ソバーキュリアスってなに? 「あえてお酒を飲まない人」が急増している理由とは?

ソバーキュリアスってなに? 「あえてお酒を飲まない人」が急増している理由とは?
出典 : CLS Digital Arts / Shutterstock.com

ソバーキュリアスとは、お酒を飲めるのに、あえてお酒を飲まないことを選択するライフスタイルのこと。この考えを持つ人を「ソバキュリアン(ソバーキュリアン)」と呼びます。今回は、ソバーキュリアスの概要や実践している有名人、ソバキュリアンが増えている理由などについて紹介します。

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ソバーキュリアスが広がる背景や、ソバーキュリアスのメリットなどを深掘りします。

ソバーキュリアス(ソーバーキュリアス)とは?

ソバーキュリアスとは

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ソバーキュリアスとは、あえてアルコールを飲まないライフスタイルや考え方を指す言葉です。ソバーキュリアスのメリットとともにみていきます。

あえてアルコールを飲まないライフスタイル

ソバーキュリアスとは、お酒を飲める人でもあえてお酒を飲まないライフスタイルのこと。ソバーキュリアスは、英語の「Sober(しらふの、酔っていない)」と「Curious(好奇心が強い)」を組み合わせた造語です。ソバーキュリアスを実践する人を「ソバキュリアン(ソバーキュリアン)」といい、「ソバキュリ」と略して呼ぶ人もいます。
「ソバキュリ」は、「ソバーキュリアス」の略語として用いられることもあるようです。

ソバーキュリアスは、そのときの気分に合わせてポジティブに「飲まない」ことを選択する考え方で、お酒を我慢する禁酒や断酒とは違います。なかには完全にお酒をやめる人もいますが、酒量や回数を抑えて飲みたいときは飲み、そうでないときはしらふを選ぶ行動もソバーキュリアスに含まれます。

時間を有効的に使えるソバーキュリアス

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なぜソバーキュリアス? その効果とは

ソバーキュリアスには、飲酒によるデメリットを回避できる効果があります。ソバーキュリアスを選択することで、以下のようなさまざまなうれしい効果を得られるため、ソバキュリアンたちに支持されています。

1. 酒席での失言や、二日酔いによる体調不良の心配がない
2. お酒により睡眠の質が下がることがなく、翌日のパフォーマンスに影響しない
3. 健康管理や生活習慣病対策として有効。病気のリスクを減らせる
4. お金を節約できる
5. しらふのほうが趣味に没頭できる。自分の時間を有効的に使える

近年、ソバキュリアンではない人のなかにも、ソバーキュリアスを好意的に受け止めている人や、知らず知らずに実践している人が増えています。酒席では、「お酒を飲まないわけにはいかない」と考える人もいますが、ソバーキュリアスが浸透することで、今後ますます「飲みニケーション」のあり方が見直されていきそうですね。

ソバーキュリアスが広がる背景

ソバーキュリアスが広がる背景

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ソバーキュリアスという考え方を受け入れる人がなぜ増えているのか、その背景を確認していきます。

健康志向の高まりや経済的不安から若者が支持

ソバーキュリアスは、2019年ごろに欧米から広まったライフスタイルです。もともとは英国出身のジャーナリスト、ルビー・ウォリントン氏が発案したもので、2018年に発売した著書『SOBER CURIOUS』で自身の体験を交えて紹介したことから始まりました。日本でも翻訳版が、2021年に発売されています。

このライフスタイルを取り入れた欧米の若者が、SNSで「#sober」とハッシュタグをつけて発信するようになり、世界に拡散していったのです。さらにセレブやインフルエンサーがソバキュリアンを公言したことで、「ソバーキュリアスはクール」という認識が世に浸透していきました。

なお、ソバーキュリアスが広がった社会背景には、ミレニアル世代やZ世代のアルコール依存症問題や経済的不安があるといわれています。ほかにも、ヘルシー志向で精神的豊かさを求める人が増えていることや、ダイバーシティー(多様性)の時代に合致する考え方であることも相まって、飲まない選択がトレンドとなっています。

ソバーキュリアスなライフスタイル

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日本でもZ世代を中心にソバーキュリアスがトレンドに

日本でも若者のアルコール離れが叫ばれて久しいですが、その背景にはやはり、健康志向の高まりや景気低迷などがあります。「飲酒はコスパが悪い」と飲酒習慣が減少しているところに、2020年以降のコロナ渦によって外飲みの機会が減り、飲酒との向き合い方が変わったこともソバーキュリアスの広がりに関係していると考えられます。

同じような理由で、中高年の間でもソバーキュリアスを受け入れる人が増えています。これには、少量の飲酒にも健康へのリスクはあるという最新の研究結果や、厚生労働省が発表した「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」などが影響しているようです。もちろん、飲酒が悪というわけではありませんが、適度な飲酒を心がけることに支持が集まっています。

参考までに、ソバーキュリアスを歓迎している人のおもな意見を紹介すると、「お酒を飲まなくても、体調が悪いの? なぜ飲まないの? と問われること機会が減った」「飲む人も飲まない人も飲めない人も、気負わず一緒にたのしめる」などがあり、飲酒を自由な意思で決めたい傾向がみられます。酒席での「アルハラ」が問題視されることがありますが、ソバーキュリアスは無理して飲まなくてもよい雰囲気づくりにも貢献していきそうです。

(参考資料)
厚生労働省|健康に配慮した飲酒に関するガイドライン

ソバーキュリアスを実践する有名人も

ソバーキュリアスを実践する有名人

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ソバーキュリアスを実践するハリウッドスターや有名人は、若者に大きな影響を与えています。たとえば、ソバーキュリアスを公言しているセレブリティには、映画『プラダを着た悪魔』でブレイクしたアン・ハサウェイや、『ハリー・ポッター』シリーズで有名なダニエル・ラドクリフなどがいます。

日本の有名人では、若い世代では、お笑い芸人の兼近大樹さん(EXIT)や中田敦彦さん、俳優のディーン・フジオカさんや横浜流星さん、新田真剣佑さん、ダンサー・歌手の三浦大知さんなどが挙げられます。50代以上では、俳優の萬田久子さん、小泉今日子さんなどが、ソバーキュリアスを実践しているそうです。

拡大するノンアル、微アル飲料というソバキュリアンの選択肢

拡大するソバキュリアンの選択肢

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近年ノンアルコール飲料、微アルコール飲料の種類が増えていて、ソバキュリアンの選択肢が広がっています。

市販のノンアル飲料が盛況

サントリーの調査によると、2022年のノンアルコール飲料の市場規模は10年前の約1.4倍に拡大。ノンアルを選ぶ人が増え、日常生活に定着していることがうかがいしれます。

(参考資料)
ノンアルコール飲料に関する消費者飲用実態・意識調査 サントリー ノンアルコール飲料レポート2023

市販のノンアル飲料の種類も増えていて、ワインやビール、日本酒、焼酎、梅酒、チューハイ、サワーと、幅広い選択肢のなかから嗜好に合うお酒テイストの飲料を選べるようになっています。ノンアル需要が高まれば、さらに商品数が増えていくものと予想されます。

ちなみに、アメリカのシリコンバレーではノンアルコールビジネスに参入する企業もあり、ミネラルウォーターと炭酸水の新ブランド「Liquid Death(リキッドデス)」は、缶ビールのようなクールなデザインでヒットしています。一見、お酒を飲んでいるようにたのしめるのも、選ばれているポイントのようです。

ノンアルコールのモクテルが人気

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バーやレストランでは「モクテル」に注目

バーやレストランでは、「モクテル」と呼ばれるノンアルコールカクテルが注目されています。モクテルは、「mock(本物をまねた)」と「cocktail(カクテル)」を掛け合わせた造語。ソバーキュリアスを推すバーやレストランでは、趣向を凝らしたノンアルコールのモクテルを提供しています。ノンアルコールのカクテルでも見た目は華やかで、SNS映えするのも人気の理由です。

流行の最先端の街ニューヨークでは、「ソバーバー(Sober Bar)」と呼ばれるノンアルコールドリンクだけを提供するお店が、近年じわじわと増えてきています。

日本でもモクテルを提供するお店が増えていて、なかには料理とペアリングできるお店もあり人気が高まっています。また、ペアリングの方法を提案するサイトなどもあり、自宅でも気軽に試しやすくなっています。

モクテルやノンアルコール飲料を提供するお店や商品、サービスがさらに増えれば、ソバーキュリアスを選択する人が増え続けるかもしれません。

お酒を飲める人でも、あえて飲まないことを選択するのがソバーキュリアス。お酒の席でも、参加者それぞれが今日はノンアルコールの日、お酒を飲む日と自由に選択して、みんなでたのしいひとときを過ごせるとよいですね。

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