ワインは樽で育つ!熟成方法と樽の種類による味の違い
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ワインを樽で熟成する理由とは
できたてのワインは、香り、甘み、酸、渋みなどのバランスが悪く、固くとげとげしい印象があります。これをまろやかな味わいに変化させるために、樽などを使って熟成させます。また、樽からタンニンや香りがワインに移り、ワインの味わいに厚みや複雑性を与えます。
熟成に使われるのは、主に木製の樽、ステンレス製のタンク、コンクリート製のタンクの3種ですが、どれを使うかに作り手のこだわりが現れます。どの樽を使って、どれくらい熟成させるか、新樽と2回目以上の樽をいかに使うか、などを計算してワインの風味をコントロールしています。
木製の樽を使ったワインの特徴
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現在の樽には、ほぼオーク(樫の木)が使われています。オーク樽はバニラのように甘い香りやバターの様な乳製品的な香りも加わり、複雑でコクのある味わいを与えます。また樽の内側を焼いて使うため、トースト香も加わります。シャルドネには樽がよく用いられますが、樽の香りとシャルドネは相性がよく、独特の香りを醸してくれます。
また、樽は木を合わせて作っているため、ステンレスタンクと違い密閉性が低くなります。木目からの微量の酸素と触れ合うことで、ワインの熟成がより進み、ワインの色や味わいが濃くなるというのも特徴です。
ちなみに、初めて使う樽は新樽と言われ、新樽熟成の方が樽の影響が強く出ます。その後、年月を経るごとに樽の影響はどんどん弱くなり、5年を過ぎると古樽と呼ばれます。ワイナリーに見学に行った際などは、樽の生産地や新樽と古樽の使われている割合など、樽に注目してみるのも面白いでしょう。
ステンレスやコンクリートのタンクを使ったワインの特徴
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ステンレスやコンクリートのタンクは、木製と違ってタンクからの影響が少ないため、ブドウ本来の特徴を存分に出したい時に使われます。
特に、白ワインを熟成する時に使用されることが多いようです(ただし、シャルドネは樽熟成のものも多い)。ステンレスタンクは空気を通さないので、酸化を防ぐ効果があり比較的低い温度で保管することができるため、ブドウ自体の特徴やすっきりとしたフレッシュさが残り、果実味を感じやすくなります。
意識して飲むと、樽熟成とそうでないワインの違いが分かるようになります。まろやかで濃厚な味わいが好きな方は樽熟成、キリッとフレッシュな味わいが好きな方はステンレスタンク熟成を好む傾向があるようです。
このように熟成方法による違いを知ると、さらにワインがたのしくなるでしょう。