オーストラリアワインの代表的なブドウ品種「シラーズ」について
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オーストラリアにはもともとブドウが存在しなかった?
ユーカリのようなさわやかさを持つオーストラリアワイン。オーストラリア大陸にはもともとブドウの敵である害虫やウィルスがいないため、安定的に高品質なブドウを産出しています。
今でこそ有名なワインの産地であるオーストラリアですが、かつて、この国にはブドウ自体が存在しませんでした。イギリス人の入植者が初めてブドウを持ち込んだのが1788年のこと。そこからさらに50年ほどの時を経て、オーストラリアでのワイン造りがスタートしたのです。その生産量はどんどん拡大し、イギリスにも輸出されるように。当時は甘口のデザートワインがおもでしたが、昨今ではすばらしい品質の高級ワインも生産されるようになりました。
オーストラリアワインの特徴は、あまり長期間熟成させなくても楽しめるものが多いところ。
大きく3つに分けられるオーストラリアのワイン
オーストラリアワインの格付けは、大きく3種類に分けらており、なかでももっとも格付けが高いのが「ヴァラエタルワイン」です。この「ヴァラエタルワイン」のラベルにブドウ品種、生産地、収穫年が表示されており、ブドウ品種の割合も定められています。
続く「ヴァラエタルブレンドワイン」は、ブレンドした割合の多いブドウ品種から表示されているのが特徴。そして、タイプ名としてヨーロッパの有名ワイン産地を使用・表示し、もっともリーズナブルなテーブルワインとして親しまれていた「ジェネリックワイン」は、特にブドウ品種も定められておらず、主に国内消費向けにつくられていたワインでしたが、EUとの協定で、2010年以降は使用が禁止されました。
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主なオーストラリアワインの産地と特徴を知る
オーストラリアワインの代表的なブドウ品種はシラーズ(シラー)。フランス、ローヌ地方でつくられているものよりも果実味があり、親しみやすい味わいとなっています。オーストラリアのブドウの生産地は全般的に温暖な気候で乾燥しているため、ブドウが良く熟れるのです。
代表的な生産地は、国土の南側1/3の比較的冷涼な地域に集中しており「南オーストラリア州」、「ヴィクトリア州」、「ニュー・サウスウェールズ州」の3つの州で生産量の95%近くを占めています。
なかでも有名なのは、国内生産量のほぼ半数を占める南オーストラリア州。生産地の中でも最も冷涼な地域で、シラーズで有名なバロッサ・ヴァレー、白ワインと濃厚な赤ワインが作られるマクラーレン・ヴェイル地区、クナワラ地区やクレア・ヴァレーなどがよく知られています。
また、ヴィクトリア州は、ピノ・ノワールやシャルドネ、シラーズの栽培がさかん。特にヤラ・ヴァレーはオーストラリアで最高のピノ・ノワールを生み出す産地として名をはせています。ニュー・サウスウェールズ州はシドニー周辺の比較的手ごろなワイン産地。西オーストラリア州は生産量は少ないですが比較的乾燥しており、高品質のブドウが栽培できるため、高級ワインの産地として注目されています。
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