今夜も、お酒を、楽しく飲みたい 日本の酒景365

あなたの街の居酒屋で、隣の街の小洒落たバーで。
誰もが名を知るチェーン店から、名も無き小さな路地裏の店まで。
日本全国津々浦々、あらゆる街の、あらゆる酒場で、
毎日毎夜生まれては消えていく、
お酒がとりもつ一瞬の景色を切り取ります。

福島クラフトビールキッチンPOGO 造り手の想いが伝わるいっぱいで ビールがもっと好きになる

人気のクラフトビールを樽生で!ビール好きが集まるビアバー

オフィスビルの多い大阪・新福島駅周辺。ここ数年で、魅力ある個性的なお店が増え、仕事帰りの憩いの場として注目を浴びている。昨年1月にオープンした「 福島クラフトビールキッチンPOGO 」もそのひとつ。国内外の選りすぐりのクラフトビールが常時8種類、樽生で飲めるビアバーとして知られており、夕方18時の開店とともにビール好きが集まってくる。

大阪の箕面(みのお)ビールがきっかけで、クラフトビールのファンになったという店長の細見良輔さん。それ以来、専門店を巡ったり、ブルワリーに訪れて造り手と交流しながら、美味しいクラフトビールを出す理想のビアバーを追求し、形にした。

芝生に座ってビールで乾杯!遊び心が詰まった店内

店名の「POGO」は、飛び跳ねるという意味。「ぽんぽん跳ねて踊りたくなるような楽しいお店にしたいと思って付けました」と細見さんが教えてくれた。その名のとおり、お店の内装も個性的でワクワクする。

もともと繊維工場だったという古民家を、古い梁や階段を活かしてリノベーション。木をベースにして少し懐かしい雰囲気を残しつつ、あちこちに遊び心がプラスされている。

▲大きなパスタ鍋を利用したお店の間接照明がユニーク。

人工芝が敷かれた2階は特に好評で、芝生目当てで来るお客さんも。「外で飲むビールってやっぱり美味しいよね!」とお店の内装を相談していたデザイナーと話し合い、遊び半分で作ったものだとか。芝生のグリーンは目にもやさしく、足を伸ばして寛いだ気分でビールが飲めるのはうれしい。

▲人工芝が敷き詰められた2階の客席は、なごみの空間。

100%で造られたビール 120%の美味しさで提供

お店に入ると目につくのが、タップがずらりと並ぶ空冷式のビールサーバー。細見さんは、毎日一つ一つのビールを試飲して、炭酸ガスを調整し、一番いい状態で提供している。

▲左側が2℃、右側が5℃。2つの空冷式のビールサーバーの温度帯を調整し、ビールを最高の状態に保つ。

クラフトビールを瓶で出すお店も多いが、「サーバーで提供することの魅力は、世界に一つしかないビールを味わってもらえること」と、細見さんは言う。「ビールは、温度やグラス、泡の状態など提供の仕方ひとつで美味しくも不味くもなります。造り手が100%で出荷したビールを、120%でお客さんに飲んでもらうのがお店の役割なんです」と語ってくれた。

▲慎重な手つきでビールを注ぐ細見さん。ビールのスタイルごとに泡の立て方も変える。

お店で飲める8種類の樽生ビールは、樽が空になると新しい銘柄に入れ替わるので、いつ来ても飲み飽きることがない。細見さんのセレクトを楽しみに通う常連さんも多い。そのときどきでお気に入りの一杯を見つけたい。

ビールと相性のいい フードメニューが充実

この日は、生きた酵母のフレッシュ感が楽しめる「J-CRAFT芳醇のペールエール」を頼んでみた。「味の濃さとスッキリとした喉ごしが、どちらもバランスが良く、飲みやすいタイプです。食事にも合わせやすいですよ」と細見さんもおすすめ。美しい琥珀色のペールエールがサーバーから注がれて、ほどよく泡がのる。心地よい香りとやさしい苦味があり、爽快な飲み口だ。

▲その日に飲める樽生クラフトビールの特徴が詳しく書かれたメニュー。

ビールのお供に、常連さんにも人気の「唐揚げパクチーのっけ」をいただく。少しクセのあるパクチーのエスニックな風味と、ほのかなビールの苦味が見事に合う。衣にビールを使った「サンマのビアフリット」も美味。脂がのってジューシーなサンマに、濃厚なバジルソースがかかって、ビールの美味しさが引き立つ一品。

▲写真左・甘辛いタレがクセになりそうな「唐揚げパクチーのっけ」とバジルの風味が爽やかな「サンマのビアフリット」。 どちらもビールにぴったり。

メインの「仔羊のTボーンステーキ」から、デザートの「クラフトビールを使ったチーズケーキ」まで、しっかりと食事が楽しめるのもうれしい。軽くつまめる前菜もあるので、2軒目にお酒メインで楽しむなど、さまざまなシーンで活躍しそうだ。

▲写真左・しっかり食事を楽しみたいときにおすすめの「仔羊のTボーンステーキ」。写真右・今回は、フルーツビールの「EAR LGREY」で作られたという「クラフトビールを使ったチーズケーキ」。ビールの風味がほのかに感じられる。

国産のクラフトビールの美味しさを もっと知ってほしい!

「クラフトビールは、造り手との距離が近いところが魅力です。お店ではなるべく造った人の人柄や思いが伝わるように、お客さんとのコミュニケーションを心がけています。ビール造りへのこだわりやブルワリーの歴史を聞くことで、ビールに興味を持ってくれる人が多いんです」と細見さん。お店では、ブルワリーで働く人が気軽に訪れて、ビール談義を楽しむ姿も見られる。

「POGO」でクラフトビールを好きになり、今も週2〜3回は通うという常連さんも「造っている人にも会えるし、ビールの話が聞けるのは面白い。通っているうちにクラフトビールに詳しくなりましたよ」と教えてくれた。「あと、店長もスタッフもみんな、良い奴らだからついつい通っちゃうんですよ。」

▲「もっとビールファンを増やしていきたいですね」と笑顔の細見さん。

「こんなに美味しいビールを日本でも造れることを、もっとみんなに知って欲しい。クラフトビールをひとつの日本の文化として押し上げたい」と真摯に語る細見さん。生産者とお店が一緒になって、ますます盛り上がりそうなクラフトビール業界。ビール好きが集まるこの店には、世界に通用する新しい日本の文化が生まれそうな、明るい活気が満ちている。

▲吹き抜けの開放的な店内に、賑やかな話し声が響く。

  • 『J-CRAFT』

    芳醇のペールエール
    IZU SHUZENJI

    15L ベアードブルーイング

今回訪ねたお店

福島クラフトビールキッチンPOGO

大阪府大阪市福島区福島2-9-10

06-6131-9135

月〜土 18:00〜翌1:00
日・祝 15:00〜23:00

定休日:不定休