などによって呼び名が変わってきます。
スパークリングワインのおもな種類を確認しておきましょう。

◇シャンパーニュ(フランス・シャンパーニュ地方)
◇クレマン(フランス)
◇ゼクト(ドイツ)
◇スプマンテ(イタリア)
◇カバ(スペイン)
 ※「カヴァ」と表記されることもあります

「スパークリングワイン」の呼び名も国によっても異なります。
以下は主要な生産国における「スパークリングワイン」を表す言葉です。

◇ヴァン・ムスー(フランス)
◇シャウムヴァイン(ドイツ)
◇スプマンテ(イタリア)
◇エスプモーソ(スペイン)


たとえばフランスでは、「シャンパン」も「クレマン」も「ヴァン・ムスー」の一種です。

シャンパンのブドウ品種

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ブドウ品種の違い

シャンパンに使用できるブドウは、以下の7品種と決められています。

◇ピノ・ノワール
◇ムニエ
◇シャルドネ
◇アルバンヌ
◇プティ・メリエ
◇ピノ・ブラン
◇ピノ・グリ(フロマントー)


このなかで、ピノ・ノワール、ムニエ、シャルドネの3品種で栽培面積の99パーセント以上を占め、残りの4品種を合わせても1パーセント以下になっています。
※2021年にヴォルティス種が追加で承認されましたが、2024年時点では実験的認可で、実際のシャンパーニュの製品にはブレンドされていない。

一方、スパークリングワインの原料には、産地ごとにさまざまなブドウ品種が使われています。

製法の違い

シャンパンは先述したように、ワインに糖分と酵母を加えて瓶内で二次発酵を行う「シャンパーニュ製法」で造られます。

スパークリングワインには、「シャンパーニュ製法」を含む5通りの製法があります。

◆トラディショナル方式(シャンパーニュ製法)
ワインに糖分や酵母を添加し、瓶内で二次発酵させる。高級なスパークリングワインの醸造に採用される古典的な方式。
◆シャルマ方式
ワインに糖分や酵母を加え、瓶内ではなく加圧式の密閉タンクで二次発酵を行う。リーズナブルなスパークリングワインに適した製法です。
◆トランスファー方式
ワインに糖分・酵母を加え、瓶内で二次発酵させたものを加圧タンクに移してろ過し、瓶詰めする製法。
◆炭酸ガス注入方式
ワインに直接炭酸ガスを注入する製法。大量生産向け。
◆リュラル方式(田舎方式)
一次発酵中のワインを瓶詰めし、瓶内で残りの発酵を行う製法。

シャンパンとスパークリングワインのアルコール度数の違い

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アルコール度数の違い

シャンパンのアルコール度数は11パーセント以上とA.O.C.法で規定されています。

一方、スパークリングワインのアルコール度数に決まりはありません。平均的な度数は11〜13パーセント程度ですが、甘口のスパークリングワインなら7パーセント前後のものも多数流通しています。

色の違い

シャンパンの色には、ゴールドを思わせる色味の「白」と淡いピンク色をした「ロゼ」の2種類があります。

スパークリングワインの色には、「白」と「ロゼ」のほかに、「赤」もあります。赤のスパークリングワインといえば、イタリア北部のエミリア・ロマーニャ州で造られる「ランブルスコ」などが有名です。

味の違い

シャンパンにもスパークリングワインにもさまざまな個性を持つ銘柄がありますが、シャンパンは泡のきめが細かく、シャープな酸味に仕上がる傾向があります。その魅力に、芳醇な香りや複雑な味わいを挙げる人もいるでしょう。

スパークリングワインは発泡性ワインの総称なので、その種類はもちろん、味わいも多種多様です。

シャンパンとスパークリングワインには、どちらも多彩な種類があり、それぞれが一言では語り尽くせないほどの魅力にあふれています。両者の関係や違いを知るためにも、機会があれば飲み比べてみてくださいね。

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