リキュールのおいしい飲み方【カロリックパンチ編】
カロリックパンチは、スウェーデンが発祥の地といわれる古典的なリキュールです。かつて、世界的に有名なカクテルブックにも登場したほど、ポピュラーだった伝統的なお酒、カロリックパンチの魅力を紹介します。
- 更新日:
カロリックパンチは北欧生まれの甘めリキュール
gorkem demir/ Shutterstock.com
カロリックパンチは、東南アジアや中近東で生産が盛んな蒸溜酒アラックをベースに、砂糖や水、香料などを加えて造られる、甘めのリキュール。
発祥はスウェーデンといわれ、カロリックパンチという名前のほか、スウェディッシュ・パンチやアラックパンチ、単にパンチなど、さまざまに呼び親しまれています。
カロリックパンチの原料であるアラックとは、紀元前にはすでに造られており、世界最古の蒸溜酒という説もあります。その主体となる原料は、米やナツメヤシの実「デーツ」のほか、アワ、ココナッツなど、生産地によって異なります。
そんなアラックを使って、いつごろカロリックパンチが誕生したのか、定かではありません。アジア貿易を手がけたスウェーデン東インド会社が18世紀の初め、東南アジアからアラックを輸入したとの記録があることから、それ以降のことと考えられます。
近年、ドイツの飲み物として知られている「プンシュ」もその一種といわれており、スウェーデンではアラックの代わりにラムをベースにした商品「カールスハムス・フラッグプンシュ」が、カロリックパンチの流れをくむお酒として登場しています。
カロリックパンチを使った美しい古典的カクテル
Maksim Fesenko/ Shutterstock.com
カロリックパンチでたのしめるクラシカルなカクテルが、フルーツブランデーの代表格、アップルブランデーをベースに組み合わせる「ディキディキ」です。
このカクテルは、ジンベースのカクテル「ホワイトレディ」をはじめ、数々の名だたるカクテルを考案したという、イギリス人のバーテンダー、ハリー・マッケルホーン氏が20世紀初めに著した、世界初の体系的カクテルブックにも登場しているのだとか。
ちなみに、ディキディキとは、南方にある島国の国王の名前が由来といわれています。
作り方は、氷を入れたシェーカーに、1対1対6の割合のカロリックパンチ、グレープフルーツジュース、アップルブランデーを加え、シェークしてカクテルグラスに注げば完成です。
カロリックパンチでアレンジするカクテルの名作
Shyripa Alexandr/ Shutterstock.com
カロリックパンチを使うと、有名なカクテルのアレンジバージョンもたのしめます。
元になるカクテルは、ドライジンとハーブ系リキュールのシャルトルーズ(シャルトリューズ)を合わせて作る「スプリングフィーリング」。
使うリキュールをシャルトルーズからカロリックパンチに替えるだけで、20世紀初めに活躍したハリウッドスターの名が由来の「グレタ・ガルボ」というカクテルに変身します。
作り方は、2対1対1の割合のドライジン、カロリックパンチ、レモンジュースをシェークして、カクテルグラスに注ぐとできあがりです。
最後に、カロリックパンチのもっともカンタンなたのしみ方を紹介しましょう。
それは、「スウェディッシュ ホットパンチ」と呼ばれるホットカクテル。作り方は、耐熱グラスにカロリックパンチ60ミリリットルを入れ、好みの分量の熱湯とレモンの輪切りを加えるだけです。
海外のお酒であるカロリックパンチは、その定義や由来について諸説あります。日本では手に入りにくい貴重なリキュールですが、北欧へ出かけることがあれば、その流れをくむお酒を探してみてはいかがでしょうか。