世界最古のワイン文化を持つブルガリアのワイン『ロゴダジ』の魅力

世界最古のワイン文化を持つブルガリアのワイン『ロゴダジ』の魅力

ヨーロッパの南東部、バルカン半島に位置するブルガリア共和国。ブルガリアと聞けば、まず「ヨーグルト」を思い浮かべる人が多いかと思いますが、ワインの生産国としても知られていて、何を隠そう世界最古のワイン文化を有しているのです。そのブルガリアワインの歴史とともに、新進気鋭のワイナリー『ロゴダジ』を紹介します。

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紀元前にブドウ栽培に適した風土で、トラキア人がワインを醸造したのが始まり

紀元前にブドウ栽培に適した風土で、トラキア人がワインを醸造したのが始まり

ブルガリア人の祖先にあたるトラキア人の文明は、紀元前1000年~800年にかけて古代ギリシャ文明と同時期に存在。もっとも古いワイン造りを行っていたとされる古代ギリシャ人がトラキア人のワイン醸造技術を記録として残していることから、ブルガリアは世界最古のワイン生産国の一つと言われています。

当時トラキア人がワインを醸造していたことは文献として残されているほか、黄金製のワインカップも多数出土しており、この史実を裏付けています。

1960年代になって、カリフォルニアからワイン醸造の最新設備や技術、国際ブドウ品種がブルガリアに伝わり、リーズナブルで高品質なワインが醸され、世界中へと輸出され始めました。じつは70年代の日本の国産ワインの70%が、この良質なブルガリアワインを原料に用いていたのです。現在では約250のワイナリーが存在。生産量の70~80%が輸出されています。

「ストゥルマ谷南西部」にありトップ10の生産量を誇る『ロゴダジ』

「ストゥルマ谷南西部」にありトップ10の生産量を誇る『ロゴダジ』

ブルガリアのワイン産地は大きく5つ。その中でももっとも西、首都ソフィアから少し南下した地域にあるのが「ストゥルマ谷南西部」。緯度はワイン大国イタリアのローマ、近年その希少なワインで注目されているグルジア(ジョージア)とほぼ同じと記せば、ワインへの期待が高まってくることでしょう。

ワイナリー『ロゴダジ』は、1994年このストゥルマ谷南西部に誕生。現在では年間約350万本ものワインを生産し、ブルガリア国内生産量のトップ10に入っています。

豊かな味わいのワインを醸す

新しく現代的なワイナリーであるロゴダジの醸造コンセプトは、奥行きと複雑さを表現すること。この哲学のもとで産声を上げたワインは、果実の凝縮感とバランスの取れた豊かな味わいで飲む人を魅了しています。

さらに土地の個性や特徴をワインに活かすため、収穫されたブドウは畑ごとに分けて発酵させることを徹底。ブルガリアのワインを多くの人々に知ってもらう試みの一つとして、黒ブドウ品種のメルニクなど固有品種を世界中に広めることにも力を入れています。

芸術的なワインを創る醸造家

醸造家のムラッド・オウダ氏は、イタリアで醸造を学び、その後長きにわたってイタリアやフランスでワイナリー経営全般に携わってきた人物。師匠は世界で活躍するリッカルド・コタレッラ氏。フランスのボルドー地方やイタリアなどで、ヨーロッパトップクラスのワイナリーと数多く契約しています。

醸造家のムラッド・オウダ氏は、イタリアで醸造を学び、その後長きにわたってイタリアやフランスでワイナリー経営全般に携わってきた人物。師匠は世界で活躍するリッカルド・コタレッラ氏。フランスのボルドー地方やイタリアなどで、ヨーロッパトップクラスのワイナリーと数多く契約しています。

2010年に自らの手でブルガリアのワイン文化を発展させたいという信念を抱いて、ロゴダジに加わったオウダ氏。これまで培ってきた豊かな知識と高い技術を活かして、数々の芸術的なワインを醸し出しています。

ワイン造りの各工程で多くのこだわりが

■すべて人の手で摘んで選定

ワイン造りの各工程で多くのこだわりが

イタリアやフランスの高級ワイナリー同様、ブドウの収穫は完全に樹で熟すのを待ってから、すべて手摘み。ブドウが自身の重みで潰れるのを避けるために、小さな箱で運搬します。ワイナリーに運び込んだら、房の選定に続いて果実の選定。この2度の選定作業も人の手で行っているのです。

イタリアやフランスの高級ワイナリー同様、ブドウの収穫は完全に樹で熟すのを待ってから、すべて手摘み。ブドウが自身の重みで潰れるのを避けるために、小さな箱で運搬します。ワイナリーに運び込んだら、房の選定に続いて果実の選定。この2度の選定作業も人の手で行っているのです。

■ブドウに陰干しを施す

ブドウに陰干しを施す

ブドウに陰干しを施す

ブドウの凝縮感を高める手段の一つが“アパッシメント(陰干し)”。イタリア・ヴェネト州で造られ世界のワイン愛好家を魅了、“瞑想のワイン”の別称を持つ「アマローネ」で有名な製法で、ロゴダジも採用しています。

専用ルームで扇風機を用いて20~35日間乾燥。水分を飛ばして理想の糖度に達したら発酵へ。こうしてできた凝縮感の高いワインをブレンドしたアイテムが、ロゴダジのラインナップに登場しているのです。

■滓(おり)の旨味を活かす樽管理

滓(おり)の旨味を活かす樽管理

発酵を終えたワインは、その特徴に応じて樽かステンレスタンクに。樽に注がれたワインは、12~18カ月の間毎日専任担当者によってひと樽ひと樽、下に沈んだ滓を攪拌する“バトナージュ”という作業を行っています。この作業はフランスの銘醸地ブルゴーニュ地方で盛んで、おもに滓の旨味をワインに移す目的で施すものです。

ちなみにステンレスタンクに注がれたワインにも、12~18カ月間、週に2~3回バトナージュを行い、より風味や味わいの豊かなワインになるよう努めています。

続いてはブルガリアワインの美味しさが良く分かる、ロゴダジのおすすめワインを紹介しましょう。

ぜひ飲んでおきたいロゴダジワイン

ぜひ飲んでおきたいロゴダジワイン

シャルドネ・ヴェルメンティーノ
■タイプ/白・辛口
■ブドウ品種/シャルドネ60%、ヴェルメンティーノ40%
■おすすめの温度/10~12℃

シャルドネとイタリアで有名なヴェルメンティーノのブレンド。淡い黄金色で熟した果実のリッチな香り、酸味はまろやかで果実味は芳醇です。食事との相性が良く、シーフード料理や、グラタンなどのクリームベースの料理などにも良く合います。

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カベルネソーヴィニョン・カベルネフラン・メルロー

カベルネソーヴィニョン・カベルネフラン・メルロー
■タイプ/赤・フルボディ
■ブドウ品種/カベルネソーヴィニョン60%、カベルネフラン30%、メルロー10%
■おすすめの温度/18~20℃

カベルネソーヴィニョン・カベルネフラン・メルローのブレンドはフランス・ボルドー地方と同じスタイル。熟した果実のようなふくよかな香りで、口当たりは優しいがタンニンはしっかり。ローストビーフや焼肉とともに味わいたい1本です。

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アーティス

アーティス
■タイプ/赤・フルボディ
■ブドウ品種/カベルネソーヴィニョン85%、カベルネフラン15%
■おすすめの温度/18~20℃

「アーティス」とはラテン語で“芸術”の意。熟した果実やバニラの香りで、陰干しブドウを採用しているため凝縮感が高く、骨格のしっかりしたワインに仕上がっています。イタリアの銘醸ワイン「アマローネ」を彷彿させる重厚さを持つ赤ワインです。

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知る人ぞ知るブルガリアワイン。この機会にコスパにも秀でたワインを飲み、紀元前にトラキア人が築いたワイン文化に思いを馳せてみませんか?

ライタープロフィール

とがみ淳志

(一社)日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート/SAKE DIPLOMA。温泉ソムリエ。温泉観光実践士。日本旅のペンクラブ会員。日本旅行記者クラブ会員。国内外を旅して回る自称「酒仙ライター」。

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