アイスワインとは? カナダ産が人気の理由とおすすめ銘柄、おいしい飲み方を紹介

アイスワインは、凍結したブドウを摘み取り、凍ったまま圧搾して造られる極甘口のデザートワイン。おもにドイツやオーストリア、カナダなどの寒い地域で生産されています。今回は、世界最大級の生産地カナダのアイスワインに着目し、人気の理由やおすすめ銘柄、たのしみ方を紹介します。
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アイスワインとは、自然に凍結したブドウから造られるデザートワインのこと。ここでは、カナダ産のアイスワインにフォーカスし、その魅力を深掘りします。
アイスワインといえばカナダ! といわれる理由

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アイスワインは、氷点下で凍った遅摘みブドウを丁寧に手で摘み、凍結した状態のまま圧搾して造られるデザートワイン。ブドウ果粒中の水分は凍っていますが、糖分などのエキスは凍結していないため、凝縮された高濃度の果汁が得られます。これを発酵させることで、極甘口のワインに仕上がります。
アイスワインは手間がかかるうえにロスも多く、一般的なブドウに比べて収穫量も少ないため、価格が高くなる傾向があります。
おもな生産地はドイツやオーストリア、カナダなどの寒い地域。「アイスワイン」と名乗るための条件や造り方(製造方法)は生産国ごとに異なります。近年は中国の寒冷地でも生産が行われていますが、なかでも注目されているのが、カナダのアイスワインです。
ここでは、カナダのアイスワインがなぜ有名なのか、その理由を多方面からみていきます。

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寒冷な気候の産地が多く、アイスワインの生産に適している
アイスワインは、一般的に外気温が氷点下7℃以下(カナダでは氷点下8℃以下が基準)になる極寒の環境下で、樹上で自然に凍結したブドウを収穫して造られるワインです。
「世界最大級のアイスワインの生産国」と呼ばれるカナダでは、冬季に氷点下まで気温が下がる地域が広く分布しており、アイスワインに必要な自然条件に恵まれています。なかでもカナダの主要産地では、夏に十分な日照と気温が確保され、ブドウが成熟して糖度がのる環境が整っている点も特徴です。

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アイスワインに関する厳格な規定がある
カナダ産アイスワインの人気の秘密のひとつに、アイスワインに関する厳格な規定が存在することが挙げられます。
カナダ政府が定める「食品医薬品法(Food and Drugs Act)」では、アイスワインを「自然に凍結したブドウのみで造られるワイン」と規定しています。そのうえで、具体的な生産・表示の基準については、各州の法律に基づいて運用される団体に委ねられています。
生産や表示に関する規定は、州ごとに異なります。
なかでも主要産地であるオンタリオ州やブリティッシュ・コロンビア州では、V.Q.A.(Vintners Quality Alliance/ブドウ醸造業者資格同盟)が組織され、アイスワインに関する細かい規定を定めています。
一部抜粋してみていきましょう。
◆官能評価を含む検査を受け、合格すること
◆ラベルにヴィンテージを記載
◆樹上で凍ったブドウを、外気温-8℃以下で収穫
◆同一原産地のブドウを100%使用し、ラベルに記載された原産地名のブドウが85%以上使用されている
◆ブドウ品種は、認可されたヴィティス・ヴィニフェラ種またはヴィダルのみ使用可能
◆圧搾後、発酵タンク内でのブリックスは最低32°であること。また、発酵タンクの中でブレンド後の平均ブリックスが35°以上のマストを醸造すること。
◆シャプタリザシオン(補糖)は禁止
◆醸造後瓶詰時の残糖は100g/L以上であること。
なお、ブリティッシュ・コロンビア州ではV.Q.A.に加えて、WGBC(Wine Growers British Columbia)というワイン生産者団体が定める規定をクリアする必要があります。
(参考資料)
『日本ソムリエ協会 教本2022』

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おもな産地はオンタリオ州とブリティッシュ・コロンビア州
カナダは日本の約26倍という広大な国土を持ち、同じ国内でも地域によって気候や自然条件が大きく異なります。アイスワインの主要産地は、カナダ中東部、五大湖の北に位置するオンタリオ州と、西端に位置するブリティッシュ・コロンビア州です。
前項では制度の観点から触れましたが、ここでは地理的な観点から2つの州の特徴をみていきましょう。
◆オンタリオ州
アメリカとの国境に位置するナイアガラの滝で有名なオンタリオ州は、カナダで2番目に大きな州で、首都オタワや最大都市トロントを中心に発展してきました。日本と同様に四季がはっきりしており、夏には30℃を超える日もありますが、冬の寒さは厳しく、地域によっては氷点下13℃以下になることも。
五大湖の影響で冬の寒さは安定しやすく、アイスワインに必要な自然凍結の条件やブドウ栽培に適した条件が整いやすい地域です。とくにナイアガラ地域はカナダを代表するワイン産地として知られ、世界で高い評価を受けています。
◆ブリティッシュ・コロンビア州
太平洋側に位置するブリティッシュコロンビア州は、山脈に囲まれた内陸部とバンクーバーなどの沿岸部で気候が大きく異なります。
内陸のオカナガン・ヴァレーは、夏に気温が高く雨も少なく、日照にも恵まれ、冬は厳しい冷え込みが訪れるため、ブドウの成熟と自然凍結の好条件がそろいやすいといわれています。
ちなみに、オンタリオ州ナイアガラ地域のナイアガラ・オン・ザ・レイクは、北緯約43度、ブリティッシュ・コロンビア州のオカナガン・ヴァレーは北緯約49〜50度。いずれも東京(北緯約35度)よりも北に位置することがわかります。
(参考資料)
キッズ外務省|面積の大きい国

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原料ブドウの主流はヴィダル
カナダ産アイスワインの原料として、広く使用されているブドウ品種はヴィダル(Vidal)です。
ヴィダルは茎が強く耐寒性にすぐれ、寒冷な気候でも安定して実をつける特性を持つことから、カナダのアイスワイン造りに適した品種として定着してきました。果皮が厚く、収穫時期を遅らせても果実が傷みにくいため、アイスワインの製法と相性がよいとされています。
また、ヴィダルは酸をしっかりと保ったまま高い糖度に達しやすい品種であることも特徴です。氷点下8度以下での自然凍結によって糖分が凝縮されるアイスワインでは、甘味と酸のバランスが品質を左右しますが、ヴィダルはこの条件を満たしやすいブドウとして評価されています。
カナダの主要産地では、アイスワインの原料に使用できる品種がV.Q.A.によって規定されており、ヴィダルはその代表的な存在です。リースリングやカベルネ・フランなどのヴィティス・ヴィニフェラ種を使ったアイスワインも増えていますが、カナダ産アイスワインを語るうえで、ヴィダルは欠かせないブドウ品種のひとつといえるでしょう。
カナダ産アイスワインのおすすめ銘柄は?

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アイスワインの起源はドイツにあり、カナダで本格的な生産が始まったのは1980年代以降のこと。オンタリオ州ナイアガラ・オン・ザ・レイクのイニスキリン・ワインズが、1983年に凍結したヴィダル種のブドウからアイスワインを造り、高い評価を得たことが、カナダ産ワイナリー発展のきっかけになったといわれています。
ここでは、カナダ産アイスワインのなかでも、歴史や評価の面からおすすめ銘柄として名前が挙がる生産者を紹介します。
現在では、パイオニア的存在であるイニスキリン・ワインズをはじめ、オンタリオ州のピリテリー・エステート・ワイナリー、ブリティッシュ・コロンビア州のミッション・ヒル・ファミリー・エステート、サマーヒル・ピラミッド・ワイナリーなど、国内外から高い評価を受けてきた生産者が数多く存在します。
とはいえ、アイスワインは自然条件に大きく左右されるワインです。生産量は少なく、年ごとの凍結条件にも左右されるため、日本では状態のよい商品を安定して入手することが難しい場合もあります。
もし店頭などで見かける機会があれば、ぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか。
カナダ産アイスワインのたのしみ方は? ペアリングのポイントも確認

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濃厚な甘味としっかりとした酸味をあわせ持つアイスワインは、食後にゆったりたのしむのがおすすめです。おいしさを存分に味わうためには、冷蔵庫でよく冷やし、小ぶりのワイングラスに少量ずつ注いで飲むのがポイントです。
アイスワインだけをデザート感覚で味わうのもたのしいですが、甘味の強い果物やドライフルーツ、バニラアイス、焼き菓子などと合わせると甘味がより引き立ちます。
また、アイスワインは、塩気とコクのあるブルーチーズとも相性抜群。アーモンドやクルミなどのナッツ類ともほどよくマッチします。
一房のブドウから得られるアイスワインは、スプーン1杯分ともいわれています。希少性が高いため、価格はやや高めですが、信頼のおけるショップや旅先で出会った際には、ぜひ一度味わってみてください。

















