「サンセール」「プイィ・フュメ」のワインを代表に持つ「ロワール」

「サンセール」「プイィ・フュメ」のワインを代表に持つ「ロワール」
出典 : Alexander Demyanenko

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ロワールのワインの魅力と歴史

ロワールのワインの魅力と歴史

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全長およそ1000キロメートル、フランス最長の大河、ロワール河。悠々と流れる川の恵みを受けた流域には、美しい古城や葡萄畑が点在しています。そののどかで美しい景観は、世界遺産として登録されています。

ロワール流域のブドウ畑は広範囲に分散しているため、テロワールの多様性や数多い様々な品種によって、あらゆるタイプのワインが揃っているといえます。誤解を恐れずロワールワインの特徴を一言でいえば、「多彩、良質、安価」といえるでしょう。

産地は河口周辺のナント周辺地区、下流域のアンジュ&ソミュール地区、中流域のトゥーレーヌ地区、上流域の中央フランス地区の4つで構成され、それぞれの個性を持っています。

大西洋沿岸に位置する白ワインの名産地ミュスカデ

大西洋沿岸に位置する白ワインの名産地ミュスカデ

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ロワール河の最下流に位置するナント市周辺の地区。ミュスカデとは産地の名前でもあり、同時にブドウの名前でもあります。海に近いため海洋性気候で、片岩、花崗岩、沖積岩の土壌から、ミュスカデ種が盛んに栽培されています。

旨味を高める目的で、製造過程で発生した滓をそのまま残し寝かせる「シュール・リー製法」が多く採用されています。ミュスカデは、クリアなグリーンがかった色合いをしており、柑橘系やハーブを思わせる清涼感のある香りが特長。フレッシュできゅっと酸味が効いた軽やかな味わいの後にほのかなミネラルを感じます。魚介類や和食とも合う、親しみやすい辛口の白ワインです。

ミネラル豊かなワインができる海洋性気候のアンジュ&ソミュール

ミネラル豊かなワインができる海洋性気候のアンジュ&ソミュール

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ロワール河の下流に位置するアンジュ市とソミュール市周辺地区。豊かな四季があると同時に、ロワ―ル川により生み出される気候により、高品質なワインを生産するのに適した土地として知られています。石灰岩からなるさまざまな土壌をもつこのエリアでは、ワインの気品や繊細さの基盤となる酸やミネラルがもたらされるため、独特のエレガントさを備えたワインが造られます。

「フランスの庭園」とも呼ばれる風光明媚なトゥーレーヌ

「フランスの庭園」とも呼ばれる風光明媚なトゥーレーヌ

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シュノンソー城など中世の繁栄を今に伝える古城が建ち並び、海洋性気候と大陸性気候の両方の影響を受け、珪土質、粘度石灰質土壌を持つエリア。西寄りの地域ではシノンやブルグイユといったカベルネ・フランによる香り高い赤ワイン、東寄りの地域ではシュナン・ブランによる華やかな白ワインが有名です。ロワール河流域で特に優れた赤ワインを造る産地として知られています。

ロワール上流に位置するサンセールとプイィ・フュメ

ロワール上流に位置するサンセールとプイィ・フュメ

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ロワールを代表するアペラシオン「サンセール」「プイィ・フュメ」があるのが、このエリア。かつてのフランス王国の古都ブールジュ市を囲む地区です。大陸性気候で、ブルゴーニュに隣接しており、石灰質の土壌など、シャブリにも似通った土壌で、ミネラル分豊かなソーヴィニヨン・ブランの銘醸地です。サンセールはシャープな酸味が特徴の白ワインが有名。赤やロゼも僅かに造られます。サンセールの対岸にあるのがプイィ・フュメで、ここでは白ワインのみ造られます。

老舗から若い造り手まで、スタイルも味わいもバラエティーに富んでいるのがロワールワイン。一度ぜひ手に取ってみてくださいね。

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