SDGsにもつながる、環境にやさしいお酒を選びましょう
SDGs「エス・ディー・ジーズ、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の達成に向けて、私たちお酒好きな消費者もなにかできないでしょうか? 環境問題に熱心に取り組んでいる企業のブランドや商品を選ぶこと、そして「分ければ資源、混ぜればゴミ」という意識でいきましょう。
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レジ袋と並んで注目されるPETボトルは悪?
2020年7月からレジ袋有料化(プラスチック製買物袋の有料化)がスタートしました。地球温暖化、マイクロプラスチックゴミ問題、海洋プラスチックゴミ問題、SDGsへの取り組みなどで注目が集まるプラスチック。
レジ袋と並び、私たちの生活に身近なプラスチック製品としてPETボトルがありますが、そもそもPETボトルとはどんなものでしょう?
PETボトルの原料は、石油からつくられる「ポリエチレンテレフタレート」と呼ばれる樹脂。英語で「POLY ETHYLENE TEREPHTHALATE」と書くため、その頭文字をとってPET(ペット)と呼ばれており、この樹脂を溶かして糸にしたものが繊維、フィルムにしたものが食品包装フィルム、ふくらませたものがPETボトルなんだそうです。
PETボトルのリサイクル率は?
PETボトルは、ガラス瓶の重さの1/7~1/10と軽量で、落としても割れにくく、ゴミ捨ての際も便利ですが、どのくらい使われ、リサイクルされているのでしょう?
日本コカ・コーラ「容器の2030年ビジョン」によると、2017年の「日本のプラスチック製品使用量におけるPETボトルの割合」は約6%。PETボトルリサイクル推進協議会の2017年データによると、そのPETボトルの回収率は92.2%で、リサイクル率は84.8%。欧州のリサイクル率は41.8%、アメリカは20.9%なので、日本人はPETボトルリサイクルにとても熱心に取り組んでいるんですね。
日本でのPETボトルは必ずしも悪者と決めつける必要はなさそうで、むしろリサイクル優等生と言えるのかしれません。
環境問題への新たな取り組み~サントリー新浪社長~
アールプラスジャパンの設立記者会見の様子。前列の3人は、左からレンゴーの大坪清社長、サントリーの新浪剛史社長、東洋紡の楢原誠慈社長。
日本ではPETボトルのリサイクルが進んでいるようですが、「たのしいお酒.jp」でも応援したい、さらに素晴らしい取り組みが発表されましたのでご紹介します。2020年6月30日、サントリー、東洋紡、レンゴーなどを中心とした12社が、「株式会社アールプラスジャパン」の設立を発表。植物由来のプラスチック製造に向けた研究開発を行っている、アメリカのアネロテック社が持つ、「使用済みプラスチックからプラスチックの原料を再生産する技術開発」を支援していくのだそうです。
現在、使用済みプラスチックの多くは熱エネルギーとして再利用されていますが、これを熱利用ではなく、プラスチックの素材として効率的に再生する新技術の実用化に向けて支援し、2027年までに商業プラントを建設して、新技術を使った使用済みプラスチックの再利用を実用化したいとしています。
アネロテック※の新技術は、プラスチックを再利用する際の工程が一つ少なく、使用エネルギーも抑えることができるそう。
※アネロテックは2012年からサントリーと共同して植物由来のペットボトル開発に取り組んできた、アメリカのバイオベンチャーです。
酒類メーカー各社のチャレンンジ
リサイクルPETを使用した商品例。
サントリー食品インターナショナル株式会社では、「サントリー天然水」ブランドを中心に、植物由来原料100%使用ペットボトルの2023年導入に向けて取り組み中です。
サントリーではワインにも。
また、酒類メーカー各社でも、リサイクルPETボトルを採用する動きがあります。例えばサントリーでは、2011年に国内飲料業界で初めて「ペットボトルのボトルtoボトルリサイクルシステム」を開発。2018年には、世界で初めて最先端リサイクル技術である「FtoPダイレクトリサイクル技術」を開発したそうです。
サントリーワインインターナショナル株式会社では、2020年夏頃から720ミリリットルのワインのPETボトルを100%リサイクルペットに順次切り替えることも発表しています。
キリングループも2027年までにペットボトル用樹脂のリサイクル樹脂使用率を50%に高めると発表。
その他の大手グループも続々と改善への取り組みを公表しています。
私たちお酒好きの消費者はどうすればよい?
分ければ資源、混ぜればゴミ!
私たち消費者には、なにができるのでしょうか? 環境にやさしい取り組みを推進している企業のブランド・商品を選択・購入するのは、こういった取り組みを応援することにつながるので素晴らしいですね。
もうひとつ、重要なのは「分ければ資源、混ぜればゴミ」ということ。
日本では家庭ゴミ、住宅街のゴミ集積場所では、かなり分別が進んでいます。いっぽうで街中・郊外の自動販売機横などにある屋外回収BOXでは、瓶・缶・PETボトル以外のゴミが捨てられていたり、飲み残しやタバコの吸い殻などの異物混入が目立つのも現実。そうなると衛生面からリサイクルできなくなるとのこと。
私たち「お酒を愛する消費者」は、キチンと率先して分別し、みんなのお手本になりたいですね。
「分ければ資源、混ぜればゴミ」。PETボトルに限らず、ビールやチューハイの缶、ワインや日本酒などのボトルも含めてしっかりと分別するのはもちろん、環境にやさしい活動を継続している企業やブランドを応援していきたいものです。
【ご参考】
▽サントリーグループの環境負荷低減活動
▽容器包装の取り組み
アサヒグループ 環境への取り組み
キリングループ環境ビジョン2050
キリングループ やさしいパッケージ
メルシャン ワインのためのペットボトル
サッポログループのサステナビリティ