アメリカワインとは? 特徴から産地、ブドウ品種まで紹介

アメリカワインとは? 特徴から産地、ブドウ品種まで紹介
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アメリカワインは、カリフォルニアなどアメリカ国内で生産されているワインの総称です。テーブルワインから高級ワインまで種類も豊富で、世界中から注目されています。今回は、アメリカワインの特徴や歴史、おもな産地、ブドウ品種などについて紹介します。

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アメリカワインとは?

アメリカワインとは?

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「新世界(ニューワールド)」を代表する、アメリカワインの特徴や歴史から紹介します。

アメリカワインの特徴

「アメリカワイン」は、アメリカ合衆国で生産されるワインの総称です。ワインの世界では、ヨーロッパ以外のワイン生産国を「新世界(ニューワールド)」と呼びますが、そのなかでもアメリカは、高品質なワインの産地として注目されています。

アメリカワインは、一般的にブドウ本来の味がはっきりとわかりやすいのが特徴。たとえば、カリフォルニア州では多くの場合、日照時間が長くて降水量が少ないといったブドウが熟しやすい環境を活かし、収穫時期をギリギリまで延ばして完熟させた糖度の高いブドウが使われています。そのため、赤ワインは果実味とほどよい甘味のある 芳醇な味わいに、白ワインは果実味とクリーミーさを備えた、リッチな味わいに仕上がりやすくなるようです。

アメリカンオークによる熟成

アメリカワインのなかでもカリフォルニアワインには、樽香がしっかり感じられるものが多くあります。樽香とは、ワインを木樽で熟成させることでもたらされる香りのこと。樽材には、一般にアメリカに自生するアメリカンオーク(アメリカンホワイトオーク)というブナ科の広葉樹が使われます。

アメリカンオーク樽でワインを熟成させると、バニラやココナッツのような香りが付与され、とくに赤ワインではタンニンのまろやかな渋味が付加されます。また、アメリカンオーク樽は完熟したブドウから造られるワインとの相性がよく、力強く重厚な味わいに仕上がりやすくなるそう。

ただし、近年は樽香が控えめなエレガントなワインが好まれる傾向にあります。そのため、樽香をつけすぎないようにアメリカンオーク樽を使用せず、フレンチオーク樽やステンレス製タンクで熟成させたり、いろいろな方法で熟成させたワインをブレンドしたり、木樽熟成をおこなわない商品を推す 生産者が増えているようです。

アメリカワインの歴史

アメリカでワイン造りがスタートしたのは18世紀ごろのことで、ローマカトリック教会の修道士たちがミサ用のワインを醸造したのが起源といわれています。アメリカにはもともと自生するブドウ品種はあるものの、ワイン造りにはあまり適していなかったため、入植時に持ち込んだヨーロッパ品種のブドウの苗木を移植して生産が始まりました。

アメリカワイン最大の生産地であるカリフォルニアでは、19世紀後半にゴールドラッシュの波に乗ってワイン造りが本格化。「近代カリフォルニアワインの父」と呼ばれる故・ロバート・モンダヴィ氏をはじめとした先駆者たちの努力や、後継者たちの自由な発想と探究心が相まって、ヨーロッパ産に匹敵する高品質のワインが造られるようになっていきました。

アメリカワインの品質のよさが世界に知られるようになったきっかけは、1976年にフランス・パリで行われた「パリスの審判」と呼ばれる試飲会でした。フランスの超一流ワインとアメリカの高品質ワインを、それぞれフランスが誇るトップクラスのワインのプロが目隠しでテイスティング。おいしいと感じたワインを順位づけしたところ、大方の予想に反してアメリカワインが上位を占め、フランスワインに勝利しました。それ以来、アメリカワインの評判は格段に上がったといわれています。

※パリスの審判 参考(アカデミー・デュ・ヴァン)

アメリカワインの産地

アメリカワインの産地

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アメリカワインは、おもにカリフォルニア州が位置する西海岸や、オレゴン州とワシントン州を含む北西部、ニューヨーク州を含む北東部の3つの地域で造られています。それぞれの特徴を紹介します。

カリフォルニア州

アメリカ西海岸の都市カリフォルニア州では、アメリカワインのおよそ9割が生産されています。

先述した「パリスの審判」の影響もあり、世界中から醸造家が参入。フランスやイタリアなど「旧世界(オールドワールド)」で培われた伝統技術とアメリカの最新醸造技術が融合して、ヨーロッパのワインとは一線を画すわかりやすい味わいのワインが確立しました。

テーブルワインから高級ワインまで幅広いワインが造られていますが、とくに銘醸地として名高いナパ・ヴァレーには、「オーパス・ワン」のような少量生産の超高級ワインも存在します。

1990年代以降カリフォルニア州では、「オーパス・ワン」のようにブドウの収穫量を極限まで落として凝縮感を高めた濃厚な赤ワインが競って造られるようになりました。これらのワインのなかでも、ワイン評論家のロバート・パーカーJr.氏が高く評価したものは需要が高まり、価格は驚くほど高騰。熱狂的なファンに支持されるようになり、いつしか「カルトワイン」と呼ばれるようになりました。

今でも、ナパ・ヴァレーを中心に生み出されているレアな高級ワインは、カルト的な人気があります。

ちなみに、カリフォルニア州ではカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、シャルドネなどのブドウ品種で造ったワインが人気ですが、カリフォルニアの代表的な品種ジンファンデルのほか、近年はピノ・ノワールなども栽培されています。

オレゴン州

アメリカの北西部に位置するオレゴン州では、独自に制定したワイン法に準じて、世界レベルの高品質なワインが生産されています。オレゴン州のワイン法は、アメリカでもっとも厳しい条件が定められていることで有名。生産量はアメリカ国内で第4位です。

フランスのブルゴーニュとほぼ同緯度にあり、比較的冷涼な気候のオレゴン州では、おもにブルゴーニュ品種のピノ・ノワールやシャルドネなどのブドウが栽培されています。とくに1960年代から栽培されているピノ・ノワールの質は高く、世界中から注目されています。

オレゴン州には、比較的少量生産の小規模ワイナリーが多く、ブドウ栽培から手間暇かけて、こだわりのワイン造りが行われています。

ワシントン州

アメリカ西海岸最北にあり、カナダと国境を接するワシントン州は、カリフォルニア州に次いで第2位のワイン生産量を誇ります。

ワシントン州はフランスのボルドーやブルゴーニュと同じくらいの緯度にあり、ワイン用のブドウ栽培に適しているといわれています。昼夜の寒暖差が大きく、カリフォルニア州よりも夏の日照時間が2時間ほど長いため、しっかりとした酸味と果実味を備えたブドウが育つのが特徴です。

ワシントン州で栽培されているおもなブドウ品種としては、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、シャルドネ、リースリングなどが挙げられます。

ワシントン州では1960年代以降にワイン用のブドウ栽培が始まり、急激にワイナリーが増えていきました。近代的な醸造技術を駆使して造られる、バランスのよい味わいのワシントンワインは、国内外で高く評価されています。

ニューヨーク州

アメリカワインといえば西海岸産が有名ですが、アメリカ北東部に位置するニューヨーク州でもワインが醸造されています。比較的新しい産地ながら、生産量はカリフォルニア州、ワシントン州に次ぐ第3位です。

ニューヨーク州でのワイン造りは17世紀半ばごろに始まったといわれています。1976年に施行されたニューヨーク州独自の法律で、小規模のブドウ生産者にもワインの醸造が認められるようになると、ワイナリーが増加。さらに近年は、アメリカ国内のニーズの高まりを受けてワイナリーが増えています。

栽培されているブドウ品種は、リースリングやシャルドネ、メルロなど。エレガントでバランスのよい高品質のワインが多く、地元ニューヨーカーたちに愛されています。

なお、ニューヨークワインのほとんどは、地産地消を重視するニューヨークの人々によって消費されてしまうため、日本で見かけることは少ないようです。

その他の州

アメリカでは、じつは50州すべてでワイン造りが行われています。ハワイ州やアラスカ州も例外ではありません。ミシガン州やテキサス州、ペンシルベニア州、バージニア州、オハイオ州などにはそれぞれ100を超えるワイナリーがあります。

各州で、テロワール(その土地の環境)を活かした個性豊かなアメリカワインが生産されているので、ぜひ飲み比べてみたいですね。

アメリカワインに用いられるブドウ品種

アメリカワインに用いられるブドウ品種

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アメリカは国土が広いため、同じ品種でも産地によってブドウの個性がそれぞれ異なります。ここではカリフォルニア州産のブドウにフォーカスして、おもなブドウ品種と、それぞれの特徴を紹介します。

カベルネ・ソーヴィニヨン

黒ブドウ品種のカベルネ・ソーヴィニヨンは、アメリカの土地に適した品種といわれています。とくに、フランスのボルドーを意識したワイン造りが行われているカリフォルニア州で、多く栽培されています。

日照量の多いカリフォルニア州のカベルネ・ソーヴィニヨンから造られるワインは、アルコール度数が高く重厚で、酸味が少ない果実味たっぷりなワインに仕上がります。フランスのものとは別個性で、パワフルな味わいは焼き肉など力強い料理ともぴったりです。

ジンファンデル

カベルネ・ソーヴィニヨンと同様に有名なブドウ品種にジンファンデルがあります。

ジンファンデルはカリフォルニア州で広く栽培され、長い間カリフォルニア州原産と考えられていましたが、90年代にイタリアの黒ブドウであるプリミティーヴォと同種であることが判明しました。プリミティーヴォはイタリア語で「最初の」「1番目の」といった意味があり、その名のとおり、この品種は比較的早く熟します。また、雨に弱く乾燥に非常に強いのが特徴です。

赤ワインの「ジンファンデル」は、濃い色調でアルコールが高めのしっかりしたボディが特徴。長期熟成に向いていますが、早飲みでも十分においしくいただけます。

また、「ホワイト・ジンファンデル」と呼ばれる明るいピンク色のロゼワインも造られています。こちらは、白ワインの製法を応用して、黒い果皮を取り除き、ミュスカやリースリングで香りづけしたもの。「ジンファンデル」が力強い味わいのワインであるのに対し、「ホワイト・ジンファンデル」はやわらかな味わいのやや甘口のワインとなっています。

シャルドネ

白ワイン用ブドウ品種の女王と呼ばれているシャルドネは、テロワールや造り手の個性を色濃く反映するユニークな品種です。

日照時間が長く温暖な気候のカリフォルニア州は、フランスに次ぐシャルドネの一大生産地。そのシャルドネを使い、太陽の恵みを受けたトロピカルフルーツのような果実味や、ナッツやバニラのニュアンスを持った芳醇で香りに深みのあるワインが生み出されています。

従来は樽香をしっかりとつけた重い味わいに仕上げることが多かったのですが、近年は繊細さと酸味を持ち合わせた、辛口で複雑な味わいを重視する生産者も増えています。



アメリカワインは、新世界(ニューワールド)のなかでも品質が高く、世界が注目する銘柄も多数あります。パワフルで果実味たっぷりの濃厚なワインから、エレガントで繊細なワインまで豊富に揃っているので、ぜひ試してみてくださいね。

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