赤ワインと白ワインの異なる成分と味わいを知ろう!
「ワイン」とひとくちにいってもその味わいはさまざまです。色の違いはもちろんのこと、同じ色のワインでも軽いものや重いもの、辛口や甘口など多種多様です。その違いは、一体何が関係しているのでしょうか? ブドウ品種が違うからだけなのでしょうか? その違いがどの様にして起こるのか、また、その味わいや成分について紹介していきます。
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ワインの味わいとは
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ワインの味わいを大きく左右する要素は、おもに以下の4つといわれています。
一つめのもっとも基本といえるのは、ワインの原料となるブドウ品種。果皮が厚い黒ブドウからは渋みの強いワインが造られますし、良く熟したブドウからは力強いワインが造られます。
二つめは自然の環境(テロワール)。産地の気候や土壌、地勢などの自然由来の個性で、原料となるブドウに大きく影響を与えます。
三つめは造り手。造り手の畑仕事によってブドウの味わいが、醸造方法によってワインの味わいが変わります。
四つめはワインの原料となるブドウの収穫年を表すヴィンテージ。その年の気候によって原料となるブドウの味わいが変わります。
これらの製造環境を経て造られたワインは、「渋み(タンニン)」「酸味」「アルコール度数」「果実味」「甘み」という5つの要素で、その味わいの特徴を知ることができます。そして、これらの各要素の度合いの総体が「ボディ」と呼ばれるもので、大きければ飲みごたえのあるフルボディ、中程度ならミディアムボディ、小さいとライトボディと表現されます。
ちなみに、長期熟成に向くワインは、この4つのバランスが取れているものが好ましく、アルコールや果実味がとくに際立ったワインは、早飲みタイプと言えるでしょう。
複雑な要素が織りなすワインの味わいは多種多様であり、それが魅力であると同時に、飲む人によって好みも分かれます。おいしいと思えるワインを選べるようになるためには、まず自分の好みがどの様なワインなのかを知ることが重要になってきます。
赤ワインの味わいを作る成分と要素
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「赤ワインの成分」と聞いてまず思い描くのは、かつての赤ワインブームの時に注目された渋み成分であるポリフェノールではないでしょうか。
ポリフェノールとは、おもに黒ブドウの果皮や種子などに含まれるカテキン、フラボノイド、タンニンなどの成分の総称です。健康や美容などによいといわれるポリフェノールに目がいきがちですが、ワインに含まれる成分のほとんどが味わいの要素に関わっており、これらの量のわずかな違いやバランスによってワインの味わいが大きく変わります。
赤ワインの味わいの中でも特徴的な要素は、酸味と渋みであり、この2つが中心となって味わいの骨格を形成します。ほとんどの赤ワインは、味に丸みを持たせるマロラクティック発酵をしているので、それによって生じた乳酸のおかげで、鋭角的な酸味は比較的抑えられています。
ただし、未熟なブドウを使用した場合は、発酵によって変化しない酒石酸が多く含まれるため、酸味を強く感じることがあります。
また赤ワインは、果皮や種子を漬け込みながら醸造するので、タンニンの抽出の度合いによって渋みの強さが変わってきます。熟成した赤ワインの場合は、タンニン分が穏やかに酸化される事で丸みのある味わいになり、ボディ感や奥行きが増します。
白ワインの味わいを作る成分と要素
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白ワインの味わいの中でも特徴的な要素は有機酸の含有量です。有機酸とはリンゴ酸や酒石酸などのことで、ワインを飲んだ時に感じる酸味に相当します。
白ワインの味わいの中心となっているのがこの酸味で、マロラクティック発酵をしないドイツやアルザスなどの白ワインは有機酸が主体のシャープでキリッとした味わいになります。
一方、一部のブルゴーニュのワインのようにマロラクティック発酵をする白ワインは、リンゴ酸から変化して生じた乳酸が多く含まれるのでまろやかな味わいになります。
赤ワインとは異なる醸造方法なので、ポリフェノールを含むタンニンの含有量が少なく、白ワインの味わいに渋みや苦みがプラスされることはほとんどありません。
出来あがったワインの味わいからその産地や天候、醸造方法や造り手のこだわりなど多くの要素を紐解くことができるのは、ワインならではのたのしみ方のひとつではないでしょうか。ひとくちひとくちにその奥深さを感じてみてください。