ワインがおいしくなる!? ポアラーとはどんな器具?
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デキャンタージュとポアラー
熟成が進行中の比較的若いワインは、まだ味わいが硬かったり香りが十分に出ていないことが多く(このような状態をワインが「閉じている」と言います)隠れたおいしさを引き出すためにデキャンタージュを行って、ワインを空気に触れさせる(酸化させる)事があります。
デキャンタージュとはワインをボトルから別の容器に移すことで、ボトルの底に沈んだ澱を取り除いたり、ワインを素早く空気に触れさせて香りや味わいを引き出す(ワインを「開かせる」と言います)役割があります。
本来は、長い熟成の間にコルクを通じて少しずつ酸化させることで香りや味わいが開くのですが、デキャンタージュはワインを急激に開かせた状態で、厳密に言うとゆっくりと熟成させたものとは異なります。しかし、何十年もの熟成を待てない場合や、開けたワインが予想以上に若く感じた場合などにはデキャンタージュは大変効果的で、おいしく味わうための最善の方法です。
ただし、このデキャンタージュには少し技術が必要です。レストランなどでソムリエが格好良くデキャンタージュをする姿を良く見かけますが、これが簡単そうに見えて結構至難の技だったりします。
そんな時に役に立つのが「ポアラー」です。
手軽に使えるポアラーの仕組み
ポアラーの仕組みは、「ベンチュリ理論」という工業用に気体や液体の流速度を計測するのに応用される理論をもとにつくられています。砂時計のようにパイプの一部が細くくびれたデザインの部分を液体が通過する時、流速度が自然に上昇し、その際バキューム効果が発生するため空気を引き込み、酸化効果を自然と引き起こすというもの。なんだかちょっと難しそうですが、簡単に言うとワインを注ぐ時、急激に多くの酸素を取り込むことでワインを開かせるということです。
ちょっと話はそれますが、ワインの入ったグラスをまわしている光景を目にすることがあると思います。これもワインを空気に触れさせることによってワインを酸化させているのです。
ポアラーには、注ぎ口につけるタイプやワインを注ぐ時に通すカラフェのようなタイプなど色々な種類がありますが、やっていることは皆同じで、ワインを空気に触れさせることによってワインを適度に酸化させ、角をとったまろやかな味わいにしてくれる効果があります。
価格は、500円位から1万円位するものまで様々です。
便利な機能もいっぱい!ポアラーの種類
ポアラーには、様々なタイプがあります。古代ギリシャでワインやブドウの運搬・保存のため使用されていた壷(アンフォラ)をイメージしたデザインのものや、取り外し可能な開閉式フタが付いているアウトドアや大人数のパーティーで活躍するタイプのもの、ステンレスの棒を冷凍庫で冷やしておき、先端のポアラーに取り付けてボトルに差し込むだけでワインを冷やしながらまろやかにしてくれるという一石二鳥のものや、器具を100ミリリットルのワインに1秒間浸すとそのワインを1年間セラーで寝かせた味わいと同じになるとうたうものもあります。
手軽なゆえに贈り物にも大変喜ばれるポアラー。1本のワインでの酸素の取り入れ方の違いを楽しんだり、そのままでは味わえなかったワインの別の顔を探してみたり、様々なアイテムを使ってまたひとつワインの魅力に触れてみてはいかがでしょうか。
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