欧州ワインの関税撤廃!ワイン好きに嬉しいメリットとは

欧州ワインの関税撤廃!ワイン好きに嬉しいメリットとは
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欧州ワインの関税が2019年2月から撤廃となり、大きな話題となりました。関税撤廃は、消費者にとって具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。今回は、ワインの関税の基本やEPAによる関税撤廃のメリットについて、詳しく紹介します。

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ワインの関税について基本を知ろう

ワインの関税について基本を知ろう

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日本の輸入ワインにはどれくらいの関税が課されている?

関税とは、輸入品に対して国が課す税のことで、大きく「従価税」と「従量税」に分けられます。

◇従価税
商品の取引価格を基準として、「価格の〇%」というように税率が定められる課税方式。
◇従量税
商品の個数や容量などを基準として課税され、「1キログラムあたり〇円」「1リットルあたり〇円」などのように定められる課税方式。

日本のワインの関税は、この2つを組み合わせた「混合税」で、ワインを輸入する際のWTO協定税率として、「価格の15%または1リットルあたり125円のうちいずれか低い税率」を適用するよう定められています。

なお、関税には、各国の法律で定められた基本関税率や、WTO(世界貿易機関)協定税率などの複数のパターンがあり、どの国からの輸入品であるかによって税率が異なります。とはいえ、2020年時点で160を超える国や地域がWTOに加盟しているため、一般的には、WTO協定税率が標準的な関税とみなされているようです。

EPAを結ぶことでWTO協定税率より低い税率の適用が可能に

EPAを結ぶことでWTO協定税率より低い税率の適用が可能に

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スティルワイン国別輸入数量でチリワインが5年連続1位に

2007年に発効となった日・チリEPAは、日本のワイン市場に非常に大きな影響を与えました。

2007年のEPA発効からワイン関税が完全に撤廃されるまでの12年を待たずに、チリワインの輸入量は約4.5倍に拡大。主要国のワイン輸入量国別構成比(容量ベース)でチリワインが占める割合は、2007年時点ではフランス・イタリアに次いで3位でしたが、2015年には両者を抜き、2019年まで5年連続で1位となりました。

もともとコストパフォーマンスに優れ、価格競争力の高かったチリワインが、日・チリEPAの段階的な関税撤廃の恩恵を受け、大きな飛躍を遂げたといえるでしょう。

日本国内の消費税増税や日欧EPAによりチリワインは逆境に

このように、日・チリEPAの影響により日本の輸入ワイン市場を席巻してきたチリワインですが、2019年2月には日欧EPAが発効され、2019年10月には日本で消費税が増税となるなど、チリワインにとって逆風となる出来事が続いています。

すでに日欧EPAによりフランスをはじめとするEU加盟国産ワインの輸入量が増加しているため、今後、輸入ワイン市場が再び大きく変わる可能性もあるでしょう。

日欧EPAの発効で欧州ワインの関税もゼロに

日欧EPAの発効で欧州ワインの関税もゼロに

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関税撤廃により欧州ワインの価格はどう変わった?

前述のとおり、2019年2月に発効された日欧EPAの影響により欧州ワインの輸入量は増加傾向になりましたが、消費者はどのような恩恵を受けているのでしょうか?

輸入ワインの価格は関税だけでなく、海上運賃や資材コストなどさまざまな要因で決定されるため、関税が撤廃された分がそのまま値下げとなるわけではありません。しかし、消費者にとっては以下のような価格面でのメリットがあるといえます。

【ワインの関税】

日欧EPA締結前、欧州ワインの関税はWTO協定税率であったため、価格の「15%または1リットルあたり125円のうちいずれか低い税率」が適用されていました。これを基に計算すると、1リットルの3/4量であるワインボトル1本=750ミリリットルにかかる関税は、最大で93.75円。つまり、1,000円のワインでも5万円のワインでも課せられる関税は約94円なので、高額なワインよりも低価格のワインのほうが価格に占める関税の割合が高くなります。そのため、価格の低いワインほど関税撤廃の恩恵を受けているといえるでしょう。

【スパークリングワインの関税】

スパークリングワインのWTO協定税率は一律で1リットルあたり182円(750ミリリットル換算で136.5円)でしたが、関税撤廃によりそれがかからなくなりました。スパークリングワインは価格帯に関わらず、お得に買えるようになったといえそうです。

日欧EPAによりソフト系チーズなどの関税も引き下げられる

日欧EPAの対象となるのは、ワインだけではありません。チーズやパスタ、豚肉、果物、チョコレート菓子など、一部の欧州産の食品についても段階的に関税が引き下げられるのです。

モッツァレラやカマンベールなどのソフト系チーズやスパゲティなど、ワインとのマリアージュをたのしめる食品の関税が下がるのは、ワイン好きにとっては嬉しいことですね。

チリに続き日本とEUの間でもEPAが締結され、ワインの関税が撤廃されました。関税撤廃によってワインの輸入量が増えたり、価格が引き下げられたりするなどメリットもいっぱい。おかげで、ワインを身近にたのしむことができますね。

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