ワインでよく聞く「シャトー」について知っておこう
ワイン探しをしていると「シャトー」や「ドメーヌ」といった言葉をよく見かけます。どちらもワインの生産者を指していますが、両者にはどんな違いがあるのでしょう? 今回は、ワイン好きなら知っておきたいシャトーの基礎知識について、ドメーヌとの違いなども含めて紹介します。
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ワインの「シャトー」って何?
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「シャトー」とはワインの名産地、ボルドーのワイン生産者
ワイン用語で「シャトー」と言えば、一般的には、フランスワインの名産地のひとつ、ボルドー地方のワイン生産者を意味します。
もともと「シャトー」とは「お城」を意味するフランス語。ボルドーでは、ブドウの栽培から収穫、ワインの醸造、熟成、瓶詰めまでを一貫して行うのが一般的。それも大規模な農園を持ち、お城のような醸造所を構えていることから、「シャトー」と呼ばれるようになりました。
シャトー=ボルドーワインとは限らない?
冒頭で「一般的に」としたのは、法的に明確な定義があるわけではなく、ボルドー以外の産地で、一貫生産でなくとも「シャトー」を名乗っているワイン生産者もあるからです。
とくにワイン生産者に詳しくない場合は、「シャトー」と名乗っているからといって、ボルドーの高級ワインと決めてかからず、産地などを確認することをオススメします。
「シャトー」と「ドメーヌ」はどう違う?
シャトーと同様、ワインの生産者を表す言葉として「ドメーヌ」がありますが、両者にはどんな違いがあるのでしょうか? シャトーがおもにボルドー地区の生産者を指すのに対し、ドメーヌはおもに同じフランスのワイン名産地、ブルゴーニュの生産者を指します。
ブドウ栽培からワイン造りまでを一貫して行うのは同様ですが、ブルゴーニュの場合は小規模な生産者が多く、「お城=シャトー」ではなく、「領地/領域」を意味する「ドメーヌ」と呼ばれるのです。
ボルドーワインの5大シャトー
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ボルドーワインの最高級に位置づけられる5つのシャトー
シャトーにはさまざまな格付けがありますが、なかでも権威があるのが、ボルドーのなかでも高級ワインの産地として知られる、メドック地区の格付けです。
この格付けで最高ランクである「第1級」の称号を与えられた5つのシャトーが、「ボルドーワインの5大シャトー」として、世界中のワイン愛好家の憧れとなっています。
【シャトー・ラフィット・ロートシルト】
5大シャトーの筆頭となるシャトー。“世界最高峰”“ボルドーの真髄”などと称される、一度は口にしてみたい高級ワインです。
【シャトー・マルゴー】
かの文豪・ヘミングウェイも愛した「シャトー・マルゴー」は、5大シャトーのなかで、もっとも女性的なワインとして有名です。女性らしい優しさだけでなく、力強さも兼ね備えていることから、“メドックの女王”とも呼ばれます。
【シャトー・ラトゥール】
“不作知らず”と言われるほど、安定した品質を世に出し続けることで評価の高いシャトー。このシャトーのワインは凝縮感があり、長期熟成に向くフルボディのワインです。
【シャトー・オー・ブリオン】
ナポレオンの時代から飲まれている、ボルドー最古のシャトー。ボルドーでもグラーブ地区のシャトーですが、格付け時点で既に有名だったため、メドック地区以外のシャトーで唯一、「第1級」に格付けされました。
【シャトー・ムートン・ロートシルト】
1855年に初めて格付けが実施された際は第2級の筆頭でしたが、その後、研鑽を続けたことで、1973年に念願となる第1級の称号を手に入れました。西洋画家の巨匠が手がけたラベルでも知られる、革新派のシャトーと言えるでしょう。
ボルドーのシャトーワインのオススメ3選
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「シャトー・ヴィラ・ベレール・ブラン2016」
グラーブ地区の中心部、サン・モリオン村の「シャトー・ヴィラ・ベレール」がソーヴィニヨン・ブラン65%、セミヨン35%で造るコクのある白ワイン。樽からくるシナモンなどのスパイシーンで力強い味わいは、揚げ物など油を使った料理と合わせてもオススメです。
「シャトー・ラモット・ヴァンサン・アンタンス2015」
アントル・ドゥ・メール地区で4代続く「シャトー・ラモット・ヴァンサン」が、カベルネ・ソーヴィニヨン60%、メルロー40%で造るミディアムボディの赤ワイン。乾いたタンニンが味わいを引き締めていて、分厚い牛ステーキとも好相性です。
「シャトー・ボネ ルージュ バレル・エイジド2014」
アントル・ドゥ・メール地区で常にトップクラスの品質を保つ名門「シャトー・ボネ」が、カベルネ・ソーヴィニヨン50%、メルロー50%で造るミディアムボディの赤ワイン。軽快な口当たりながらも熟成による旨味もたっぷりなので、和食と合わせるのがオススメです。
ボルドーでは、ここで紹介したシャトー以外にも、多種多様なシャトーが、それぞれ個性あるワイン造りを行っています。味も風味も千差万別。価格帯も幅広いので、ぜひ、さまざまなワインをお試しください。