高品質のワインの宝庫!国産ワインの代表甲州の昔と今

高品質のワインの宝庫!国産ワインの代表甲州の昔と今

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甲州が生まれた歴史

甲州が生まれた歴史

KPG_Payless/ Shutterstock.com

古来、日本のブドウは、おもに食用または薬として用いられたといわれています。ワイン造りが始まったのは明治になってからですが、当時好まれていたのはジュースの様な甘いブドウ酒で、辛口のワイン造りが発展してきたのは40年ほどのことです。

以前はあまり個性が感じられず薄い味わいのものが多かった国産ワインですが、造り手の努力と技術革新によりこの20年余りで品質は飛躍的に向上してきており、甲州やマスカット・ベーリーAなどの日本独自のブドウをはじめとした、日本固有品種からも高品質のワインが造られています。

とくに甲州は、2010年に日本のブドウとしては初めて、世界的な醸造用のブドウとして登録された日本を代表する白ブドウです。ヨーロッパが起源の日本固有品種で、奈良時代から平安時代にかけてシルクロードを通って、仏教と共に日本に伝わったとされています。

この甲州の栽培の始まりには二つの説があります。一つは、718年に修行僧の行基が山梨県勝沼に大善寺を開山し、そこで栽培を始めたという説。
もう一つは、1186年に山梨県勝沼に住む雨宮勘解由という人物が発見したという説です。雨宮勘解由は、自宅近くの山道で自生の山ブドウとは違う、今までに見たことのないブドウを見つけます。自宅に持ち帰って栽培を始めたところ5年後に、30余りの房が結実。じつは、それが甲州であったという説です。

どんな味わいのブドウ?

どんな味わいのブドウ?

Visionsi/ Shutterstock.com

甲州は通常、淡い麦わら色で柑橘系や白桃などの果実の優しい香りが特徴です。低アルコールで軽やかさがあり、バランスの良い酸味が心地良く、クリーンで繊細、かつフレッシュ感があります。
繊細で微妙な料理の味を消さずに、逆に引き立てる控えめな品の良さを持ちながら、優しいけれど芯のある味わい。特に日本料理、ヘルシーな料理、魚介類や野菜などの素材を活かした料理とよく合います。

近年は醸造方法も様々になり、日本酒に近い香りで米の甘味を連想させるものや、リースリングを思わせる香りと酸味のしっかりとした辛口のもの、ソーヴィニヨン・ブランのような新緑を感じさせるものなどその個性はさらに広がっています。
果皮の色はピンクグレーで、皮には厚みがあります。その特性を生かし、醸造過程で醸しの時間を長くし、少しグレーがかった、味わいに厚みのあるタイプのワインも生産されています。

甲州を使ってワインを造る産地

甲州を使ってワインを造る産地

Takashi Images/ Shutterstock.com

甲州種は、伝来してから長い年月をかけて日本の風土になじんだ病気に強い品種です。栽培面積は480ヘクタールで、全国の総生産量の約85%が山梨県で生産されています。

山梨県は扇状地が多く砂地で水捌けが良く、標高が500~600メートル位で昼夜の温度差が大きく、また日照時間が長く、傾斜地も多いということが甲州という品種に適したと言われています。その他の生産地としては、山形県の庄内地域や大阪府の柏原、島根県などが知られていますが、醸造用だけではなく生食用としても利用されるため、日本各地で栽培されています。

山梨県では80を超えるワイナリーを定額で回遊できる「やまなしワインタクシー」も運行していますので、甲州の魅力と日本ワインの歴史を体験してみてはいかがでしょうか。

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