赤ワインの甘口と辛口、どちらが好み?
ワインには、赤・白ともに、甘口と辛口のものがあります。白ワインについては、甘口か辛口かを話題にしますが、赤ワインはどうでしょうか? 赤ワインのほとんどは辛口といわれるなか、その味わいをあらためて紐解いてみました。
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そもそも、甘口と辛口とは?
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ワインにおける辛口は、甘味の少ないスッキリとした味わいです。ワインの辛口とは、本当に辛いのではなく、基本的に「甘くないもの」を辛口と表現しています。例えば、普通の水と砂糖水を比べてみて、普通の水を飲んで辛いと思わなくても、甘い砂糖水に比べると甘くないので、普通の水は辛いと表現するようなイメージです。甘口は、甘味をまろやかに感じる程度の控えめなものから、はっきりと甘味を感じる極甘口まであります。
ところで、ワインは何をもって甘口と辛口に分けられるのでしょうか? 先述したとおり、辛口といってももちろん香辛料が加えられているわけではありません。それどころか、まったく同じブドウ品種を原料にして甘口から辛口まで造ることができます。では、どこが甘口、辛口の決め手となるのでしょう。
ワインは、ブドウの果皮などに含まれる酵母菌が果実の糖分を食べることでアルコール発酵が起き、お酒となります。その酵母菌が糖分を食べ切ってしまえば甘味のない辛口ワインとなります。
また、途中で酵母菌の働きを抑えて糖分を残せば甘味のある甘口ワインとなります。つまり、甘口か辛口かどうかは、おもにワイン中の糖分の残量で決まります。醸造技術が発達している現代では、酵母の働きを熱で抑えたり、遠心分離で取り除いたりすることができるため、甘辛度をある程度調整することができるのです。
赤ワインの味の決め手
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赤ワインの味の決め手のひとつに、ブドウ品種があります。赤ワインを選ぶときに、覚えておきたい黒ブドウのおもな品種は14種くらい。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ピノ・ノワールなど赤ワインのブドウ品種を語るときには、「重い」「しっかりした」「濃い」といった表現をします。
赤ワイン造りの特徴は、特有の赤い色(アントシアニン)や渋み(タンニン)を含んだブドウの果皮や種を漬けこんで造ること。こうして果皮に含まれる香気成分を抽出することをマセラシオンといいます。
工程としては、選果した黒ブドウから果皮や種を残したまま果汁を出し、それを発酵タンクに入れてアルコール発酵。発酵中の果汁に浮く果皮を櫂で沈めたり、ポンプでタンク内のワインを循環させたりするなどしてマセラシオンを行います。
マセラシオンの期間は5日から2週間ほど。こうしてマセラシオンが終わったら、乳酸菌の働きによりワインのなかのリンゴ酸を乳酸に変えるマロラクティック発酵という工程を経て、発酵終了後にタンクや樽で熟成します。
こうしてできた赤ワインの味を語るとき、白ワインに比べて「重い」「しっかりした」「濃い」と表現されることが多いのです。また、世界の赤ワインは辛口がほとんど。でも、ドイツやイタリアなどには、ベリー系の味わいの甘口の赤ワインも少数ではありますが、存在しています。
甘口の赤をおいしく飲もう
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もし、数少ない甘口の赤ワインに出会ったならば、軽く冷やして飲むのがおすすめです。ベリー系の甘い香りと味わいは、はまるとクセになるおいしさです。また、「赤ワインはちょっと渋くて苦手」と感じている人は、赤ワインを見直すきっかけになるかもしれません。
また、フルーツや氷を入れて飲むのもおいしい!オレンジなどの柑橘系フルーツやベリーと華やかな赤色は、ホームパーティーなどにぴったりです。
「甘口の赤ワインなんて」と思わず、ぜひ一度試してみてください。