シャルドネとは? 世界で人気の白ワイン用ブドウ品種の特徴や魅力を知ろう!
シャルドネはフランス・ブルゴーニュ地方で生まれた白ワイン用ブドウ品種のひとつ。「白ワインの女王」と賛美される高貴な味わいが魅力です。今回は、シャルドネの概要やシャルドネで造ったワインの香りや味わい、おもな産地、特徴的な製法などを紹介します。
- 更新日:
白ワイン用ブドウ品種シャルドネの特徴や味わい、銘醸地などについて、基本的な情報をまとめて紹介します。
シャルドネは「白ワインの女王」と称されるブドウ品種
evrymmnt / Shutterstock.com
シャルドネは、フランスのブルゴーニュ地方マコネ地区発祥の白ワイン用ブドウ品種です。黒ブドウ品種のピノ・ノワールと、白ブドウ品種のグエ・ブランの自然交配によって誕生しました。比較的病気に強く、環境適応力が高いことから、フランスなど旧世界をはじめ、アメリカやチリ、日本などの新世界を含めて、世界40カ国以上で栽培されています。
シャルドネを原料とした白ワインは、手ごろなデイリーワインから世界最高峰と絶賛される「モンラッシェ」や「コルトン・シャルルマーニュ」、「ムルソー」や「シャブリ」に至るまで、選択肢の幅が広いのが魅力。世界中で作られている品種なので、各地のテロワールから生まれるブドウの味わいも多彩で、好みに合わせて選ぶことができます。
シャンパーニュの原料としても使われるシャルドネは、「白ワイン用ブドウ品種の女王」と称され、世界中のワインファンを惹きつけています。
シャルドネの香りや味わいの特徴
New Africa / Shutterstock.com
シャルドネはさまざまなワインの原料に用いられていますが、ほかのブドウ品種と比べて、シャルドネ自体の香りや味わいに突出した特徴はなく、「個性がないのが個性」といわれます。
とはいえ、ニュートラルなブドウ品種だからこそのメリットがあり、栽培地の土壌や気候、醸造法によって香りや味わいに違いが生まれやすく、各地でバラエティー豊かなシャルドネのワインが造られています。
一般に冷涼な地域で育ったシャルドネで造ると、リンゴや柑橘の香りなどが感じられるフレッシュでエレガントな味わいに。温暖な地域で育ったシャルドネで造ると、ボリュームとコクがあり、トロピカルフルーツのようなリッチな味わいのワインになりやすいといわれています。
シャルドネで造ったワインの味わいを産地ごとに飲み比べてたのしめるのも、シャルドネの魅力のひとつといえるかもしれません。
世界を魅了するシャルドネのおもな銘醸地
Brandon Bourdages / Shutterstock.com
シャルドネは世界各国で造られている国際品種です。ここでは、ブドウ品種シャルドネのおもな銘醸地についてみていきます。
フランス・ブルゴーニュ地方のシャルドネ
フランスのブルゴーニュ地方では、地区ごとに個性豊かなシャルドネが作られています。一般的にブルゴーニュワインは単一品種で造られるため、生育環境の異なるシャルドネ100%の味わいをたのしめるのが魅力です。
ここでは、代表的な地区と、シャルドネで造った白ワインの味わいの傾向、ぜひ押さえておきたいワイナリーを紹介します。
シャブリ地区
シャブリの白ワインは、ミネラルが豊かでキレのある酸が際立つ、さわやかな辛口が特長。「辛口ワインの代名詞」とも呼ばれます。
<押さえておきたいワイナリー>
シャブリ随一の造り手「ウィリアム・フェーヴル」。シャブリにある7つの特級畑(グラン・クリュ)のうちの5つを所有し、質の高い白ワインを世に送り出しています。
マコネ地区
「シャルドネの起源」とされるマコネ地区のシャルドネは、フレッシュで軽やか、フルーティーな辛口で、若飲みタイプが目立ちます。後述のコート・ド・ボーヌのワインが高騰するのと比較して、マコネのワインは高品質の割にお値ごろ感が増しています。
<押さえておきたいワイナリー>
由緒あるブドウ栽培家の流れを汲む「ルイ・ジャド」。マコネだけでなく、コート・ド・ボーヌの高額な白や、コート・ド・ニュイの高額な赤、ブルゴーニュのお手ごろな赤、白まで生産しています。
コート・ド・ボーヌ地区
コート・ド・ボーヌのなかでも3地区のシャルドネが有名です。
◇モンラッシェ
ミネラル感が豊富でエレガント、シャープな酸味があり、なめらかで奥深い味わいの辛口白ワインです。
◇コルトン・シャルルマーニュ
濃密で繊細な酸味とミネラル感のある力強い味わいで、気品も兼ね備えています。
◇ムルソー
若いうちはしっかりとした芳醇な味わいで、熟成により調和のとれた上品な味わいに変化します。
<押さえておきたいワイナリー>
ブルゴーニュを代表する白ワイン生産者「ドメーヌ・ルフレーブ」、その流れを汲むワイナリー、「オリヴィエ・ルフレーヴ」に注目を。「ブルゴーニュの宝石」と呼ばれるシュヴァリエ・モンラッシェなどの畑を所有し、高品質の白ワインを安定的に生産しています。
このほか、ブルゴーニュ全域で幅広くワイン造りを行っている「アルベール・ビショー」も、ぜひ押さえておきたいワイナリーのひとつです。
barmalini / Shutterstock.com
フランス・シャンパーニュ地方のシャルドネ
シャンパーニュ地方のシャルドネ主要産地のひとつが、コート・デ・ブラン。「コート・デ・ブラン」はフランス語で「白い丘」を意味します。その名のとおり白亜質石灰岩の土壌が広がり、ミネラルたっぷりのシャルドネが作られています。
一般的にシャンパーニュ(シャンパン)は、シャルドネ単一ではなく、ピノ・ノワールやピノ・ムニエなどの黒ブドウ品種をブレンドして造られます。もちろん単一品種で造られることもあり、「ブラン・ド・ブラン」と呼ばれるシャルドネ100%のシャンパーニュは希少で、少し高額になります。
<押さえておきたいワイナリー>
1811年創業の老舗ワイナリー「ペリエ・ジュエ」。英国王室をはじめ世界のセレブリティに愛される洗練されたシャンパーニュを生産しています。「ペリエ・ジュエ ブラン・ド・ブラン」はとくに有名。
アメリカのシャルドネ
アメリカのシャルドネはおもにカリフォルニア州で造られていて、フランスに次ぐ一大産地となっています。温暖で日照時間が長いため、コクがあり、トロピカルフルーツのような果実味あふれるシャルドネが育ちやすいのが特徴です。
<押さえておきたいワイナリー>
「カリフォルニアワインの父」と称えられるプレミアムワインの名手、故・ロバート・モンダヴィ氏が手がけた「ロバート・モンダヴィ」や、世界的に絶賛されるピノ・ノワールに加えて、シャルドネも注目を集めている「カレラ」、カリフォルニアでトップクラスのワイナリーとして称賛されている「ケンダル・ジャクソン」などが挙げられます。
FloridaStock / Shutterstock.com
チリのシャルドネ
チリのシャルドネは、トロピカルな香りと果実味が強いのが特徴。セントラル・ヴァレーのなかでも、火山灰質の土壌と乾燥した気候のマウレ・ヴァレーで生産されているシャルドネは、とくに果実味が強いことで知られます。また、カサブランカ・ヴァレーでは、はつらつとした果実味あふれるシャルドネが作られています。
<押さえておきたいワイナリー>
チリ産プレミアムワインの代名詞的存在であり世界中で愛されている「モンテス」や、国内最大級の家族経営ワイナリーで国際的にも評価の高い「ルイス・フェリペ・エドワーズ」、自転車が描かれたラベルも印象的な「コノスル」などが人気です。
これまで、世界各国のシャルドネの銘醸地を紹介しましたが、日本国内でも長野県や山梨県、福島県などのブドウ畑から、世界的にも高評価の素晴らしいシャルドネが作られるようになってきました。国産のシャルドネワインにも、ぜひ注目してみてくださいね。
白ワインのラベルで見かける「シャルドネ」の意味とは?
Photosiber / Shutterstock.com
白ワインのラベルに、「Chardonnay(シャルドネ)」と表示されていることがありますが、これはシャルドネを原料としたワインを指します。
ただ、必ずしもシャルドネ100%という意味ではなく、シャルドネを主体にほかのブドウをブレンドした白ワインでも、シャルドネと記載されることがあります。たとえば、フランスやオーストラリア、ニュージーランドなどでは、単一品種を85%以上使用していれば、そのブドウ品種名を表示してよいことになっています。
一方で、シャルドネ100%でも「シャルドネ」と表示されないこともあります。たとえばフランスのブルゴーニュでは、ほとんどが単一品種で造られることが周知されているため、あえて記載しないのが主流です。
シャルドネの白ワインは製造方法によってスタイルが変わる
MikroKon / Shutterstock.com
シャルドネの白ワインは、製造方法によっても香りや味わいが大きく違ってきます。ここでは2つの製法にフォーカスして、違いをかんたんに紹介します。
ステンレスタンクか樽か
発酵や熟成時にステンレスタンクを使うか樽を使うかで、ワインのスタイルが変わります。
一般的には、ステンレスタンクを使うと、フレッシュで果実味と酸が豊かなワインになりやすく、樽を使うと、樽由来のバニラや香ばしいトーストの香りを持ち、リッチでコクのあるしっかりとしたワインに仕上がりやすいといわれています。
マロラクティック発酵を取り入れるか否か
マロラクティック発酵(M.L.F)という手法を取り入れるか否かでも、味わいは違ってきます。
マロラクティック発酵は乳酸菌の働きを利用した発酵方法で、この手法を取り入れると、ワインの酸味がやわらいでまろやかになり、芳醇な香りや乳製品のようなニュアンスが加わって、リッチな味わいになるといわれています。基本的に、樽熟成させるシャルドネではマロラクティック発酵を行うことで香りに奥行きが生まれて複雑味が増します。
なお、シャルドネでは一般的にマロラクティック発酵を行いますが、酸を活かしたフレッシュな味わいに仕上げたい場合など、スタイルによってはあえて行わないこともあります。
白ワイン用ブドウ品種のシャルドネは、テーブルワインから高級ワインまで幅広く用いられています。栽培地のテロワールや生産者のこだわりが反映された個性豊かなシャルドネのワインを、ぜひ飲み比べてみてくださいね。