人気カクテル「ボイラーメーカー」の魅力と作り方
ビールとウイスキーを組み合わせた人気カクテル「ボイラーメーカー」をご紹介。アメリカで愛されるその理由や美味しい作り方、ユニークな由来を詳しく解説します。新しい味わいの楽しみ方も!
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「ボイラーメーカー」とはどんなお酒?
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「ボイラーメーカー」は、ビールとウイスキーを合わせるアメリカ生まれのカクテル。ブラッド・ピットの名を一躍メジャーにしたアメリカ映画『リバー・ランズ・スルー・イット』に登場したことで、世界的な知名度を得ました。
ボイラーメーカーのレシピとして広く知られているのが、前述の映画にも登場する、ビールを注いだジョッキのなかにウイスキーのストレートをショットグラスごと沈めてしまうスタイル。アメリカらしく、ワイルドで、遊び心満点な飲み方です。
とはいえ、これはあくまで映画ならではの演出。ジョッキやタンブラーなど高さのあるグラスにウイスキーを入れたうえに、よく冷えたビールを注いで軽くステアするというのが、本来のレシピなのだとか。
バーによっては、ウイスキーはバーボンが一般的ですが、お好みでスコッチなどに変えてもOK。ちなみに、ウイスキーの代わりにテキーラを用いると「サブマリノ」というカクテルになります。
ボイラーメーカーには、この他にも、ビールとウイスキーを交互に飲むというスタイルもあり、こちらのほうがそれぞれの味をじっくりたのしめるともいわれています。ただし、これだとウイスキーのチェイサーとしてビールを飲むのと変わりなく、カクテルと呼ぶにはやや疑問もあります。やはり、ビールとウイスキーを混ぜて飲むのが、本来のボイラーメーカーといえるでしょう。
ボイラーメーカーの由来には諸説あり
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「ボイラーメーカー」とは、直訳すれば「ボイラーの建設者」。どうしてこんなユニークな名前がついたのかは、諸説あります。
もっと広く知られているのは、アメリカで発電用ボイラーの建設作業を行っていた労働者が、手早く酔っ払いたいがため、缶ビールを半分ほど飲んだ後、そこにバーボンウイスキーを入れて飲んだという説です。
何ともアメリカ的というか、大胆なエピソードですが、過酷な労働で疲れたブルーカラーの人々にとっては、ボイラーメーカーをあおる瞬間は、何よりの幸福だったことでしょう。
もうひとつの説が、ウイスキーとビールを同時に飲むことでアルコール度数が高くなり、カラダがボイラーのように熱くなることから、名づけられたというもの。同様のカクテルが韓国では「爆弾酒」と呼ばれていますが、これも同じような由来と考えられます。
どちらの説をとっても、ボイラーメーカーが手早く酔うための酒、というのは間違いありません。
映画に登場した、ビールジョッキにショットグラスを沈めるスタイルは、大勢でたのしく飲む際の盛り上げ役にはぴったり。ビールの炭酸によるすっきりしたのどごしで、アルコール度数が高いわりには飲みやすいのも人気の理由でしょう。
とはいえ、もともとが手っ取り早く酔うために生まれたものだけに、いつも以上に、飲み過ぎには注意したほうがよさそうです。
ボイラーメーカーがアメリカで愛される理由
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ボイラーメーカーは、ビールだけでは物足りないという人にはピッタリのカクテルです。ただし、その由来もあってか、アメリカの一部では、あまりよくない印象をもたれているそうなので、海外でボイラーメーカーを注文する際は、周囲の雰囲気に気をつかいたいものです。
たとえば、ボイラーメーカーの愛飲者としては、少年野球を描いた映画「がんばれ! ベアーズ」に登場する、飲んだくれの監督が知られています。この監督が飛行機で移動中にボイラーメーカーを注文して、客室乗務員の女性に顔をしかめられるシーンも描かれており、そこからボイラーメーカーに対するアメリカ市民の一般的なイメージが見て取れます。
それでもボイラーメーカーが長くアメリカで愛され続けている理由は、どこのあるのでしょう?
それは「手っ取り早く酔いたい」というストレートな欲求を、「ビールとウイスキーを混ぜる」という大胆な手法で満たすという、野蛮ではあっても、ある意味では男らしいやり方が、古きよきアメリカを彷彿とされるからではないでしょうか。
ボイラーメーカーのおいしい作り方
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ボイラーメーカーは、その誕生の由来から、「味は二の次で、とにかく酔えればよい」と思われがちですが、実際に飲んでみればわかるように、意外とクセになるおいしさがあります。
ボイラーメーカーをおいしく飲むためのポイントは、ビールとウイスキーの組み合わせにあります。基本となるのは、トウモロコシを主原料としたバーボンウイスキー。独特の香りや、キャラメルのような甘味が特徴で、ビールの苦味と絶妙の調和を見せます。
ビールにもさまざまな銘柄がありますが、本場アメリカらしさを味わうのであれば、やはり「バドワイザー」や「クアーズ」といったアメリカンビールがおすすめです。
バーボンもビールも多種多様な銘柄がありますので、さまざまなウイスキーを、さまざまなビールと組み合わせてみることで、オリジナルのボイラーメーカーが作れますので、いろいろと試してみるのもたのしいでしょう。
ビールとウイスキーの比率は3対1くらいが一般的といわれていますが、これもお好みで調整できます。いずれの場合も、あらかじめグラスとビールはよく冷やしておけば泡立ちもほどよく、すっきりしたのどごしがたのしめます。
ボイラーメーカーにひと工夫を加えて新しい味わいを
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ボイラーメーカーは、ビールとウイスキーを混ぜるだけというシンプルさゆえに、無限の可能性を秘めたカクテルです。
いつもとは少し違った組み合わせにすることで、新しいおいしさと出会えるのも、ボイラーメーカーのたのしみ方のひとつといえるでしょう。
たとえば、女性にも人気の黒ビールの「ガージェリー・スタウト」と、アルコール度数が高くてクセが強めのバーボンの組み合わせ。バーボンならではのコクのある甘味と、黒ビールのチョコレートのような苦味が絶妙のバランスで、すっきりと飲みやすくなります。
また、バーボンの代わりにアイリッシュウイスキーを使って、アイルランドの黒ビール「ギネス」、そしてクリーム系リキュール「アイリッシュクリーム」を混ぜると、ボイラーメーカーのアイリッシュ版「アイリッシュ・カーボム」が誕生します。直訳すれば「アイルランドの自動車爆弾」という、何とも物騒な名前は、韓国におけるボイラーメーカーの別名「爆弾酒」を思わせます。
強度のアルコールでカラダが爆発するように燃え上がる、というイメージは、どうやら万国共通のようです。
また、ボイラーメーカーの洒落た飲み方としては、バーボンを凍らせてアイスキューブにして、ビールを注いだジョッキに入れ、溶かしながら飲むというやり方もあるのだとか。
合わせ方や飲み方をさまざまに創意工夫して、独自のボイラーメーカーをたのしんでみては。
ボイラーメーカーは、アルコール濃度が高めのウイスキーを、ビールの炭酸でさわやかに味わえるカクテルです。アメリカの労働者になったつもりで、大胆にたのしんでみてはいかがでしょうか。