アブサンの魅力と美味しい飲み方とは?美しき狂気のリキュールを解説
アブサンの魅力を深掘り!かつて「美しき狂気」と呼ばれたハーブリキュールの歴史や芸術家を魅了した理由、おいしい飲み方をいくつかご紹介します。
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アブサンが「美しき狂気」と呼ばれる理由
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アブサンは、18世紀にスイスやフランスで生まれたといわれているハーブリキュールです。
植物のニガヨモギを主原料に、アニシードなど数々のハーブが配合されており、ハーブ由来の独特の風味と香りが特徴です。
銘柄によって異なりますが、その多くは淡い緑色。アルコール度数は40度前後から70度ほどまでさまざまですが、高めのものが一般的です。
アブサンはよく「禁断のお酒」「伝説のお酒」などと呼ばれますが、そうした異名のもととなっているのが、原料のニガヨモギに含まれる精油成分「ツヨン」です。この成分は、セージやコリアンダーなどのハーブ、スパイスにも含まれますが、過剰に摂取すると、幻覚や錯乱を引き起こすといわれています。
そのため、アブサンは非日常の感覚を求めた多くの芸術家を虜(とりこ)にしました。たとえば、フランスの詩人ランボーはアブサンを「美しき狂気」と呼んで愛飲。また、オランダの画家ゴッホはその名も『アブサン』という作品を残しています。
アブサンは、社会に対する影響の大きさが懸念され、19世紀末以降、各国で製造・販売が禁止されましたが、20世紀末に世界保健機関 (WHO) が、ツヨンの残存許容量の基準値を定めたことで製造が再開。ヨーロッパを中心に、再び世界各国で親しまれるようになり、現在では、その銘柄の数は400種類以上にのぼっています。
アブサンを使ったポピュラーなカクテル「アブサン・ドリップ」
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アブサンの伝統的な飲み方が「アブサン・ドリップ」と呼ばれるカクテルです。
アブサン・ドリップには、穴の開いた「アブサンスプーン」という専用アイテムを使いますが、現在ではネットショップなどでも手に入れることができます。
作り方は、アブサンを注いだグラスの上に、角砂糖を1個のせたアブサンスプーンを置き、角砂糖の上から水を1滴ずつ垂らしていきます。
アブサンに含まれるハーブの精油が水と反応して白濁し、じつに神秘的な色合いに。この色の変化が、アブサン・ドリップの大きな魅力になっています。
角砂糖がほどよく溶けたら、グラスに入れて軽くかき混ぜて味わいます。
もうひとつ有名なのが、アブサンスプーンにのせた角砂糖にアブサンを垂らし、火をつけるというスタイル。角砂糖が燃えつきるタイミングで水を注いで、グラスに入れて混ぜます。
「これでは、アブサンの風味が台なしになる」といった声もあるようですが、ホームパーティの盛り上げ役にはいいかもしれません。試す際は、火の扱いにくれぐれも気をつけましょう。
アブサンはほかにもおいしい飲み方がさまざま
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アブサンにはほかにも、おいしい飲み方があります。いくつか紹介しましょう。
【アブサンカクテル】
作り方は、1対1の割合のアブサンと水をベースに、氷、シロップとアロマチックビターズを数滴ずつミキシンググラスに入れて、軽くかき混ぜます。ストレーナーで氷を除きながら、カクテルグラスに注いで完成です。
【ナインピック】
ジンがベースのカクテル。勝利を意味するビリヤードの用語がその名の由来で、引きしまった味わいです。
作り方は、1対2の割合のドライジンとアブサンをベースに、アロマチックビターズ、オレンジビターズ、シロップ各数滴をシェークして、カクテルグラスに注ぎます。
最後にツヨンの身体への影響について補足すると、誤解だとする説もあります。いずれにしても、逸話には事欠かないアブサン。多くの人々を魅了し続けるリキュールを、一度味わってはいかがでしょう。